ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル (朝日新書)

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著者 : 秋山千佳
  • 朝日新聞出版 (2016年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736765

ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 小学校の時、保健室は逃げ場の一つだった。
    周りより少し大人びていた私は、放課後に、休み時間に、そこに駆け込んだ。
    話を聞いてくれる大人がいることに安心した。
    中高ではそんな少女たちがたくさんいた。
    追い返されたこともあったが、今考えればある程度見極めていたように思う。

    本書に登場する子供たちは、当時の私よりずっと過酷な状況である。
    私と同じ、などとは言えない。
    発達障害が疑われるのに、保護者や教員の理解を得られぬ子、虐待を受けている子、貧困に喘ぐ子......。
    見えない、見ようとされない子供たちを必死で支えているのが養護教諭たち。なのに彼女たちも理解されず、孤軍奮闘を強いられている。
    この需給のミスマッチはなぜ起きるのだろう。

    「困った子は困っている子」という言葉が印象に残る。
    一般の大人が考える以上に子供たちは困っている。
    しかし彼らは、表現方法も、発信力も、何もかも未熟で、うまく自分を語れない。
    それを補って汲み取ってあげる側の大人も、余裕がない、知識がない、いろいろな理由で十分に向き合えていない。
    そのため、「できる人」に負担がのしかかる。

    すでに提言されているようだが、本当に今、必要なのはチームを組むことだ。
    スクールソーシャルワーカーを入れたり、複数配置にすることが子供のためにも、支援者のためにも重要なのだ。
    善意だけでは人を支えることなどできない。
    本当に、この社会を持続させていきたいのなら、もっと子供に予算を使わなければ、間違いなくこの社会は消滅する。

    「まちかど保健室」の提案は魅力的だ。
    子供食堂と合わせて解説できれば、より適切なフォローができるように思う。

  • ■困った子は困っている子
    ・教師から見て問題行動の多い「困った子」は見方を変えると,様々な困難を抱えて助けを必要としている「困っている子」である。
    ■養護教諭は日本独自の教育職。
    ・養護教諭のツールは1905(明治38)年,岐阜県の小学校に配置された「学校看護婦」にある。
    ・トラコーマという目の感染症が全国的に大流行していたため,当初は子供たちの洗眼を役割として各地で公費採用されるようになった。
    ・1941(昭和16)年に公布された国民学校令で,学校看護婦は「養護訓導」に変わり,教育職員となった。
    ・1947(昭和22)年,学校教育法の制定により,養護訓導は「養護教諭」へ改称された。
    ■養護教諭が差別的な位置にある原因(「養護教諭の社会学」すぎむらなおみ氏)
    ①教壇に立たない教員であること
    ②職務内容が他者に理解されにくいこと
    ③養成課程が統一されていないため学歴がまちまちであること
    ④前身が学校看護婦で「病院」から「学校」への移民であること
    ⑤ほとんど女性であること

  • 保健室登校という形の学校とのつながりの存在は知っていたが、保健室にこれほどまで現代社会のしわ寄せが来ているとは思っていなかった。単純な心の問題では片づけられない複雑な思春期の悩みを受け止めきれるのは、スクールカウンセラーというより養護教諭なのだろう。性の相談をできそうな人は学校には養護教諭しかいない。大学入試改革は、ここに出てくるような生徒たちにとってかなり酷なものになるので、改革に反対する気はないが、そこからの脱落者をいかに出さないようにするのかということも考えていかないと現場は困るだろうなと思った。

  • これを読んだら次は子どもの貧困について興味がわいた。
    自分ははずれの養護教諭しか当たってないので保健室にお世話になったこともないが、こういった子どもにきちんと目をむけて気づいてくれる養護教諭もいるんだということが知れた。
    文章がなんか読みづらかった。内容も少し薄いなと感じた。

  • 洋の東西、時代の今昔を問わず、社会の歪みは全て子どもたちに表れる。いつもどこでも、犠牲者は子どもたち…。

  • この世代を何より救わないと、この国の将来はない。

  • もうちょっとちゃんとレポートしてほしい。
    なんか、断面だけで、考察がなさすぎる。

  • スクールソーシャルワーカーとして、度々出会う場面がいくつも詰まった一冊でした。

    学校内でのもどかしさ。
    関係機関との連携のもどかしさ。

    そのような中で何ができるのか。

    本書を読むうちに工夫を凝らした実践を重ねる先生方のお顔が浮かびました。
    子どもの支援に携わる方に一読を勧めたい内容でした。

  • 「子供たちの悲鳴が聞こえる!」というキャッチフレーズそのままでした。
    8月に出版されたばかりの本ですが、内容がとても生々しく、まるでドキュメンタリーを見ているようでした。

    中学校の養護教諭をインタビューしてまとめた本。
    「虐待」「いじめ」「貧困」「性的マイノリティ」

    子供も親もみる医師としては本当に見逃せない内容でした。
    ここ最近、養護教諭の先生と話す機会の減った私としては、驚きの内容でした。

    本人が理由でなく、学校に行けなる子たち。
    私としては、第2章の「虐待の家から出されたSOS」が衝撃で胸が苦しくなりました。

    親のアルコール依存、虐待、貧困、食事が食べらない。
    そんな子が頑張って高校に行くけれど・・・。
    20歳までケースが生々しく書かれてあって、それを支え続けた中学の養護教諭がすごいと思いました。

    以下、私に響いた言葉、勉強したことです。

    p.113
    「児童虐待による心理的影響の代表的なものの一つに、未来への希望が持てなくなることが挙げられるという。子供の頃に受けた心の傷のせいで、年齢を重ねても、進学や就職といった一般的な将来像を描くのさえ困難になるというのだ」

    ある養護教諭は「中学の養護教諭が子どもに直接関わるのは3年間という期間限定だ。その子の抱える問題を全面的にすくい上げるには、難しいこともある。」と。

    今は、スクールカウンセラーだけでなく、スクールソーシャルワーカーという職種もできてきた。
    p.237
    「社会福祉の専門的な知識、技術、問題を抱えた児童生徒を取り巻く環境に働きかけ、家庭、学校、地域の関係機関をつなぎ、児童生徒の悩みや抱えている問題の解決に向けて支援する専門家」と定義されていて、家庭環境による問題を主として扱う。

    私たちの似ていることがたくさんあると思いました。
    会ってみたい、スクールソーシャルワーカーさん。

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