諦めの価値 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 458
感想 : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022951366

作品紹介・あらすじ

諦めは最良の人生戦略である。世の中は何事も「諦めるな」という方向へ行きすぎだ。時間は有限であり、誰もがいつかは諦めるときがくる。他者や自分に期待しなければ、不思議と成功に近づく理由とは。頑張れない時代を生きるための画期的思考法。

感想・レビュー・書評

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  • 森博嗣さんの本を初めて最後まで読みました。小説はまだ読んだことがありません。村上春樹さんのエッセイはとても好きだけど、いくつか読んだ小説はどれもピンとこなかった。出す本がことごとくベストセラーになること以外、私にはこのお二人の共通点は見つけられませんが、なんとなくピンとこないのではないか、という気がして、これまでずっと森さんの小説には二の足を踏んでいます。これからも読むかどうかは分かりません。

    父が亡くなったときと同じ年齢になり、仕事も自分の子供と同じ年代の活躍が眩しく見えるようになりました。「これまでこうやって上手くいってきた」「これからもこれまでと同じ自分のスタイルでやっていきたい」…という拘りを諦めることは、これからのテーマです。悲観的にならずにそう思うヒントが得られました。

    第6章「生きるとは諦めること」からは本当に一字一句森さんの言葉に共感できました。
    「諦める」とはネガティブなことではなく、ニュートラルな状態になることかなと思います。
    「こうあらねば」とか「こうありたい」とかから自分を解放しつつ過ごしていきたいなーと、下の子の大学卒業を目前にしてそろそろ子育て終了のシングルマザーは思うのでした。

  • 森博嗣独特の語り。いいよね。

    本当の意味で諦めるのは難しい。なぜなら諦めると決断するだけの努力や行動がなければいけないからだと。確かに。

    印象に残ったのは、期待しないということ。自分にも家族にも何にも。期待するから、それとのギャップがあると辛くなる。だから期待することを諦める。

    うつ病になってから、結構、諦めができるようにはなったと思っている。出世なんてもはや論外。リーダーになって組織をまとめたり、誰かを指導したりなんて自分で一杯いっぱいなんだから無理、と諦めた。みんなに好かれたいと思ってたけど、そんな必要は全くない、と諦めた。正直、生きることも諦めたいと思うけど、まだできない。家族の将来は諦められないらしい。もっといろいろあきらめて、シンプルに生きられれば、不安なんてなくなるのに。諦めるためには、お金も必要。だから、もっとまずは行動せい、ということか。いやはや、しんどいですな。

  • とても不思議な文章の羅列なのだが、なんだか、とても腑に落ちる感覚がある。他者に期待しない。諦めは戦略だとの考えはなんとなく理解できる。

  • タイトルを見て、森博嗣は好き勝手に書きたいものを書いて、諦めなんて無縁だろう、とまず思った。
    すると内容は、予想の5倍くらい浮世離れしていて、でも実践的で、真似できるかは分からないけど、すっかり森博嗣という人間に魅了されてしまった。
    かなり好き嫌いがあると思う。


    ※※※※※
    ■ Before(本の選定理由)
    森博嗣の新書なんてあるのか?珍しい。
    (後に、小説以外の本が20冊もあることを知る)

    ■ 気づき
    大半の「諦められない」エピソードは「できたらいいな」の願望と混同されている。泣いて馬謖を切るでは無いが、失うものと比較して始めて「諦め」になるのでは。

    ■ Todo
    試さずに「どうしたら良いでしょうか」と訊かない。
    試してみての課題のTry&errorを褒めてあげる。

  • 「諦めた」は諦めていない人ほど言うことがわかった一冊
    期待しているから諦める事態になる。諦めずに頑固に進む(止まる?)のではなく諦めて方向転換する、別の方法から考えてみるというのが考えて生きることなんだと感じました。この本以上に「諦める」ことについて色んな方向から考える本はなかなかないと思います。主張されていることは不思議と納得できるので諦められないことがある方はぜひ読んでみてください。途中に人生相談があったり、編集者が書けって言ったから書いたという記述があったり受け身な感じながらも主張はしっかりされている不思議な本です。
    以下、印象的な3つの考え方が書いてあるページを紹介
    ●頼りになる人の条件(P60)
    ●自分の人生これでいいのでしょうか?(P82)
    ●多くの夢や欲望は突き詰めると別の目的が潜んでいる(p264)

    最後に、著者の自由なライフスタイルに驚きます。基本趣味をして1日過ごしているが著作は300冊以上もある。そして元理系大学教員という不思議な方です。

  • 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。の言葉にもら悲観的な計画は盛り込まれている。
    柔軟な思考は大切。ある種多様性を認めること。
    だと思っていたことも、斜め裏くらいには
    良い意味での諦めがあったのかもしれない。

  • ●ただやりたいなーと憧れているだけの段階では「諦める」ことができない、と考える。要するに諦めるほどのレベルに達していない。もしかしてだからいつまでも「あきらめられない」状況が続き、未練がましくなっているのではないかとも分析できる。
    ●成功するかどうかは、半分以上がその人間の能力、つまり才能によっている。ただし「成功」なんてものは大した事ではない。また才能以外に人生を左右するものとして運がある。もっとわかりやすく言えば「確率」だ。成功するには、少しでも確率の高いもの、あるいは期待値の高いものを選択すること。ほぼこれに尽きる。
    ●大事な点は、あなたが諦めても、諦めなくても、世界は変わらないと言うことだ。人生の条件は何一つ変わらない。
    ●成功とは、周囲からの評価ではない。貴方自身の満足である。
    ●諦めには2種類ある。1つは目的をあきらめること。多少穿った見方をすれば、そもそも最初の予測計画が甘かった可能性もある。2つ目は目的へ向かう「方法」を諦めること。最終目的である夢を断念するわけではない。これは良くある事だ。
    ●せっかくここまでやったのに、これが自分の生き方だ、などと、こだわる事の方がむしろ危険な状況である。そういったこだわりこそ諦めよう。
    ●諦めるのは、何かもっと大事なものを守るための手段であることを忘れてはいけない。
    ●自分の楽しみを持ち、自分がやりたいことが明確にあるのなら、他者に勝つ必要なんてどこにもありません。問題は、自分の楽しみを持っていない、と言うことなのです。人から褒められたいと言う習慣から早く脱却することです。
    ●僕は「器用さ」も「健康」も、諦めた人間と言えるだろう。仕方がない、自分は不器用で不健康なのだ、これは直せないと。死ぬ事は、忌み嫌われる共通のゴールである。この死をあきらめるかあきらめないかが人によって違う。老後を心配する人が増えたが、「死への抵抗」をあきらめる、「生への執着」を止める。
    ●一昔前、死後の世界が存在するような感覚を結構な割合の人が持っていた。科学的に考えてそんなものは存在しない。そう聞いても納得しない人がいる。科学では証明できないことがあるとか、霊魂を否定する科学的エビデンスは無いとか。その理屈でいくと、ドラえもんやゴジラも否定できなくなる。否定しようと誰も思わないだけの話だが。
    ●「自分がよくやったなと思えるか」
    本当の夢と言うのは、その経験から自分だけが感じられる幸福であり、この幸福感を楽しいと表現しているのだ。
    また、この「幸福感」と言うものは、仲間と分かち合うものではない。分かち合えない。
    ● SNSと言うのは、夢の初期段階でも、夢が叶う「疑似体験」ができる。ちょっとした作品を発表するだけで、芸術家になった気分が味わえるし、小説を小出しに発表して、読者の反応の手ごたえを体験できる。決して悪くない、平和な環境である。ただ問題は、それは芸術家や小説家のほんの1部でしかないし、もしかしたら全然別物かもしれない。でもこれで満足できるのなら結構なことである。
    ●ユニクロに行けばたくさんの色のシャツが選べる。そういうものになれると、色を混ぜ合わせて、自分の色を作る作業を忘れてしまう。そんな発想さえしなくなる。その間に存在するものはもともとないものになるのだ。結果として自分なりのものが消えているのである。世の中は「その色はありません。諦めるしかありません」とあなたに教えてくれる。誰も作らなくなり、選ぶだけになる。
    ●都会と言うものは、他者に依存する装置であり、他者を諦め切れない人が都会に集まっているとも言える。コミニケーションが苦手な人は都会でないと生活ができない。

  • 諦めるためには,それ相応の邁進があるからこそ.一つ一つの言葉が軽くなる昨今,言葉の定義から見直す,つまり,自分自身の生き方を見直す必要に迫られる.科学者は,元々データに基づき事象を構築していくので,言葉も根本から自分なりに定義し実践するため,違和感のない内容.結局根幹は,全ての事象を自分の頭で考え抜くことにある.

  • さよなら、努力。 「諦め」は最良の人生戦略だ。
    「諦めるな、頑張るんだ! 」という時代はもう終わった。
    何かを成し遂げた人は常に多くのことを諦め続けている
    あなたにとって、何が有益で何が無駄か、「正しい諦め」だけが、最大限の成功をもたらすだろう。
    「自分はこれでいいのか」と思っているすべての人へ。
    仕事、人間関係、日々の雑事に見切りをつけた結果、夢をかなえた作家が独自の思索で導いた諦め方を伝授する
    (目次)
    第1章 諦めなければ夢は叶うか
    「諦め」の理由を愚痴る人たち
    「諦める」対象は大別して二つ
    途中で諦めると、無駄になるものがある
    諦め続けることで夢が叶う
    「諦める」は悪いことではない
    過去のものに囚われないこと
    「諦めることなんて考えない」は危険
    「目的は何か」を理解していない危険
    抽象的に考え本質を見る
    人間の最大の武器とは など
    第2章 諦められないという悩み
    Q 諦め癖がついています
    Q 諦められない夢があります
    Q 人を諦めるのが早い自分
    Q 自分の人生、このままで良いでしょうか
    Q 圧倒的な能力の差を見せつけられたときの諦め方
    Q 諦めたら、やる気が出ない
    Q 結婚を諦めたときの人生戦略
    Q 夢を妥協するタイミングとは
    Q やりたい仕事を諦めるべきか
    Q この歳まで、なにも成し遂げられていない など
    第3章 何を諦めるべきか
    人を諦める
    問題や努力を諦める
    社会や環境を諦める
    「諦める」は「期待」の反対語
    損害の蓄積が引き金になる
    「諦めた」と言いながら、まだ期待している
    価値の比較によって諦める
    後悔しないための方法
    過去ではなく未来を諦めておく
    人生のパラダイムシフトを など
    第4章 諦めが価値を持つとき
    「諦めきれない」には二種類ある
    本当の「諦め」を体験したことは
    諦めざるをえない例外
    重大な「諦め」の体験
    「諦め」ても人間に蓄積するものがある
    誠実に努力することの価値
    行動するまえに諦めてしまう人へ
    仕事における人と人の関係性
    期待をしない生き方
    他者への期待に満ちた社会 など
    第5章 諦めの作法
    諦めるものはすべて「方法」である
    価値があるものを諦める場合
    どうしようもないもの、それは感情
    納得を先送りする
    他者を諦めさせる場合
    「自分はこのままでいいのか」というもやもや
    もやもや感は、リアルの自分に対する不満
    自分で自分を救おうとする本能
    小さな不愉快を大きくする人
    「諦める」ことは有利な選択 など
    第6章 生きるとは諦めること
    人生は死へ向かう道
    忌み嫌われる共通のゴール
    死を諦めるか、諦めないか
    死は綺麗さっぱりニュートラルだ
    生きているうちに楽しもう
    老後を心配する人が増えた
    宇宙の果てまで思いを巡らせて
    すべての人が孤独である
    今の自分が寂しい理由 など
    第7章 変化を選択する道について
    人生の先が見えてくる世代
    転職する場合のタイミング
    諦めたことがないのは期待しなかったから
    自分が「よくやったな」と思えるか
    幸福は分かち合えない
    自分なりのものを感じる能力
    「金がない」「時間がない」のなら
    「理解が得られない」「自分に能力がない」のなら
    「夢」を分析することで別の道を探す
    語ることで満足している人 など
    第8章 他者に期待しない生き方
    さっと諦める? とことん拘る
    研究者も小説家も、拘れる職業だ
    家族にも子供にも期待しない
    他者への期待が重い諦めとなる
    信頼されると、やがて幻滅される
    期待しなければ腹は立たない
    周囲のみんなのための自分
    夢は夢のままで良いか
    都会という環境は他者依存である
    これが諦めの極意 など

  • 森博嗣!って感じだった。
    自分のために生きたいよねということとどんな物事にも真実なんて無いのかもしれない森博嗣の本を読むとしみじみ思う。

    悩むということは考えること。
    人間の精神は人を恨みやすくできている
    自分をどう見るかを気にしたい
    どんなに目立つことをしてもどんなに人から感謝されることをしても、それが仕事だったら、偉くもなんともない
    期待しないで負けたときに拍手を送ることが、応援だし、愛ではなかろうか

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2022年 『トーマの心臓  Lost heart for Thoma』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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