グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版 (2016年10月13日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022736895

グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命 (朝日新書)の感想・レビュー・書評

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  • 【ISについて】
    近年のアラブと西欧の対立はサミュエル・ハンチントンの言う「文明の衝突」ではなく、アラブ地域が近代化して、先進国の仲間入りをする前の混沌だと説いている。むしろ文明は「衝突」しているのではなく、寄り添っているのではないかとトッドは述べている。
    では何がその近代化の礎となっているかというと、教育レベル(識字率の)向上に始まる女性の地位向上・社会進出と、内婚制共同体家族が崩壊し核家族化してきていることだと。

    【これからの世界について】
    そして、これからの世界は以下4つの出来事によって、大きな転換期が来ている。それは、共同体の信仰の喪失、高齢化、教育レベルの向上、女性の地位向上である。

  • エマニュエルと聞いて、映画を思い出すのは、我々の年代以上でしょう、、、さておき。

    以前から気になっていた、エマニュエル・トッドの著書でも、簡単そうな部類で、新しいものを読んでみた。

    もう残すところ1ヶ月を切った2016年も、世界は波瀾万丈であった。イギリスのブレグジットEUからの脱退の国民投票の決定、アメリカの次期大統領にドナルド・トランプの決定。

    いずれも世界に大きな波紋を投げかけた。

    日本に住み、一般的な情報を入手しているだけだと、えっ、何故?となるだろうが、もしかしたら、それらは予見されていたことかもしれない。

    それは、エコノミストが出版する「2050年の世界」を読んでから益々そう思うようになった。そんな中、経済学の視点では無く、社会学の視点から世界を捉え、鋭い分析をしているエマニュエル・ドットの著作は面白そうだと以前から気になっていた。

    しかし、中々たどり着けずにいたが、ついに1冊読むことが出来た。

    結論を書くと、読むだけの価値はあった。

    特に、最初の方に新しい情報が入っており、後ろに行くに従って、過去の取材記事となっていく。最初の数十ページでもこの価格を払う価値が十分にある書籍である。

  • 今や世界レベルで飛ぶ鳥を落とす、そんな御方です。
    昨年末のNHKBSの単独特集はスゴかったですよね。
    時宜にかなっていたいうかそのものズバリという感じで。
    トッドと聞くとわたし達の世代的には
    某番組のトッド=ギネスを思い出してしまうんですが
    まったく無関係です。
    わたし達にとっては、アムロはあれで、カミーユはアレなんですよ。

  • インタビュー集なのでサクサクと読めました。
    内容はトッド節が全開ではないものの、人口学などの自身の専門分野に裏打ちされた発言が、断定する形で連続して攻めてくる感じで、薄くて1〜2時間もあれば読めてしまう薄さながら、なかなか読み応えはありました。

    印象に残ったのは2点、イランを中心とした中東の問題について、信仰の消滅という切り口がよかったのと、我々は「信仰の最後のもの」として「利益率でものを考える世界にいる」こと。
    色々勉強になりました。

  • ロシアは日本には大事だと思う。中国とはもっとうまくやれそうな気はするが。それにしても、フランスで起こっていることと日本で今起きていることのなんと似ていることか。スケープゴートがイスラムか、中韓なのかの違いだけで。

  • グローバル化が進んだ現代に権力を握っているのは、自由貿易という経済思想。ハイパー個人主義が問題。
    グローバル化とは、識字化が世界に行き渡り、教育レベルが均一化した時に達成する。

    結局本のタイトルの日本の運命の答えは述べていない。日本の核武装化について提案しても、インタビュアーが朝日新聞の記者だから、真っ向から否定し議論にならない。

    外れの本だった。

  • 物事の背景を考えさせられる

  • フランスの学者 エマニュエル・トッド氏のインタビューをまとめた本。
    ちょっと違う独特な世界観が新鮮。


    以下、読書メモ:
    夢の時代の終わり
    米国 エリートへの反乱 最低限の安全を脅かさることへの抵抗
    EUは崩壊へ 移民への対応
    世界は接近するが一致はしない

    暴力・分断・ニヒリズム
    ニヒリズムとは、あらゆる価値の否定、死の美化、破壊の意思を指す。
    先進国の考察
    信仰システムの崩壊=共同体的な展望の欠如
    高齢化
    女性の地位の向上=教育革命
    不平等を受け入れる日本
    指導層はテロを利用している

    グローバル化と民主主義の危機
    国家の再浮上 多数を占める中高年が若者にかかわる政策を多数決で決めてしまうのは民主主義にかなっているのか
    ユーロは悲しみの製造機になっている。なくなったほうがいい。
    民主主義の機能不全
    自由貿易は新興国(中国)の景気を刺激するだけ
    ハイパー個人主義

    アメリカ「金融帝国」の終焉
    サミュエルハンチントンの文明の衝突は国際社会の対立はイスラム教文明とキリスト教文明の境界で激化すると。それに対してトッドはイスラム文明の近代化が遅れてきた過渡期の問題にすぎないと説く。
    近代化=教育レベルの向上=識字率の向上=本を読むことにより精神の構造を変える
    欧州、北米、極東に保護主義圏を。それぞれで内需拡大し、地域経済を立て直し、各極を基礎に置いたグローバル化を構築すべき。
    日本が核武装することで核兵器の偏在をなくし安定する。

    終わらない「対テロ」戦争
    米国が世界秩序混乱の原因 劇場型ミクロ軍事主義
    日本は米国以外の同盟国を持つべき。
    イラク危機は米国と欧州の対立、フセイン大統領は脇役。

  • ちょうど、平行して読み漁っている水野和夫氏の著書とも通じる部分がある。(当然、異なる部分もあるが)
    その中で、やはりエマニュエル・トッド氏の主張を特徴付け、説得力を持たせるのは、氏のバックグラウンドである、文化人類学や人口学の観点からの指摘であろう。
    出生率の低下を根拠にイランが近代化の過程であると指摘し、家族制度を根拠に日本やドイツには不平等を受け入れる社会的背景という。さらには、民主主義の発展に不可欠な、国民の識字率や高等教育の発展などがさらに進むと、教育格差として不平等の定着につながるとの指摘も、改めて慧眼であると感じた。

    そして、リーマンショックなどの金融危機以降、世界がグローバル化の問題に直面するなか、改めて国家の役割が注目されていることは、水野氏、トッド氏の指摘の通りであり、採るべき政策は自由貿易信奉による格差の拡大を是正することであることも両者の一致する見解である。

    しかしながら、現実の政府はP189でトッド氏が2001年に指摘した通り、「むしろ、秩序を維持するために治安への懸念を人々に感じさせ、軍備などの支出を増やす。」、そういう国家である。
    北朝鮮問題に絡み、米中に挟まれたいまの日本が、安全保障が極めて重要であることは疑いの余地がない。しかし、低成長時代への突入、資本主義の終わりという経済、そして社会体制の大きな転換点を迎えていることも確かである。
    政府が国民の目を外に向けることで根本的な問題を先送りにしないよう、注視していく必要がある。

  • 先進国、つまりヨーロッパ(特に英、独、仏)とアメリカ、日本の行き詰った現状についての解説本。
    著者はフランス人なのですが、長期的な歴史の視野に立って現代を観察してるんですね。
    アメリカ人やイギリス人(独立志向が強く、かつ差別に寛容、よって「自分さえよければ良い」思考に陥ってる)社会とほかの国との比較が語られて、とっても興味深かったです。
    国際的視野ってのは、実は単にアメリカ的視野になりがちですが、実は全然違うんですよね。
    たまにヨーロッパ人の視野で話を聞くと全然違って面白いです。

    ただ残念だったのは、朝日新聞に掲載されたインタビューをもとにしている割には、文章がわかりずらい。
    翻訳が今一つ・・・何を言わんとしてるんだろう?と何度も何度も一文を読み返す、ということをやりました。
    内容がちょっと硬くて難しめなので、なおさらでした。
    2016/11/18 09:52

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