新書833 警察庁長官 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022951410

作品紹介・あらすじ

30万人の警察官を率いるトップ、警察庁長官はどんな仕事をしているのか。警視総監の仕事と何が違うのか。どのようなキャリアパスを経て長官は選ばれるのか。キャリアとノンキャリアの本当の関係とは──。國松孝次第16代長官をはじめとした4人の元長官と1人の元警視総監にロングインタビューし、知られざる警察トップの日常と修羅場に迫る。はじめに──増え続ける警察の仕事第一章 警察とその組織 ふたつの警察──警察庁と都道府県警察 警察官の階級 警察庁長官と警視総監 警察庁長官と警視総監の報酬 階級や序列と並んで重要なのは入庁年次と重大事件に遭遇したかどうか 総監の方が退任後の働き場所が増えた 警視総監を退官してからやること 国家公安委員会と警察庁 国家公安委員会の「管理」とは。第二章 警察の現在動向 犯罪も交通事故も減っている。しかし、捜査に関する仕事は増えている クレイジーハロウィーン事件 警察の本質─―第二条で縛られた組織  難しい警察法改正第三章 警察の成り立ちと警察庁長官の原型となった三人の長官 国家警察の時代 マッカーサーの警察へ 警察庁、その役割の拡張 警視総監と警察庁長官になった男──斎藤昇 総理大臣にノーと言った長官─―柏村信雄 日本のジョセフ・フーシェ──後藤田正晴 長官時代の言葉第四章 警察庁長官の仕事と資質 警察庁の仕事◎デジタルにシフトした長官 米田壯元長官(第24代長官:2013年1月25日~2015年1月22日) 経験者が語る警察庁長官の仕事 平成の犯罪激増と犯罪抑止対策 警察改革とは何か 取調べの録音・録画 初めての事件修業─―豊田商事事件 人物を見る。人物を覚える 和歌山で毒物カレー事件に遭遇 警察庁長官の一日 警察庁長官への道 警察と他省庁の似たような仕事について 今後の警察、そして我が国の問題点 法と正義の人 政治家に人事を握らせない 警察庁長官は他省庁の大臣よりも権限も予算も大きい 警察庁長官の弱点第五章 元長官たちの話―─長官になるのに必要なキャリアとは何か◎刑事畑の正統派長官 吉村博人元長官(第21代長官:2007年8月16日~2009年6月25日) なぜ警察に入ったか 修業時代 選挙違反 神奈川県警捜査二課長 警視庁捜査四課長 総会屋対策 大阪府警◎鉄人長官 田中節夫元長官(第18代長官:2000年1月11日~2002年8月1日) 警察に入ったのは? 京都府警 日本一若い警察署長 交通事故の減少 沖縄の通行方法の変更 法律の改正 警察改革 1993年と1995年に起こったこと 國松先輩と狙撃事件 警察官は現場で育つ 警察のあり方を考える◎犯罪被害者の支援を始めた男 國松孝次元長官(第16代長官:1994年7月12日~1997年3月30日) 警察庁の役割 剣道部の先輩 見習い 執行力があった時代 本富士警察署勤務時代、そして三島事件 秦野警視総監 三島由紀夫事件 土田邸小包爆発事件、あさま山荘事件 兵庫県警本部長 暴力団対策法、ドーベルマン刑事との交流 オウム事件と狙撃事件 狙撃 警察庁長官だけの仕事とは第六章 警視総監が見た警察

感想・レビュー・書評

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  • ●日本の警察は2つの組織に分かれている。国家公務員の警察庁。キャリア官僚の組織である。もう一つの警察は都道府県警察だ。地方公務員。警視庁(東京都にある都道府県警察本部)
    ●警察庁長官>警視総監(警視庁のトップ)
    ●警察庁だけは総理大臣でもなく、警察大人でもなく、国家公安委員会と言う独立合議制の機関が管理する。総理大臣と言う政治家の意思が直接働かないようなシステムになっている。政治的中立を保つ。
    ●毒物の事件は、被疑者の自供を取ることがすごく難しい。しゃべらないことを前提に事件を立証しなければならない。毒物事件は首をしめたとか、包丁で刺したといったように直接に手を下したものではありません。犯人は「私がやったわけではない」と言う気持ちになるのです。

  • 歴代の警察庁長官への貴重なインタビュー。刑事や警備、人事、交通など畑は様々でもみな現場での経験を重視していたのが印象に残る。戦後処理の中でGHQと争いながら警察庁の在り方が定まっていった経緯、数百に及ぶ部下の顔と名前を覚えるとかどうしようもない事象に対して責任を取るとかといった長官としての気概についての考察にも学びが多かった。

  • 警察の業務は増えている。警察庁は都道府県警察の調整や法整備を行う。警察は政治家ではなく、国家公安委員会に管理されており、独立している。警察の人たちは、名前をよく覚えている。


    人を大事にするためにはまずは名前を覚えようと思った。警察の独立性は他国にはない日本の良さだと思った。

  • 2022.0428

  • 【298冊目】きっと警察庁長官の思い出なんて面白いことはたくさんあるんだろうけど、どうにも消化不良は否めない。職責上、詳細に語ることはできないということなのだろうか。筆者が書きたいことに、警察庁長官経験者の語りをくっつけただけのように思えて、宝の持ち腐れ感。

     筆者が、公安調査庁、出入国在留管理庁、厚労省麻薬取締部を警察と一緒にしてしまえという議論を展開するのも、雑な印象を拭えない。結論においては完全同意だけれど、その議論の道筋があまりにも粗く、オヤジの居酒屋談義の域を出ない。新書の限界か。

     以前読んだ本との関係では、田中節夫長官(当時)が最も辛かった出来事として、カンボジアPKOに派遣された髙田警視の殉職をあげておられることが、マッチョな巨大組織を統率するトップとしての情を感じさせるインタビューとして印象に残った。

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著者プロフィール

野地秩嘉(のじ・つねよし)
ノンフィクション作家
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経て現職。人物ルポルタージュ、ビジネス、食、芸能、海外文化など幅広い分野で執筆。著書は『サービスの達人たち』『イベリコ豚を買いに』『トヨタ物語』『スバル―ヒコーキ野郎が作ったクルマ』『高倉健インタヴューズ』『日本一のまかないレシピ』『キャンティ物語』『一流たちの修業時代』『ヨーロッパ美食旅行』『ヤンキー社長』『新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語』『京味物語』など多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。

「2022年 『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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