新書605 大奥の女たちの明治維新 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022737052

作品紹介・あらすじ

【歴史地理/日本歴史】江戸城無血開城の日、幕府に続き大奥も消滅した。しかし、御殿から去った篤姫や和宮、数百の奥女中たちはその後も懸命に生き抜いた。失業した3万余の幕臣や家族も同様だ。大政奉還から150年。語られてこなかった「敗者の側の明治維新」に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 大政奉還から徳川幕府が消滅に至る「明治」という新しい時代づくりの裏には何があったのか? 幕府が瓦解したあと、德川に連なる人々は、どう生き抜いたのか? 徳川存続に執念を見せた篤姫、日本初の帰国子女・津田梅子の奮戦、渋沢栄一に象徴される静岡藩士の引き抜き、幕臣たちの屋敷が牧場となった東京の町・・・明治の世をつくったのは、「薩長」ではなく、敗者の「悔し涙」と「意地と情熱」が、維新の原動力となった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689586

  • 本の紹介文です。
    明治の世をつくったのは、「薩長」ではなく敗者たちの「悔し涙」だった!!
    幕府が瓦解したあと、徳川に連なる人々は、どう生き抜いたのか!?
    篤姫の執念、津田梅子の情熱、江戸っ子の心意気、リストラされた旗本・御家人たちの悲喜劇――。
    これまで語られてこなかった維新史に新たな光を当て、日本の夜明けの真実に迫る!
    ということで内容ですが、
    第1章 篤姫が住んだ大奥とはどんな世界だったのか
    (1)男子禁制・大奥の実像と虚像
    (2)大奥を去った御台所・篤姫の戦い
    (3)師匠になった奥女中たち
    第2章 失業した三万余の幕臣はどうなたのか
    (1)静岡藩で塗炭の苦しみを味わう幕臣たち
    (2)旗本だった福沢諭吉の華麗なる転身
    (3)明治政府にヘッドハンティングされた渋沢栄一
    第3章 将軍家御典医・桂川家の娘が歩んだ数奇な運命
    (1)大奥に入った桂川家の娘
    (2)一族を巻き込む政治の渦
    (3)徳川嫌いの夫
    (4)『名ごりの夢』を残す
    第4章 日本最初の帰国子女、津田梅子の奮戦
    (1)「幕臣」になった父親
    (2)梅子の渡米と帰国後の苦悩
    (3)華族女学校と女子英学塾の設立
    第5章 東京に転居した大名とその妻はどうなったのか
    (1)廃藩置県と大名家の消滅
    (2)華族として皇室を守る
    (3)社交界を仕切る華族の妻たち
    第6章 東京の街は、牧場と桑畑だらけになった
    (1)明治維新で寂れた東京
    (2)殖産興業の失敗
    (3)女学校の生活と西南戦争
    (4)薩長偏重の歴史への反発
    第7章 江戸を支えた商人や町人はどうなったのか
    (1)幕府御用達・三井家の決断
    (2)夏目漱石の父たちが東京の市政を支えた
    という内容です。
    時代の変わり目、勝てば官軍で、葬り去られた側の歴史は抹殺されますが、おっとどっこい、150年後の今日、敗者の側が、明治以降の日本の歴史を作ってきた事実はじんわり出てきています(嬉)。
    幕末、参勤交代制度による幕府の締め付けが緩くなり、江戸の商売が不況になったり、大名屋敷などの劣化が進んでいたなど知りませんでした(涙)。
    それにしても、女性の芯の強さ、また、芸は身を助くということで、語学に堪能であるということは、いつの時代でもここ一番のスキルのようであります。

  • 何か「大きな出来事」が伝えられたような場面で、「それは大変な事だ」と思う他方で、「〇〇と言えば…△△というようなモノも在った筈で…その△△関係はどうなったのだろう?」と思う場合が時々在るように思う。こういう事例は、現実に発生した何かの事象に関する事柄の他、歴史の教科書に載っているような事柄についても在り得ると思う。
    “江戸幕府”から“明治政府”に切り替わったという事態…これは、適切な譬えなのか否かは判らないが…何となく思うのは、江戸幕府という「大きな会社」について「解散・清算」ということになり、明治政府は「事業や財産等を継承する法人」という役目を担う…漠然とそういうようなイメージを抱く。
    江戸幕府が「解散・清算」ということで、明治政府が「事業や財産等を継承する法人」という役目を担うイメージは、例えば幕府のトップたる将軍の居城だった江戸城が“宮城”ということになって政府が戴く天皇の御所、住まいになり、江戸の町を治める機構が政府によって一定程度継承されていることや、幕府の仕事をしていたような人達が新政府に職を得た例が在ること等から想起したのだが…それでも、江戸城の中で非常に大きな存在だったという大奥や、幕府体制の下で非常に多くの“消費者”だった武士達が江戸に居たことで商いを成立させていた商業者等は「どうなった?」というように思ってしまう…
    本書では、大奥、幕臣、国外へ留学した幕臣などの子女、華族として東京に住むことになった各地の大名一家、幕府体制下と様相を大きく変えた明治の初めの東京の様子、江戸の商人等と、「そう言えば…どうなった?」という人やモノを捉えて巧く説いてくれる内容だ。
    こういう「興味深い“隙間”」というようなものは、歴史の中には随分と在るのだろう。大変に愉しく読了した!!

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著者プロフィール

歴史家。1965年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学(文学博士)。JR東日本「大人の休日倶楽部」など生涯学習講座の講師を務める。おもな著書に『江戸の間取り』『大名格差』『徳川幕府の資金繰り』『維新直後の日本』『大名廃業』(彩図社)、『15の街道からよむ日本史』(日本ビジネス文庫)、『東京・横浜 激動の幕末明治』(有隣新書)、『徳川時代の古都』(潮新書)などがある。

「2024年 『江戸時代はアンダーグラウンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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