芸人最強社会ニッポン (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 67
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736758

感想・レビュー・書評

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  • 2016/9/6読了。
    訳あって十ぐらい年下の人々(互いにさして親しくもない人々)の飲み会に参加したとき、彼らの言動や振る舞いが、お笑い芸人たちがひな壇に座って互いをからかい合うテレビ番組に酷似していることに気付いたことがある。どうやらみんなお笑い芸人をロールモデルとして、つまらない奴という烙印を捺されぬよう、さして出たくもない飲み会を乗り切っていたらしい。ほかに手本はないのか、と愕然としたのだが、ないのだろう。
    それから、そのような番組で、せっかく興味深い話を披露してくれたゲストの学者を、芸人が「細かく調べすぎ」とか何とか変人扱いして笑いを取り、観客が爆笑したところで番組が終わるという展開を目撃し、愕然としたこともある。
    それからだんだん、世の中のあちこちでそういう様子に気付くことが多くなり、ちょっと僕にはうまく渡っていけない世の中の雰囲気になりつつあるのではないかと薄々恐れを感じていたのだが、本書はそんな世の中の流れをコンパクトに整理してまとめてくれている。そんな世の中を渡りにくい奴がどう渡っていけばいいのか、芸人を手本にするという以外の処方箋は書かれていないが。

  • 学生(らいすた)ミニコメント
    戦後から現代までに芸人が社会でどのような役割を担ってきたのかを学べる。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/658259

  • オカダダさんのラジオで言及してて読んだ。ビートたけしの慧眼の話はそこまで大きく言及されてる箇所ではなかったんだな。

  • 2017/6/20読了。
    論文書いてから読んで驚いた。大幅に書き換えないと。

  • 770.4

  • 私もなぜ芸人がいろんな分野でこんなに幅を利かせているのか不思議だった。また売れている「お笑い」芸人がネタが面白いかというと全くない。M1やR1、爆笑オンエアバトルで優勝したのに売れていない芸人は多い。フリートークができるかどうかで決まってしまっているようだ。
    現代日本で生きていくためには、コミュニケーション能力が激しく求められる。芸人とは他者と円滑なコミュニケーションをとることそのものが職業であるからここまで芸人無敵となってきているとか。
    「空気読み」のスペシャリストとしての芸人。
    結局コミュ力かよ、と思ってしまう。

  • ピース又吉の芥川賞受賞とは何か?
    芸人が、文学界の最高峰の一つである芥川賞を受賞した事を、どうするのが今の時流に乗っていると言えるのか。
    芥川賞受賞をネタにする事が今の時流の一つの到達点なのでは、と。

    別に芸人でなくとも、賞の受賞に対してネタ的なスタンスを取ってきた人はいる。
    同じ芥川賞を受賞した羽田圭介なんかもその受賞に対してのスタンスは随分とネタにしているような感じだった。
    つまり、「笑い」を取りに来ていた。それも日本的な空気を読むコミュケーションとしての「笑い」だ。あえてボケて突っ込ませると言う様な。

  • ■日本の笑いは漫才やコントに限らず基本的にどれも「ボケ」と「ツッコミ」で成り立っており,この「ボケとツッコミの関係」を詳細に観察した時,笑いが起こるのはツッコミをきっかけにしていることに気付く。
    ・スタンダップ・コメディが日本人に全く受けないのも「ボケ」だけでなく「ツッコミ」がないから
    ・南原清隆は「日本人の笑い」の基盤には狂言のような古典芸能にも現代のお笑いにも共通する「対の文化」があると結論付ける
    ■萩本欽一は「オールスター家族対抗歌合戦」に出場した素人の「笑いの瞬発力」にはかなわないと痛感した。
    ・テレビにおける「芸の変質」
    ・素人が生み出すアクシデントに負けてしまうことを萩本は見抜く
    ・芸人の「計算された失敗」の更に先を行くもの
    ・萩本は出だしの頃のジミー大西を見て,初めて「天然」という表現を現在の意味で用いた
    ・テレビにおける笑いの可能性を突き詰めていく中で「素人という新たな主役」を発見
    ■阿部謹也は世間をこう定義する。「世間とは個人個人を結ぶ関係の環であり,会則や定款はないが,個人個人を強固な絆で結びつけている。しかし,個人が自分から進んで世間をつくる訳ではない。何となく自分の位置がそこにあるものとして生きている。」(「世間」とは何か)
    ・日本的世間には集団への同調を促す力が強く働く
    ・個々人の意志を第一に尊重する西洋社会に対し日本の世間ではまず周囲に合わせることが重視
    ・「言わずとも察する」ことが当たり前とされるようになる。「以心伝心」。
    ■内閣府が2008年度に実施した「第8回世界青年意識調査」では日本の青年が日本人についてもつイメージのトップは「勤勉」で,次いで「礼儀正しい」。
    ・この調査は1972年から5,6年ごとに継続して行われているが「勤勉」がトップである結果はずっと変わっていないが,その割合は変化
    ・98年調査までは6~7割が「勤勉」
    ・03年度は46.1%,08年度には49.3%と半数を割る結果
    ・90年代から00年代の間に「日本人=まじめ」観に陰りが見えた
    ・マンザイブームから「お笑いビッグ3」の時代へと続く流れの中ですべてを笑いに変えていく「おもしろ」志向が勢力を拡大し始めた
    ・ここへきて再び「おもしろ」から「まじめ」へと時代の空気が変わりつつある

  • <目次>
    序章   芸人万能社会ニッポンのいま
      ~プロローグ 芥川賞作家・又吉直樹のその後
    第1章  「アメトーーク」化する社会
      ~私たちの代表としての「〇〇芸人」
    第2章  芸人万能社会の誕生
      ~1960年代~90年代初頭
    第3章  芸人万能社会の展開
      ~1990年代初頭~現代
    第4章  戦後日本の「世間」と「内輪ウケ社会」
    第5章  「コミュ力」至上主義ニッポンと笑いのプロとしての芸人

    <内容>
    前半の「お笑い」の分析はわかりやすかった。筆者の言いたいのは、第4章、5章だが、まあ割と当たり前の分析。芸人の「空気読み」の力(これができないとまず芸は上手くてもテレビに残れない)が日本人にマッチしている。結局、日本人は「芸人」のこの力を今後とも必要としていくだろう、ということ。

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著者プロフィール

社会学者。1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本、お笑い、アイドルなど、メディアと社会・文化の関係をテーマに執筆活動を展開。著書に『社会は笑う』『ニッポン男性アイドル史』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)、『SMAPと平成ニッポン』(光文社新書)、『芸人最強社会ニッポン』(朝日新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(ちくま新書)、『21世紀 テレ東番組 ベスト100』(星海社新書)などがある。

「2022年 『放送作家ほぼ全史 誰が日本のテレビを創ったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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