政権奪取論 強い野党の作り方 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022737878

感想・レビュー・書評

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  • 二大政党制のもとでは、保守とリベラルという対の比較がよくなされてきた。自民党はもともと保守政党だが、今の世論調査によるとリベラル(新しいことを取り入れて前進する)の感覚の方が強い。今の時代、リベラルか保守かという考え方はもう古い!一般市民にとっては、いい政策を出してくれる政党が大事。ポピュリズムはもともとエスタブに対する労働者、農民などの立ち上がり運動なので悪い意味で使われることが違和感ある。
    あえて区分けするのであれば、日本は既得権益層を味方につけた自民党と、それ以外の野党だ。
    イタリア‥腐敗したベルルスコーニ政権からの、五つ星運動の立ち上がり。

    自民党は、違った意見の人でも、10のうち1でも一致点があれば一緒にやっていく。柔軟に、どうにか調整して取り入れていく。反対意見も出し切って、なんとか折り合いをつける。それが強み。維新の会は完全一致にこだわってしまうところがあった。
    野党はとにかく与党案に反対すればいい!というあり方はもう古い。対案を出しても審議で塩漬けにされるだけなので無意味という面はあるが、反対だけでは世の中は変わらない。だから、日本維新の会は、自分たちが賛同できると思った法案に対しては野党であっても賛成する。
    安倍政権は、自民党支持層向けに移民政策は取らないと明言。一方で、労働力確保のねらいで外国人技能実習制度を設け、法に触れるスレスレのことをやっている。

    その中で、大阪維新の会は無党派層の取り入れと従来の組合に依存していないので成功している。

    日本の衆議院選挙は小選挙区制が主体。
    各選挙区で一人の議員を選ぶので、で与党や強い野党が有利。これだとあまり泡沫野党が当選しにくい。
    比例代表は政党の得票数によって議席数が決まるので、小党にも当選の可能性が高い。
    もし比例代表制がなくなったら、野党は一丸となって自民党に対峙しないと当選できなくなるだろう。むしろ、選挙制度をそうすることで、与党に対抗しうる強い野党を作れないか?と橋下氏は考えている。自民党は70年の歴史がある。その中で、派閥があったり、人間関係調整力のある人が多い
    、層が厚い。TPPや憲法改正なども、自民党内でもかなり意見が割れていたが、人間関係調整力のある人がたくさんいて何とかまとめていったのはすごい!反対派の逃げ道の最終手段として「トイレ休憩」があるが、これはどうしても自分が賛成できなかった場合にトイレ休憩を促され、その間に党内可決されてしまったので仕方ないという‥。
    また、今は悪きもの扱いされつつある派閥が、人間関係調整力を生む。派閥ができると長がうまれる。長が派閥を調整しながら成長していく、という流れ。派閥の維持はとっても大変、特に落選中の議員の面倒を見て、懇意の会社と顧問契約を結ばせたりすることも!
    自民党内でも、国会議員と地方議員は仲悪い。同じ選挙区の仲間を勝たせてやろうという気がない。
    維新の会でも、大阪維新の会と国政の日本維新の会は全く違う。日本維新の会はネームバリューで当選してしまい、タウンミーティングも行わなかった。

    いきなり国政を行うのは難しくても、地方の首長から経験していけば良い。実際に行政を動かして、実行力を住民に判断してもらう。それが他の地域でのファン獲得にもつながるし自信にもなる。

    裁量労働制や解雇規則緩和は悪い側面ばかり報道されるが、実は雇用市場の流動性を促し、企業側も優秀な人材を留めておくために給与や制度面充実を図る。

    北方領土は、早く終戦に持ち込みたい連合国の求めに応じて第二次世界大戦に参戦したロシアが報酬として入手した。ヤルタ密約。こういう手合いには国際裁判がベスト!

    日本で問題なのは有権者の無関心。白票でもいいから投票に行くべし!白票が多いと、その塊が次の選挙で自分のところに来るか相手のところに行くかで戦況が大きく変わるので、政治家は必死になっていい政策を練る。
    維新の会でも他の野党とバッティングしないように選挙協力、候補者調整をしていることがある。小選挙区で各野党が乱立している場合、票がばらけて自民党に太刀打ちできないからだ。ただ、自党から議員が誕生すれば一人でも数千万円の政党交付金が入るため、一人でも多くの候補者を出したいのが内情。なので候補者調整は大変難航する。

  • 自民党が強い理由として、反対意見もしっかり出しきるような場の設定と、それでも最後は党の方針に従うというしくみや文化がきっちりしていることが挙げられる中、対抗軸をしっかりと持ちながら自民党同様に柔軟な戦術をできる党が野党に必要であることを訴える。
    旧民主党などは、反対派の意見引っ掻き回されて結局何も決められずに終わったが、そうではない新たな党が必要だ。著者は、日本維新の会すらできていないと非難する。

  • 実際に政治をしてきた人なので、現実的な方法論が書かれており説得力がある。国と地方の役割が被っていて無駄な税金がかかっている➡︎地方に任せる、という点は、地方自治体がやれることの可能性を感じて興味深かった。また、最後の「クビ推奨」は、働く身としては納得感があり、経済進展にも効果的だと感じた。
    現役時代によほど批判が多かったからか、学者やコメンテーターへの文句が多すぎて、読んでてやや面倒臭くなる点がマイナス(笑)。

    野党が野党のまま甘んじているのは、結局その方が居心地が良いからだと思う。個人が権力欲を持つことに期待するよりも、システムそのものを変えたり、政治家を目指したくなるような教育をしたりする方が、将来的には日本のためになるのではと素人考えながら思う。

  • 橋下さん2冊目。
    政治を良くするには野党の台頭が不可欠。人は追い込まれないとなかなか努力しない。与党を無意味に批判するのではなく、事例を挙げ、何が野党と違うのか、理論立てて政策を掲げる事で初めて有権者の指示が得られる。日本には投票しない層が多数おり、この人たちの指示を得るのが自民党に勝つ為には必要だと言う。
    良く政治家の会食が批判されるが、人間関係力が数値化されるなら誰も批判しないだろう。このご時世もあり難しいだろうが、必要な事なのだろう。ただ時代がオンライン主流になれば常識も変わるだろう。

  • 橋下氏の思いもあり、自民党も危機感から自らをかえようとしていることもあり、以前に比べると分かりやすくなってきたとおもいます。若年層の指示が高いことは、未来に希望があるからでは。

  • ●野党のあり方について
    単に与党の批判者だけにならない。
    良いことは良い、悪いはどう悪いのかどこが論理破綻なのか事実と食い違ってるのかを、上手く糾弾する必要がある。
    問い詰めるには、最初からストレートに聞いてもはぐらかされるだけ。

    ●自民党の強さ
    意見バラバラ、方針も個人によって実はバラバラ。
    だか、少しでも似ていたら取り込んで、人間関係力とリーダーシップ(器量・器)でトップが取りまとめることで、安定している。
    少しでも違うと排除する野党と別もの。

    :::::::::
    政治家は人間関係力が大切。モノを言うとあるが、一般社会でもそうなのではないかと思った。
    自分にはない力。例えば部長,課長に媚び諂う能力、行きたくない飲み会でも行って精一杯盛り上げる能力とか。
    嫌なことから逃げてきたが故に、能力が付いていないのでは。
    振り返って見直してみたい。

  • 橋本氏の著書を初めて読みました。
    流石に熱い方。

  • P40

  • それはそうなんだろうけど、タネを誰かが作らないと無理だと思います。それができそうなのは、著者くらいしかいないのでは。

  • 変わらずの橋下節で野党の政権奪取の考え方を述べた書籍である。基本的に具体的に提案しているので、非常にわかりやすい。様々提案を述べているが、個人的に良いと感じた部分は以下である。

    ・是々非々
    賛成できる案は率先して賛成、反対するときは徹底的に反対し、旗印を明確にする。

    ・合理的政策
    保守、リベラルという括りではなく、国民に対して利益のある政策を選択する。

    ・発信
    マスコミには1万回発信してようやく1取り上げられる。とにかく徹底して発信すること。

    ・決定できる組織(人ではなく組織)
    野党はそれぞれ政党によって政策、理念が異なる。その意見をまとめて政策を決定する組織作りが必要。
    人間関係力の向上、多数決での決定など。

    ・将来利益
    現在ではなく、未来の利益につながる政策を打ち出す。

    ・既得権益層との戦い
    既得権益と戦える野党のメリットを活かし、不合理な規制を変えていく政策を打ち出す。

    ・意気込み、挑戦、実行力
    打ち出した政策を実現させるという意気込み、挑戦の姿勢、および具体的に実行することが必要。

    ・どのような政策で差別化するか
    未来志向の政策を打ち出す。
    ICT推進、労働市場の流動性を高めるような労働法への改正など。

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著者プロフィール

大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。1998年、橋下綜合法律事務所を開設。2008年に38歳で大阪府知事、2011年に42歳で大阪市長に就任。大阪府庁1万人、大阪市役所3万8000人の組織を動かし、絶対に実現不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や行政組織・財政改革などを成し遂げる。2015年、大阪市長を任期満了で退任。現在はテレビ出演、講演、執筆活動を中心に多方面で活動。
『実行力』『交渉力』『決断力』(以上、PHP新書)など著書多数。

「2023年 『折れない心 人間関係に悩まない生き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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