この世界の問い方 普遍的な正義と資本主義の行方 (朝日新書886)

  • 朝日新聞出版 (2022年11月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (308ページ) / ISBN・EAN: 9784022951953

作品紹介・あらすじ

中国の進出と権威主義的資本主義、コロナ禍とベーシックインカム、そしてロシアによるウクライナ侵攻。激変する世界の中で大切なのは、「適切な問い」を立て、思考を深めることにある。表面的な事象の裏にある真因は何か、未来をより良くする可能性はどこにあるのか? 大澤社会学が現代社会の事象に大胆に切り結んでいく。

みんなの感想まとめ

現代社会の複雑な問題を深く掘り下げ、適切な問いを立てる重要性を示す作品です。著者は、中国の権威主義的資本主義やロシアのウクライナ侵攻を通じて、国際政治や資本主義の変質について鋭い分析を展開しています。...

感想・レビュー・書評

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  • この世界の問い方 普遍的な正義と資本主義の行方 (朝日新書)

    作者:大澤 真幸
    朝日新聞出版
    Amazon

    ☆☆☆

    ☆☆☆☆




    読むほどに、気が重くなりますな。「ロシアとウクライナ侵攻」「中国の権威主義的資本主義」「アメリカの変質」「日本国憲法」どれをとっても、袋小路に入った様相。

    たとえば中国は、同盟国を持たない。それは現在でも中華意識をもち、決して他国を対等には見ていない。同盟は、中華意識とは両立しがたい。しかしアメリカのリベラルな資本主義が、富と政治権力と結びつき、どんどん権威主義的資本主義に近づいている。

    資本主義そのものが継続可能かどうか問われている・・・・。

  •  世界で起こっていることを深く理解させてくれる。
    頭がよいというのは、こういうことなのかと思わせられた。
     扱っている題材は、社会学というよりも、国際政治学的に感じたが、大澤真幸氏の強みがよく発揮されている。
     社会学は文字通り、社会一般を対象にした学問なのだなと改めて思った。

  • 全体を通して色々な視点から世界(本書においては日米関係がメイン)を分析してみせる手腕が光ります。個人的に印象に残ったのはウクライナ戦争に見られる近年の戦争が、これまでのような、実利を理念で覆い隠すものではなく、逆の構造になっているということ。例えば石油などの地下資源の獲得が本当の目的なのに、奪われた過去の領土を取り戻すためとか民族の統合を図るためといったタテマエを構築して戦争を仕掛けるのがこれまでの主なものだったのに対し、ロシアのウクライナ侵攻はこれが完全に逆転していて、理念や理想が先行しているから、その国の歴史や思想的背景、時にはアイデンティティやコンプレックスなどを知らなければ、理のないように見える戦争を仕掛ける意味がわからない。この辺りの分析は自身にとってはなるほどと思わせるものでした。

  • 戦争も人種差別もそうだけども、無関心ってのが1番の原因になりうる気がするねぇ。正しい情報を得て、そのうえで判断する。それが全て理想的社会へ繋がる気がする。我々司書はそのために人と情報を繋げる。

  • ●ロシアはヨーロッパなのか?少なくともプーチンはそう考えているはず。キリスト教を受け入れた国である。
    ●西に対する劣等感。 
    ●参照対象はビザンツ帝国⁈

  • 3章4章5章を読了。

  • 秀逸の現代ロシア論・現代中国論・現代資本主義論

    社会学者・大澤真幸(おおさわ・まさち)氏が朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に長期連載している「この世界の問い方」をまとめたもの。

    第1章の「ロシアのウクライナ侵攻」ではロシア(≒プーチン)がなぜこんな戦争をしてしまうのかをロシアの心性から解き明かす。まあだいたいわかっているとこではあるが、西ヨーロッパに対するルサンチマンの発露ということにやはりなりますよね。

    第2章「中国と権威主義的資本主義」が全5章のうち最もおもしろいし、現代中国論でもあり、資本主義論でもある。「民主主義+資本主義」が正しいものとして生きてきた身としては「権威主義+資本主義」のほうが効率が良くてうまくいっていることに驚く。民主主義を標榜している国々でもGAFAのような巨大IT企業が本来公共財であるべき人々の生み出す情報を囲い込んで有料化(まるで税のように)しているわけで、「民主主義+資本主義」とは言っても、その中でGAFAが権威主体になっているとも言える。GAFAにやられるくらいならその権威主体が政府(や共産党)であったほうが民主主義に近い?!という逆説。

    日本社会は中国的なものの島国的変奏曲でもあり、本当は「権威主義+資本主義」のほうが効率いいのだろうな。高度成長期はそうだったのかも、などとも思う。民主主義とは言ってもそれは容易に安直なポピュリズムに堕してしまうのだから。

  • プーチンのウクライナ侵攻の発想を事細かに分析しており、ロシア人の思いとプーチンの最終構想を述べているが、ある程度理解できたと思っている.プーチン(ロシア人)のヨーロッパに対する深い劣等感とそれに由来するルサンチマン(怨恨)が根底にあるとの議論は面白かった.中国とアメリカの体制に関して、前者の権威主義的資本主義が主流になるのではないかという危惧は、多くの人が密かに感じつつある懸念だと思っている.そうなって欲しくないが、中国の力量は侮れないものがあるのが事実だろう.いろんなことを考えさせてくれる良書だ.

  • 著者が月刊誌で発表してきた時事的な評論のおまとめ本。著者の単行本と違い多少砕けた言い方や好き嫌い等の嗜好も読み取れて興味深い。やや局所的なテーマもあり一貫して読み応えがある感じではないが軽めの内容としての良さもあり。

  • 背ラベル:304-オ

  • 書店で気になって入手・読了。自分の知識レベルだと、大澤さんの著作は結構難解に思えるものが多いので、本作はどうかと思ったけど、これがまた、今の自分にベストフィット。字面だけの理解だととても足りない大変化が矢継ぎ早に起こっている昨今、かといってそのいちいちを突き詰める時間も、そして能力もない場合、本書のような一冊は非常に有難い。実はどのあたりが分かっていないのか、まずは具体的に言語化。そしてそれらを、ある程度普遍性が高いと思える理由で解きほぐしていく。そこで分かった気になってしまうのも危険だけど、自身の思索の取っ掛かりになることは間違いない。この連載、今後も定期的にチェックしておこうかな、と。

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著者プロフィール

【著者】大澤 真幸(おおさわ・まさち)
1958年長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。思想誌『THINKING「O」』(左右社)主宰。2007年『ナショナリズムの由来』(講談社)で毎日出版文化賞、2015年『自由という牢獄』(岩波現代文庫)で河合隼雄学芸賞を受賞。近著に『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『資本主義の〈その先〉へ』(筑摩書房)、『我々の死者と未来の他者』(集英社インターナショナル新書)、『私の先生』(青土社)など。

「2024年 『メディア論集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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