人類対新型ウイルス 私たちはこうしてコロナに勝つ (新書767)

  • 朝日新聞出版 (2020年5月13日発売)
3.22
  • (0)
  • (3)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 52
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784022950796

作品紹介・あらすじ

新型コロナウイルスによるパンデミックは一体どうなるのか。治療薬、ワクチン開発の見通しは?集団抗体は?人類は有史以来、未知のウイルスとの戦いを繰り返してきた。1世紀前のスペイン風邪では世界中で5000万人以上の死者を出したとも。英国人ジャーナリスト・社会史家の著者は近代以降のウイルスとの攻防をつぶさに検証し、今日のパンデミックを予想していた。本書は「予言の書」として再刊が待たれていた。人類は、このパンデミックにどう勝つのかを示す。さらに日本語版補遺として、医療ジャーナリスト、塚﨑朝子氏が新型コロナウイルスの正体、治療薬アビガン、ワクチンの可能性などの最新情報を寄稿している。目次より 序 伝染病の始まり/第1章 ウイルスとは何か/第2章 迷信の時代―古代~17世紀/第3章 理性の時代ー18世紀/第4章 狭まりゆく世界―19世紀/第5章 世界最悪のパンデミック―1018年「スペイン風邪」/第6章 嵐の後/第7章 変異する敵―1957年「アジア風邪」と1968年「香港風邪」/第8章 種の壁を越えるウイルス―鳥インフルエンザ/第9章 治療法を求めて/補章 新型コロナに立ち向かう 塚﨑朝子

みんなの感想まとめ

新型コロナウイルスの正体とその脅威について深く掘り下げた本書は、ウイルスの歴史やその変異のメカニズムを通じて、私たちが直面する現代のパンデミックを理解する手助けをします。著者は過去の伝染病の事例を引き...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 副題では「私たちはこうしてコロナに勝つ」と、勇ましく書かれているけれど、少なくとも自分には分かりやすい「勝利」のビジョンは見えなかった。ウイルスの恐ろしさと厄介さを改めて気づかされました。

    元々2010年に発刊された『人類対インフルエンザ』という本をコロナ禍を受けて、新たに新型コロナウイルスについての補章を加え再発刊された一冊。そのためこの副題も、販売や編集の意向(と希望)がありありと入ったのだろうな、と思います。

    内容は主にウイルスとインフルエンザの歴史について。第一章でウイルスの科学的な話がまとめられていて、二章以降でインフルエンザの歴史的な変遷であったり影響について書かれ、七章からはウイルスの変異やワクチンなどについて書かれています。

    科学的な部分と歴史的な部分とのバランスがちょうどいい一冊。ウイルスの科学的な特性はなんとなく抑えられるし、今年は例外とはいえ、毎年流行するインフルエンザが一歩間違えばどれほど猛威を振るうのか、ということは第5章のスペイン風邪の記述の凄まじさが物語る。
    自分の認識が甘くてスペイン風邪といっても季節性インフルエンザの延長線上のものだと思い込んでいたのですが、チアノーゼと呼ばれる症状は読んでいて身の毛がよだつ思いだった。

    スペイン風邪の末期には患者の皮膚の色が変わる症状があり、これがチアノーゼと呼ばれるもの。これはウイルスに冒された肺が、血液に十分な酸素を送れなくなるために起こる症状。通常の6倍の重量になった死亡者の肺は、血と泡の混じった液体に満たされ空気の入る余地は全くなかった、とのこと……

    新型コロナが確認されてから一年近くたったものの、未だ終息の気配はうかがえませんが、この本を読んでいるとパンデミックの終わりが見えてくるのには、早くても2~3年はかかるような印象を受けました。それはウイルスの特性によるものです。
    本で紹介されていたウイルスの特性で厄介だと思ったのは、遺伝子の変異が早いことと、そして他の動物やウイルスの遺伝子までも取り込み、未知のウイルスに変わる危険性があるということ。

    例えばやや状況が落ち着いて、オリンピックのために全世界から選手がきたとして、その中に各国それぞれで変異したウイルスの保菌者がいて、そのウイルスが遺伝子を取り込み合い、また変異したとしたら……

    オリンピックは無観客か、観客国内だけにしぼってやるのかなあ、と個人的に思っていましたが、その認識も甘く感じ始めました。変異したとしてそれが必ずしも、強毒化したり、感染率が高くなるというわけでもないけど、それでもリスクを承知でオリンピックをやる意思があるのか、政府やIOCには聞いてみたくなったりする。

    それに対抗する手段としてワクチンの開発と接種が急がれています。感染拡大を防ぐには、人口の6割が集団免疫を獲得、つまりワクチンを打っている状態が望ましい。一方で変異したウイルスにワクチンがどこまで効くかは未知なところも多いのが現状で、そういう点からも改めてウイルスの厄介さを思わされます。

    エイズ、エボラ出血熱、新型インフルエンザ、そしてコロナウイルスといった未知のウイルスは、動物から人へと感染していく過程で変異し、強毒化していったものが多く、そのリスクは今後、人類が地球上に居続ける限り続くものだと思われます。だからこそ、今のコロナウイルスに対する、各国の指導者の対応、そして自分たち一人一人の対応は、今後の人類の試金石となるもののようにも思えてくる。
    「勝ちにいく」というよりも「耐え忍ぶ」ウイルスと人類の闘いは、これから先も続くのだろうと思います。

  • 今現在私たちを脅かさす存在、コロナウイルス。そもそもコレは何なんだろう。どうしたら勝てるのだろうか。

  • ●農耕と牧畜による定住社会。その欠点は、病気が流行しやすいという事。過去にはたくさんの都市が伝染病により崩壊してきた。
    ●生命体と言うものは、世代交代が行われれば行われるほど、遺伝子が突然変異を起こす確率が高くなる。遺伝子の突然変異はDNAあるいはRNAの複製プロセスが失敗したときに起こる。ほとんどの場合、突然変異が増殖に有利に働く事はないが、まれに有利に働くことがある。人体の免疫反応を回避することができるようになるからだ。
    ●大半のウィルスは宿主がわかっているが、エボラウィルスの自然宿主は不明。
    ●風邪の症状を引き起こすウィルスはライノウィルス以外にも無数にあり、これだけ多くのウィルスに効果のあるワクチンを開発できる見込みがない。
    ●その昔、結核などの細菌は顕微鏡で見れた。しかし黄熱病や麻疹、天然痘、インフルエンザは菌を見つける事が出来なかった。電子顕微鏡の発明により、ようやくウィルスという存在が明らかになったのだ。
    ●細胞は必要な化学物質だけを取り込む。鍵が合わないと入れない。ウィルスはその鍵を真似て細胞を騙して侵入する。そしてその機能を乗っ取り、ウィルスの増殖工場に変えてしまう。
    ●天然痘が撲滅できた理由は、野生動物の自然宿主がいないため、その中で変異を繰り返すことかなかったから。インフルエンザは早いペースで変異し、やがて人間の免疫システムが持っていた情報が同じものと認識できなくなる。
    ●抗原不連続変異はA型特有の現象。HAには16種、NAには9種ある。表面のタンパク質の種類だけでこんなにある。
    ●新型コロナは細胞膜が脂質で出来ていて、石鹸やアルコールで容易に破壊され易く、手洗いが有効です。
    ●ヒト細胞への結合力が高い。SARSの10 倍以上と言われている。
    ●インフルエンザはRNAウィルス(遺伝物質としてDNAではなくRNAを持つ)。もしアビガンが認められたら、致死率の高いエボラやラッサ熱などの感染症に使えるかも。富山化学は2012年に米国防総省から14000万ドルの助成金を得ている。
    ●新型コロナの死亡例には、免疫の暴走であるサイトカインストームが関係している可能性がある。

全3件中 1 - 3件を表示

トム・クインの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×