不思議な島旅 千年残したい日本の離島の風景 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.11
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本棚登録 : 86
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022951038

作品紹介・あらすじ

小さな島は大人の学校だ。消えゆく風習、失われた暮らし、最後の一人となった島民の思い──大反響書籍『秘島図鑑』(河出書房新社)の著者が日本全国の離島をたずね、利他的精神、死者とともに生きる知恵など、失われた幸せの原風景を発見する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本列島に点在する小さな離島。
    無人島、有人島、ひとりだけの島に旅して、出会う人々。
    暮らす理由、生活、風習と、失われるものを見い出す記録。
    序章 離島の人口が減っていく
    第1章 人ー有人島と無人島のあいだ
    第2章 風習ー今も息づくもの
    第3章 歳月ー失われゆくもの
    終章 万物との対話
    大まかな離島地図、参考文献有り。
    日本には7000近い島がある。
    その多くは無人島だが、有人島もある。
    しかし、時代とともに人口が減り、無人化する島もあるし、
    人口がひとりだけの島、再有人化した島もある。
    そんな島々への旅行記&人との出会いのノンフィクションです。
    たったひとりでも島に人が暮らすことの貴重さ。
    その暮らしは、島とともに生きられる喜びが。
    島の歴史、独自の文化や風習、島の「個性」を継ぐ、者たち。
    子どもが子どもを呼ぶ、守姉の風習。
    船で島を離れる惜別の光景は、送る人&送られる人の思いの情。
    新島の流人墓地への「だんとう」の風習。
    失われてゆく北方領土の生活の記憶。
    無人島の電話ボックス、屋久島の温泉ではない瀬風呂跡。
    過疎化、想定外の災害、対外事情や歴史の変遷等、
    過去も現在も未来も、時の流れの移ろいはあれども、
    大いなる自然に抱かれる離島の風景は、ただ、そこにある。
    不思議な想いを抱かせる、心に響く何かを、秘めて。

  • ●今や小学校のない島は全国で約4割、中学校は約5割。医療施設のない島は全国で4割近く。
    ●総数6,852島。有人の418島のうち、人口が増加している島は35。石垣島は増加している。
    ●五島列島にある黒島。人口1人。定期航路は週に1回。電気は通っている。携帯電話も通じる。
    ●沖縄の前島。1962年に無人化して以降、約40年ぶりとなる有人化。
    日本軍が入りがなかった前島では、「集団自決」を招いていない。
    ●八丈小島は過疎化が進み、1969年無人島になった。91人の住人が一斉に島を離れる。島に残された10頭ほどのヤギが、やがて約1,000頭にまで異常繁殖した。
    ●愛媛県の由利島。二神島から南8キロの無人島。1975年に無人島になっても公衆電話は残り続けた。2012年頃からダッシュ島として利用されるようになった。

  • 旅行記でもあるが、現在の日本各地の「島」をいくつか取り上げての民俗学的状況報告になっているのでは。

  • 「不思議な島」を巡る旅ではありません。
    「島旅」は不思議な感傷を呼び起こさせること
    を意味しています。

    日本全国で過疎が進んでいるのですから、島で
    の過疎化は本土の比ではないと思います。

    しかも最後は「無人島化」してしまうのです。

    戦後に無人島化したのは138島です。2020年
    時点で日本の島は6852(この数値は根拠が不
    明で、諸説あるそうです)の内、有人島は何と
    418しかないのです。

    たったの6%の有人島率なのです。

    そんなはかない運命を持つ島を訪れることに
    よって感じる不思議な思いが本書には込められ
    ています。

    日本という島国に固有の文化が生まれたのと同
    様に、それぞれの島にも独自の文化、風習が残
    されています。

    そんな失われつつあるもう一つの日本を巡る一
    冊です。

  • ふむ

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/755273

  • 行々て ここに行々 夏野かな(与謝蕪村)良い紀行文だった。おもしろかった。屋久島にまた行きたくなった。

  • <目次>
    序章   離島の人口が減ってゆく
    第1章  人~有人島と無人島のあいだ
    第2章  風習~今も息づくもの
    第3章  歳月~失われてゆくもの
    終章   万物との対話

    <内容>
    前半は島の自然や風俗などが語られる。後半には谷川健一の話が出てきて、ご多分に漏れず過疎化の進行のなか、失われていく島のあれこれを語りながら、「日本」の縮図があるのではないか、と感じられることも…。何か悲しくなる一冊であった。

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著者プロフィール

1971年生まれ。編集者、ライター。早稲田大学政治経済学部卒業。テレビ局や出版社を経て独立。著書に『秘島図鑑』『海駅図鑑』(河出書房新社)、『深夜航路』(草思社)、『不思議な島旅』(朝日新書)など。

「2023年 『海の見える無人駅 絶景の先にある物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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