私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950178

感想・レビュー・書評

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  • (中略)その変動とは、人々の個人化が進み、関係の安定性が減少していく流れである。
    それは、人々が固定した関係を嫌い、自由になろうとすることで促進されている。

    この一文に喚起され、購入しました。
    著者は、この変化のプラス面とマイナス面を踏まえた上で、
    その変化そのものを批判しても、止めようがないと指摘しています。
    それよりも、そうした変動を前提とした上で、プラス面を活かしていく道を考えた方が、
    よいといいます。それは、過去の人々は、社会の制度や国の形を作り替えることで、
    「変化」に対処してきたからです。
    そして3つの、することを提起しています。

    ①現状のしっかりした診断が必要(何を、どう客観的に見るか(WHAT))
    ②その現象がどういう背景で起こり、どういう変化を示唆しているか
    (何が、どういう背景で起こったのか(HOW・WHY))
    ③今の変動そのものは、世界的に普遍に見られる。
    日本では、それがどう表れているか(Compared)

    情報が毎日洪水のように溢れています。
    何が時代を左右するのか、象徴するのか、また自分に大きな影響を与えるのは、
    どんどんわからなくなっています。
    そういう時に、やはり知識人の視点は、
    非常に参考になります。
    こういう大きな視点を持っている人は、どんどん少なくなっています。
    学問の専門性のさらなる細分化による弊害です。

    歴史社会学者は、社会変化を、言語化するプロです。
    やはり素人とは違います。
    その言葉を自分の生活に当てはめたり、
    今の変動やこれからの変化を予測したり、
    その原因の構造を勉強するのは、非常に有益です。

    現代は、個人が簡単にSNSで発信できるようになりました。
    ただ、それは、思考を伴った他者にとって有益なものかというと、
    そうではなく、単なる自己満足です。

    で、何か問題でも?の社会環境です。
    自身の生理的な反応(うまい、楽しい、凄い、悔しい)を、
    映像・言葉で発信するだけになっています。
    それを共有することを「シェアする」と言いますが、
    それをやり過ぎると、思考力を失うような感じがするのは、私だけでしょうか。

  • 見識のレベルが桁違い  広く深い 軸が全くぶれない
    「人間の尊厳」 国民の分断 
    第一の国民①会社②地域 第二の国民③非正規

    議論の大切さ 基本方針を共通理解 本質論へ  
    グローバルに考え、ローカルに行動する 
    移民と自衛隊 どう位置づけるか合意ない 曖昧のつけ
    東芝の失敗 ①旧来の原発路線への固執②社内民主主義の不足③日の丸原発意識

    総合ビジョン 小手先の対処では全体整合性とれない 高齢化社会 経済成長 少子問題
    経済指標と民主主義指標 知的産業・高付加価値化 「人的資源」 が鍵
    人権意識・政治参加を通じて 自分の頭で考え、自発的に行動できる人材づくりがポイント
    国全体が、文句を言わず黙々と働くブルーカラーから、自発的なホワイトカラーへ人づくり=教育改革

    兵站を整えず、無謀な作戦を命じる 
    ex教育改革 英語強化 民間試験
    悪しき体質は戦前の軍部と変わらない 

    吉田茂総理 同行した池田勇人に「君の経歴に傷がつくと行けない 署名は自分だけで」と日米安保条約を調印
    凄い判断 公に尽くし、私がない 修羅場の決断は凄い

    原発事故
    人権を守る 事故の時に「残れ」と死の命令はできない
    制度の不備 過酷事故に対処する体制の整備がない 

    建前の辻褄合わせと先送り体質 ツケはどんどん大きく

  • 20190908 今、なにがおきているか。自分が共感できる論者の意見は参考になる。今、自分の意見を持たないとこの先後悔する事になりそうだ。そういう時に信用できる論者をどう確保するかは大事だ。

  • 117ページまで読んだ。筆者による朝日新聞論壇時評の2017年11月から2019年3月分まで。広い知見に基づく時評は面白いが、古い時評には興味が薄くなり、途中でやめた。

  • 参院選の投票日がせまった。誰に票を投じようか、今回はいつも以上に迷っている。安倍政権の信任投票と考えるのか、でもそうすると今まで絶対にあり得なかった候補者を支持することになるし、残る一人はNHK云々とまあ・・・。てなことを悩みつつこの本を読めば、自分自身も思考の停滞に陥っていると自覚する。減税と福祉を並行して求める矛盾、脱原発の機運の衰退。スウェーデン人の多くが、税とは社会への投資、将来への貯蓄と考えてるって、すごいな。椎名誠のエッセイを学者が著すならこのようになる、って感じ。

  • 2011年から朝日新聞論壇委員、16年から18年に同紙論壇時評を担当した著者(歴史社会学者)の時評集。
    世界に普遍的な傾向が日本でどう表れているか、戦後日本の「国のかたち」がどう揺れ・新たな合意はどう作られうるかの関心で通底した新聞時評。
    沖縄の実情や原発への感覚など、認識を新たにしてくれる情報をもらえた。
    ここでの指摘が正鵠を射ているとは限らないという疑いの目や事実関係を検証することも必要だが、一定の見識として読んだ。
    例えば日韓関係など、この国の課題が網羅されている訳ではない点は残念に思った。
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著者プロフィール

1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。

「2019年 『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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