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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784022952288
作品紹介・あらすじ
「新しい戦前」ともいわれる時代を知の巨人と気鋭の政治学者は、どのように捉えているのか。日本政治と暴力・テロ、防衛政策転換の落とし穴、さらには米中対立やウクライナ戦争をめぐる日本社会の反応など、戦後の転換期とされるこの国の今を読み解く。
みんなの感想まとめ
時代の変化とその影響を鋭く捉えた本書は、現代日本の政治状況や社会の反応を多角的に考察しています。特に、ナショナリズムやポピュリズムの危険性、そしてそれが引き起こす差別や暴力のリスクについて深く掘り下げ...
感想・レビュー・書評
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外国人問題が不快である。反日国家からの外国人が日本人の大切にしてきた文化を無視するような現況にも強く危うさを感じるのだが、それを煽るナショナリズムも嫌で、勝手に思考が雁字搦めになってしまう。右も嫌、左も嫌。
右に関して言うと、ナショナリズムを煽る方は言いっぱなしで、いずれファシズムまで暴走しかねないリスクを顧みていない。こちらも同じナショナリストではあるから、どこぞで悪さをしたという話を聞くたびに不愉快な気分になるし、さらに煽情により引き起こされるレイシズムから虐殺の危険性まで心配し「まあその辺で…」と抑え役をしないといけない役回りにも疲れる。悪口大会に参加したくないのだ。
言っている事は正しくても、それで火が付く人たちをあなたにはコントロールし得ないから、言論は、そういう層を巻き込む時に、よほど慎重にしなければならないよ。
ポピュリズムはファシズムに対して無責任。言い換えると、熱量はその暴走に無力、とも言える。戦争も差別も殺戮も、正義感を駆動力とした善意の熱量が暴走して起こる。火を付ける人も火が付く人たちも、それをコントロールできない場合が多い。民主主義の負の側面だ。ネットでの炎上も似たような構図。
悪いものは悪い!不良外国人だけに向けて言っているのだから、善良な外国人は関係ない!と、正義感がほとばしる。それはよく分かる。だが、道行く個人を相手にそんな区別はできないから、過去に虐殺が起こっているのだ。大衆は区別できずに“疑いと嫌悪感“を感染させていく。
事態を改善されるため大衆を巻き込む必要性は分かるので、同時に善良外国人に被害が及ばぬよう、言論にブレーキ機能を持たさねば。ショート動画で煽る部分だけ拡散されるのを良しとするのは避けるべきではなかろうか。
これらは認識という空間の領土問題だ。本書は岸田政権下の世情をあれこれ語り合う内容。自民党批判が目立つ。だが、出版による言論は良いのだ。動画は点火力が強いから危うい。
台湾有事や日本における核のあり方、日米安保の意味、ウクライナ問題やアノクラシー、ジェンダー問題など興味のある“いま(少し前だが)“を読み解く。中々興味深い内容。
最近レビューでの思想が強くなってきた気がするので、自粛していく。問題は一人一人ではなく、国家である。新しい戦前。つまりこの国の“いま“が、戦争前夜であるとも読める。 -
ほぼ同じ頃に出版された「鵺の政権」と比べ勉強になった朝日新書。熱い白井聡と大人の内田樹の対談だ。
「5章日本社会の何が“幼稚 „か」で語られる教育の問題に共感したり反省したり。久しぶりに教師であった自分のことを振り返り、考えさせられた。
お二人の熱さとクレーバーさのホンのわずかでも自分にほしい。 -
面白かった。
まず前提として平成世代の自分としては日本が米国の従属国だという認識が乏しい。確かに学校でも現代史はざっと流されて学んだ記憶がある。
また中国との有事が起きた際に無防備だという現実感がない。日米安全保障条約があり、在日米軍があるから大丈夫と思っていたが、儚く崩れさる。
そしてリベラル層を中心に盛んに叫ばれているジェンダーについても興味深かった。 -
タモリさんの「新しい戦前」発言は、ロシアの件と日本の環境変化に感じるモヤモヤを表現してくれたと感じた。宮崎駿さん新作も戦前名著を採用。「新しい戦前」を考えてみたい
#新しい戦前
#内田樹
#白井聡
23/8/18出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3QIXG1k -
時々難しくて、時々わかりやすい。追いついてないことも多いけど、それはそれでよし、と内田先生は言ってくれるはず。
広く知ろうとする、深く考えようとする、わからないことはわからないと言ってそれでよし、と思える。 -
対米従属を真正面から語ろうとする本に初めて会った。
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”新しい戦前”と言う言葉は、昨年末「徹子の部屋」でゲスト出演したタモリが、2023年について問われ「新しい戦前になるんじゃないですかね」と発言したことから話題になったとのこと。ただ本人からその言葉の背景はなかったし、黒柳さんからの質問もなかったので、受け止め方は様々だ。
安倍元首相の頃から、かなり戦争に対するハードルが低くなってきたと感じるのは、私だけではないはずだ。岸首相になって、所属する宏池会は、政策面では保守リベラル派に属し、特に安全保障では日米関係を重視しながらもハト派的傾向という認識だったので、少しはブレーキがかかると思っていたが、しらっと異次元の防衛費増額を指示している。
これは派閥の理論で、タカ派の安倍派のサポートを受けるための対応かもしれないが、そうだとしたらポリシーがないと思うし、自発的だとしたら、ハードルをより低くするような危険を秘めた首相だろうと感じる。
そこで、この本の内容。
タイトルの”新しい戦前”は、タモリの発言を意識しているのか分からないが、さすが内田さんと白井さんの対談らしく、現状への批判は胸がすく。
政治的内容に軸足を置くが、教育、会社の取るべきスタンス、ジャーナリズムなど、日本に存在する閉塞感の原因みたいのをあぶりだしているのには、共感する内容が多い。
2022年12月に岸田政権が閣議決定した新しい安保関連3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略[現防衛計画の大綱]、防衛力整備計画[現中期防衛力整備計画])はアメリカとの綿密な打ち合わせ、調整、擦り合わせのもとに出たもの。新しい安保関連3文書を出したかのは、日本政府は中国から核攻撃されるかもしれない可能性を視野に入れている。しかし米国は本気で日本を守るのだろうか。
不安ゆえ米国の言うことをただ聞き、聞いてさえいれば自民党の長期政権は保証される。自国の国益よりも米国の国益を優先的に配慮する政権なので、米国としては未来永劫自民党政権が続いて欲しいと願っている。
日本には自前の国防戦略がない。日本の政治家が自分の頭で考えて、自分の言葉で日本の安全をどう守るか真剣に語るということを、もう国民は誰も期待していないと言われるが、その通りだろうな。
今の日本の指導層はあらゆる領域で世襲が幅を利かせるようになったが、それが日本の衰退の一つの理由だろう。
政治には勝ち負けしかなく、勝った方が正しく、敗けた方が間違っていたという底の浅い政治理解がこの10年間急速に進行した。それは維新だけでなく、自公政権与党にも、野党にまで浸透している。自民党の政治家たちは「安倍政権の間、6回の国政選挙に勝った。ということはアベノミクスは成功だったという意味だ」という没論理的なことを平然と言い放つ。獲得議席の多寡と、政策の正否というまったく次元の違うものを混同している。
憲法99条には公務員の「憲法尊重擁護義務」が定められているにもかかわらず、議員たちは平然と改憲を口にする。「護憲集会」を開こうとすると「偏った政治的主張をするな」と言って、公的支援を拒否する役所さえある。「憲法なんかいくら違反したって構わない」ということを現に実践している連中が「憲法を変えることが重要だ」と言っていることの矛盾。それ以上に、日米安保や日米地位協定ですら憲法より上位にあると言う矛盾。
学校教育の目的は、子どもたちの市民的な成熟を支援することに尽きるが、「学力」というのを、ほとんどの人はこどもの頭の中に貯蔵されている知識やデータが量的に増えることが「学力が向上すること」だと思っている。「学力」というのは「学ぶ力」のことで、生きる力」と同じ。数値的に計測できるものではないし、他人と比べるものでもない。「学ぶ力」というのは、「自学自習」できる力のことで、乾いたスポンジが水を吸うように、触れるすべてのものから知的滋養を摂取できる能力のことだ。そして学校教育の仕事は、「学ぶ力」を起動させることだ。学校教育の成否は、それから数十年経った後に、日本社会にまっとうな大人の頭数が十分に揃っていて、おかげで国運が衰えていないという事実によってしか検証できない。
教師の一番大事な仕事は、歓待と承認と祝福。「ここは君のための場所だ」と言って子どもたちを歓待し、「君にはここにいる権利がある」と言って子どもたち一人一人を固有名において承認、そして「君たちがここにいることを私は願っている」という祝福を贈る。この三つができたら、それだけで学校教育の一番大切な仕事は終わっている。
よく政治家が失言をした後に「発言の一部を切り取られた」「真意はそこにはない」「誤解を招いたとすれば遺憾である」というような言い訳をするが、「失言」というのは、まさに「誤解の余地なき剥き出しのメタメッセージ」の部分を聴き取られたということなわけだ。その失敗を糊塗するために「いくらでも解釈の余地のあるメッセージレベル」に問題を移すことで話をごちゃごちゃにして責任を逃れるということが常套化している。これは日本語のためによくないことだと思う。
大阪維新がまずやったのは公務員叩き、それから公共交通機関の民営化、医療拠点の統廃合、そして学校の統廃合だが、みごとに社会的共通資本だけを標的にしてきているのがわかる。人間が集団的に生きてゆくときの安定的な土台を崩して、住民を流動化する。目端の利いた人間ならこの機会に乗じて公共財で私腹を肥やして個人資産を積み上げることができる。うすぼんやりした市民はその食い物にされる。安定性・継続性が命であるところの社会的共通資本を政治的・経済的変化によって激変する複雑系に作り替えた。
立民の泉さんは「提案型」ということを言っているが、日本の政治的な文脈においてな提案」をするということは、対米従属スキームの中で政治をするということ。このスキームの中にいると「リアリスト」と呼ばれ、そこから出ようとすると「夢想家」扱いされる。しかし、日本の政党の掲げるべき第一の政治的課題は「国家主権の奪還」だと思う。日本は部分主権国家であるという痛苦な自覚がない政治家には日本を次のフェーズに引き上げることは出来ない。
「能力主義・成果主義」ということがうるさく言われるようになったのは、経済成長が止まってから。能力の発揮のしようがなく、成果の上げようがなくなってから、そういう言葉がうるさく口にされるようになった。査定主義は結局減点主義になるので、思い切ったことをやって失敗して大減点されるよりも、何もしない方がよいという判断になる。
今のジャーナリストたちはたぶん子どもの頃から「勇気を持て」と教えられたことが一度もないんだと思う。マジョリティの中での相対的な優劣を競うことには熱心に取り組んで来たけれど、マジョリティを向こうに回して孤立を恐れずに自分の所信を言い切ったという経験のあるような人間はまず今の大手メディアにはいない。有名大学を出て高い倍率を勝ち残って、エリートのつもりでテレビ局に入ってきた人たち。権力に抗う動機がそもそもない。マスコミ全般そうなってしまっている。そういう価値観や生き方がつまらないものだという意識がない。だから一度更地に戻すしかない。 -
安定の内田節。最近言わなくなってしまったが、氏の「みんなまとめて面倒みよう」の哲学を端々に感じる。日本に対する同じような危機感を抱きながらも、この辺の寛容さが宮台真司と異なるところか。白井氏がファシリテーター、内田樹・宮台真司対談、やらないかな…
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大好きな内田樹先生と、白井さんという方の対談
政治的な話が多く、ちょっと肌感がない自分は、ピンとこない部分も多数あった。
一つ心に残ったのは、「加速主義」の話しで、
現在「もうやばいなら、いっその事、一度めちゃくちゃにしてやろう」という思想のことで、資本主義が色々な歪みを生みまくっている現代で蔓延っているという話があり、確かに自分もその念に駆られる時ある一面があってハッとした。
脇の話だが、
内田先生が書いた「先生はえらい」という本が大好きなのだが、その本の話も対談に出てきて、内田先生としてもターニングポイントになった本の一つなのだと思って嬉しくなった。 -
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● 2022年の年末、タモリさんが「徹子の部屋」で言った「新しい戦前」が話題になりました。
●未だに日本は、アメリカの植民地。
●ウクライナ戦争はアメリカの陰謀か。テロリストレベルでは行えないパイプラインの爆破事件。現実の世界は複雑であって、誰か唯一の主体が全てをコントロールするなんてことはできない。だから、陰謀を否定してはならないが、陰謀論は否定しなければならない。
●安倍晋三と言う強烈なキャラクター。安倍さんは、妄想的ではあれ本気で「戦争ができる国」にする気でいた。彼の人気はその妄想のスケールの大きさにあったと思います。
●自民党は世襲議員だらけ。家業として議席を保持することが最終目的。別に実現したい政策があるわけではない。今の日本の指導層は、あらゆる領域で世襲が幅を利かせるようになりました。これが日本の衰退の1つの理由だと思います。
●人事の15%位は「バカ枠」てとってもいいんじゃないかと思うんです。
●「学力」と言うのは「学ぶ力」のことです。「生きる力」と同じです。数値的に計測できるものではないし、他人と比べるものでもない。「学ぶ力」と言うのは「自学自習」できる力のことです。乾いたスポンジが水を吸うように、触れるすべてのものから、知的滋養を摂取できる能力のことです。学校教育の仕事は「学ぶ力」を起動させることです。
●ある時期から「勇気、正直、親切」と言う徳目が少年文化から消えました。1980年代以降の週刊少年ジャンプ「友情、努力、勝利」これだと、孤立している人間は、そもそもゲームのプレイヤーとして認知されていない。だから、孤立した子供が努力することを勝利することもできない。「まず仲間を作れ、それもできるだけ強い集団に帰属せよ」というのが、80年代以降の少年たちの新しいイデオロギー。 -
自分はどちらかというと右よりの傾向にあるので、最初のうちの日本叩きにはムカムカしながら読んでいたが、どこかに日米地位協定が憲法より上にあるのが問題である云々あって、基本がそこなら同じでない?となって、あとは素直に読めた。ごもっともな内容でした。
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某所読書会課題図書: 安保関連3文書を閣議決定で制定することへの危機感が、一般の国民の中に見られないという事実がある.メディア自体の検証力も弱体化させられてきていることは明白だが、メディア側にその意識がないことも問題である.二人の討論が文書化されることは非常に重要だと感じている.周辺国、特に中国では政府批判は全くできない状態に置かれていることを再認識したい.
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いつも通りの内田・白井節。物おじせずに真っ当なことを言っている。中国とは軍事力で対抗できないからアメリカ一辺倒にならずに付き合うべきとか、やっぱり時流に流されずにちゃんと考えることの重要性に気がつかされる。
しかし、彼らも自覚しているだろうけど、このように主張しているだけではジリ貧なので、別の戦略・戦術も必要なんだと思う。 -
タイトルから、安全保障の話か、平和論かと思っていたが時事放談のようなものだった。でも面白かった。
加速主義という言葉を知った。やけくそ主義だ。堕ちるなら早いとこ堕ちてしまおうってことか。
ポリティ・インデックスという指標も初めて知った。こういう指標で表されるとわかりやすいな。
希望はどこにもないなあ、と思いながら読んでいたが、希望は地方にあると。地方政治に希望はある。
やけくそ主義に陥らずに地方でコツコツやっていくか。 -
危機感は伝わる。どうすればいいという指針がないのよね。ほぼ愚痴。絶望してんのかな。
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放談を文字で確かめている分には、ちゃんとしたことを話してはいるのかもしれないな、とは思う。
けれど如何せん、この内容には日本という国をどうするかの希望が見えてこない。悲観論ばかりでは、戦後日本人がアメリカの洗脳に毒されてしまったように、何も考えなくなってしまう。 -
新しい戦前はタモリさんから始まったんですね。アメリカの没落、中国の動向、日韓、東アジア同盟。興味深い。
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少し偏った考えではと思う部分もあったが、米国依存で日本固有の意見がでにくい日本の状況を憂う指摘は、納得できた。
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今回まとめて読んだ新書群は、ほとんど自分が書店で選んで入手したってこともあるんだろうけど、驚くほど似た主旨のものばかりになってしまった。興味の対象だから仕方ないとはいえ、もっと多方面的に選書しないとって、ちょっと反省。それはさておき、本書も内田印の安心の一冊。新たな戦前よろしく、もはや新たな戦中って主張にはドキッとしたけど、言われてみれば…ってところ。何を言ってもどうしようもないなら、いっそ行き着くところまでっていう、加速主義も確かに分からんこともないんだけど、やっぱり自分としては、あくまで内田さんの言うような、ソフトランディングを期待してしまいます。中高一貫でキャラが固定、体育座りは自分を縛る、などなどいちいちごもっとも。
著者プロフィール
内田樹の作品
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感想 :

アメリカのベネズエラ攻撃に、やはり新しい戦前はすでに戦中な...
アメリカのベネズエラ攻撃に、やはり新しい戦前はすでに戦中なのではと今朝ニュースをみて思いました。
扇動について、SNSを騒がせりAIを使った動画など、日本人の矜持とは相入れなすぎて戸惑います。対立を煽るために仕組まれた罠だと思いたいくらい。
思慮深い視点はとても勉強になりますし、豊富な知見レビュー楽しみにしております!
ベネズエラですが、年初に中国の訪問を受け戦略的パートナーシップを再確認したばかりのタイミングであ...
ベネズエラですが、年初に中国の訪問を受け戦略的パートナーシップを再確認したばかりのタイミングであり、中国側はアメリカの国際法違反を非難。ここも米中関係の文脈で見ていく必要がありそうです。
ネット上には既に国内外から認知戦に参加してきていますので、仰るとおり、これは私たちの思考を歪ませる“罠“になり得ます。不安を煽り防衛費を上げる、敵対を煽り結束を揺らがせる、親中(米)を刷り込み日本をコントロールさせる…全方位に油断ならない。幸い、対立したポジションの反論が存在するため、全方位にその反論に触れるべく読み進めたいと思います。