- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022737816
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学評論随筆その他】「生意気言うな。貴様は誰のおかげで、社会に顔出しが出来たと思うか」(内田百 が記した弟子に激怒する漱石の言葉)。芥川龍之介・寺田寅彦・小宮豊隆・鈴木三重吉……熱心で純粋な若者たちを一途に愛した漱石と不肖の弟子24人。文壇史上稀にみる強い師弟愛。
感想・レビュー・書評
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「ねこ先生」(「吾輩はウツである」改題)を読んで、教師としての漱石に興味を持った。気難しい癇癪持ちのイメージをもっていたが、漱石は、学ぶ意欲のある若者に時間を惜しむことはない。芥川龍之介が「人間的なマグネティズム」と書いていたが、もっともっと漱石の人となりを知りたくなった。「漱石山脈」からわかる教育者としての姿は、教壇ではどのようなものか、授業の記録のようなものがあれば読んでみたい。
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漱石門下生まるわかりな一冊。
非常に読みやすく、シンプルに纏められているので、数多き漱石門下についての入門書としては丁度良いのでは。
最も、「漱石ゴシップ」の方の本の為、新鮮味は余り無いと云うか…切り口がまた其処?感は否めないというか。(だかからこそ解りやすくすんなり入ってくると云う点もあり)
偏って子規や虚子好きと云う自分にとっては、虚子子規の下りは「…そうかな~?」と云う点も残りつつ…。
しかし著者の漱石愛が凄い。漱石大好きすぎるので、若干思い込みで書かれている様な気もしますが、漱石大好き!と云う方なら共感が得られる部分でもあります。 -
借りた本。
『漱石ゴシップ』の方ですね。
漱石門下に連なる人々を取り上げ、漱石とどのような関わりがあったのか、という所で列伝的に並べられており、楽しい。
漱石の作品を少しでも齧っていると、森田草平や小宮豊隆の名は目につく。
敬愛する先生に、仕事やお金の工面をしてもらいながら、我こそが漱石に寵愛されし児、を競い合っている図は、肯定しきれない感もある。
寺田寅彦は「木曜会」でなくても漱石に会えた人物であったと書いている。
それでも、修善寺の大患や臨終には立ち会えなかった彼の心中とはどのようなものだったのだろう。
他にも岩波書店の創始者、岩波茂雄との話(岩波書店のロゴや『こころ』自費出版のこと)、志賀直哉の書けない小説、内田百閒の漱石の画筆を恭しく飾っていた話、芥川龍之介が感じた漱石の引力などなど、有名人ばかりですごい。
漱石の癇癪と、後からの自責の部分は、読んでいるとちょっと分かって切なくなる。
鏡子夫人の悪妻像については、小宮豊隆が作ったもので、本当は楽観的な明るい女丈夫だったとあるのも、初めて知った。
気難しいイメージのある漱石だが、これほどの人脈を活かしていこうとするのは、相当なものだろうと思う。
教育者というか、先達というか。
漱石門下であることの是非はともかく、自身の作品だけでなく、様々な財産を遺した方なのだな。