分断社会ニッポン (朝日新書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736802

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】低成長の今、6人に1人の子供が貧困状態にある。生活不安に怯える中間層は、より貧しい人の利益を切り詰め、自らへの再配分を訴える。殺伐とした社会を変えるにはどうしたらいいのか。気鋭の財政学者、政治家、情報のプロの解決策を提唱。

感想・レビュー・書評

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  • 対話形式なんで読み易い。ニッポンの病理がよくわかる。もう少しぶっちゃけた話も欲しかったが

  • 某所読書会課題図書.非正規問題,高齢者問題,子どもの貧困問題,税金問題など重要な解決すべき問題を最適な人材による鼎談で明確にしていくことを試みた好著だ.ただ,個々の問題の議論でお互いに強烈な個性派ばかりなので,敢えてかわざとか論点を微妙に逸脱させることがあって,読んでいたイラつくことがかなりあった.読み返してみると答えを回避しているようにも見えた.確かに数学のようにはっきりした答えが出てこない問題ばかりだが,再読して論点を把握するつもりだ.

  • 民進党代表選挙に立候補した前原誠司が掲げたコピーは「All for All」だった。「全ての人が負担をし、全ての人が受益者となることで、分断を乗り越え希望を分かち合える社会」こそ、安倍政権との対立軸となる社会像だと主張した。
    「すべての人が受益者」というフレーズには、井手英策の影響が色濃い。保守派と言われる前原が、税と社会保障の根本的な転換・変革を訴える財政学者に学んでいることがわかり、これはおもしろい展開だと思った。
    本書は、まさにその選挙戦最中に出版された。「井手理論」に出会って多くの気付きを得た前原が、「分断社会」の克服を政策の柱に据えた筋道がよく見える。
    当選した蓮舫も、選挙中からこれに共感を示した。政調会長に前原を選べばもっと鮮やかだっただろう。学者の理論と政治家の情熱が力強く合体した政策には希望が宿る。その記録として本書は熱い。

  • 【感想】
     時事的な話題を含む、やや理念的なおもしろい議論でした。


    【目次】
    はしがき――努力するチャンスすら奪う社会(井手英策) [003-015]
    目次 [017-022]

    第1章 正規・非正規をどうするか 023
    人びとを信頼しない国
    給料アップなら非正規でもいいか
    ファシズムの賃金論
    雇用のミスマッチ
    賃金カーブで見る少子化問題
    中小企業と最低賃金引き上げ
    JR東労組、日本原燃、創価学会
    月給を上げるか、保育施設をつくるか
    一家に主婦は二人いらない
    昭和的な文化
    拠点となる場所と人と思想
    ワークシェアリングの基礎

    第2章 高齢者問題をどうするか 057
    「介護殺人」の悲劇
    伝統的家族制度との折り合い
    「尊厳ある生」をまっとうする
    高齢者医療無償化の陰で
    自らの生命に終止符を打てるか
    「生涯現役」とナチスが始めた健康診断
    命が商品化される生命保険
    永遠に生きたい
    孤独死のないコミュニティー
    「尊厳格差」の衝撃

    第3章 子どもの貧困問題と本当の教育 085
    子どもの貧困、児童虐待、ネグレクト
    乳児院の子どもは泣かない
    年収八〇〇万の層が恐れている
    教育の右肩下がりと「米百俵」
    ロシアのエリートシステムの実態
    自助、共助、公助のバランス
    ニーズのベストミックス
    良き納税者をつくる
    消費税一%でできること
    給料アップと訓練プログラム
    本当の学歴社会が始まる

    第4章 税金と財源の問題 119
    極めてまともな話
    税のベストミックス
    大々的な仕掛けでエクスキューズ
    団塊世代と相続税
    相続税の性格に合う仕組み
    地方税法を変える
    地方公務員の構造的問題
    地方に経営能力はあるか
    国税と地方税の使い分け
    モラルハザードを起こさせない

    第5章 成長するし、幸福にもなる 145
    生活保護は恥か
    現金給付から現物給付へ
    成長が目的ではない、しかし成長は目指す
    モサドに見る性善説と性悪説
    公立病院は無駄が多い
    「八ツ場ダム」の反省
    社会のニーズと改革
    トランプ、サンダースが出てきた真の理由
    政治家の資質

    第6章 「国民の物語」をどう描くか 167
    イデオロギッシュに断罪しない
    広がる「異常」の閾値
    「あるべき論」のトラウマ
    人生の中に物語はあるか
    歴史を貫く宗教的価値
    ソフトファシズムの問題
    マザー・テレサと陸軍中野学校
    メニューとレトリックを提示する
    「分断社会」を終わらせる15のポイント 187

    鼎談を終えて――尊厳ある国家(前原誠司) [191-205]
    おわりに――「なぜ分断社会はいけないのか」の哲学的了解(二〇一六年八月二十一日、曙橋(東京都新宿区)の仕事場にて 佐藤優) [207-219]

  • 働く女性が結婚も出産も比較的スムーズにできているところ JR東日本(JR東労組)、日本原燃(六ケ所村)、創価学会の専従職員

    富山駅 通勤者の半分が女性

    虐待の子どもをいかに助けるか もう学校の先生しかいない

    里親制度は1,2割が天理教

    学歴社会でなく、入学歴社会

    性悪説にたって制度設計して、サービスは性善説で行う

    マザーテレサの言葉

    思考には気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉には気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動には気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣には気をつけなさい、それはいつか性格になるから。正確には気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

    思考、言葉、行動、習慣、性格、運命

    陸軍中野学校 末次一郎氏

    百聞は一見に如かずの後は、一見は一考に如かず、一考は一行に如かず
    君、経験しただけではだめだ、考えただけではだめだ。行動しないと

  • 前原、井手の両氏に対し、佐藤優さんの組み合わせが意外に思えて、読むことにした。結局佐藤さんの立ち位置がはっきりしなかった。佐藤さんの知識があるだけに話が色々なところに飛び、井手さんがいらいらしているように感じた。

  • 井手先生の著作を何冊か読んでみたが、一般向けにはちょっと読みづらいと感じた。そもそも日本社会のネガティブな現状を直視した分析であるため、読んで楽しくなる本ではない。
    その中では、本書は対談書であるせいか読みやすく、主張する内容が理解しやすい。日本社会の現状がリアルに実感できる本だと思った。
    前原誠司氏は「不運な政治家」と思っていたが、本書を読みその感をさらに深めた。本書で語る前原誠司は光ってる政治家である。
    そもそも民主党政権時代に世界経済が不振を極め、安倍政権になってから世界経済が回復するとは「運」としか言いようがない。
    ともあれ、本書は井手英策氏の思想を理解するのに良い本であると思った。

  • 【由来】
    ・図書館の新書アラート。購入の理由は、「煮卵む買う時に30%オフクーポン使うために1000円を超えるため。

    【期待したもの】
    ・ミーハーに佐藤優頼り。

    【要約】


    【ノート】
    ・あれあれ?あまり期待せずに読み始めたのだが、意外な良書でした。

    ・あとがきで「来るべき前原政権のための前広を志向した政策たたき台のテキスト」として出版が企図されたと佐藤優が書いている。へえ〜〜〜。

    ・対談の論旨をきっちり追っていくのもアリだけど、本書は親切なつくりになっていて、最後に「15のポイント」というのがあるので、この1つ1つが、どういうことかを対談の中から拾い上げていくことができる。しかも、3人の前書きと後書きの中でも大まかなポイントをそれぞれ挙げてくれているので、それを参考にしながら、というアプローチも併用できる。

    ・これまたあとがきで佐藤優が「推敲を何度も重ね、構成も文体も、徹底的に練られ、わかりやすくなっている」とのことで、どうもお見逸れいたしました。

    【目次】
    第1章 世紀・非正規をどうするか
    第2章 高齢者問題をどうするか
    第3章 子どもの貧困問題と本当の教育
    第4章 税金と財政の問題
    第5章 成長するし、幸福にもなる
    第6章 「国民の物語」をどう描くか
    分断社会を終わらせる15のポイント

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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