裏金国家 日本を覆う「2015年体制」の呪縛 (朝日新書970)

  • 朝日新聞出版 (2024年9月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784022952783

作品紹介・あらすじ

「裏金」がばらまかれ、言論を封殺し、縁故主義による仲間内資本主義(クローニーキャピタリズム)がはびこる日本社会。民主主義を破壊し、国際競争力を低下させ、経済の衰退を招いた「2015年体制」とは。負のらせん状階段を下り続ける、この国の悪弊を断つ。

みんなの感想まとめ

日本の政治と経済の現状を鋭く分析し、裏金がもたらす悪影響を浮き彫りにする内容が展開されます。著者は、経済学者としての視点から、民主主義の危機や国際競争力の低下を指摘し、特に「裏金国家」としての日本の現...

感想・レビュー・書評

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  • 読み出して早々に日本と政治家にうんざり。
    目を逸らしてはいけないのだろうけど、しんどくなって閉じました。

  • 興味深く読んだ。頁を繰る手が停め悪くなり、素早く読了に至った。
    「判り悪い?」と思っていたことに関して踏み込んで解説するような感で、そこから更に踏み込んで色々と考えられることの話題を展開して纏めている。こういうような「考える材料」は必要なモノであると思う。
    最近は、「裏金」という語が随分と耳目に触れたと思う。政治資金を巡り、政治家達が正当とは言い難い手法で不透明な資金を集めていて、課税される収入に見做されるモノを秘匿するような事迄していたようだというのが、最近耳目に触れた「裏金」という話題だった。が、著者はこの「裏金」というモノを少し押し拡げた観方を示している。政が私されるような様子が著しく進む中、妥当性に関して論議の余地が大きい政策が繰り返され、政府迄が正当とは言い難い手法で、後の時代に禍根を残しそうな様子で金を遣っているのだとする。国そのものが「裏金」に塗れて、何とかしなければならないような状態であることを知って考えるべきだとしているのである。
    政が私されるような様子が著しく進み、近年の至っているが、その様子を著者は「2015年体制」と呼んでいる。“主流”とされる考え方と少し違う“非主流”、“主流”に批判的な“反主流”というのが在り得る。これらの中、“主流”だけを取上げるようになり、公安部門に在ったような警察官僚出身者を官邸で登用して要職に就け、政権への忖度ばかりが前面に出る体制を築き上げ、報道や学術界の自由な活動を妨げるようなことをして、「仲間内」ばかりを利するような、必ずしも妥当性が高いとも思えない経済政策を採り続け、他に大切な事が多々在る中で「裏金」的手法で防衛費を増やし続け、大切な事を国会ではなく閣議で決めてしまうというような様子で眼を覆いたくなるという論が本書では展開されている。そういうような様子が2015年頃から顕著になったとして、著者は「2015年体制」という用語を用いている。
    何かの選挙で、「当選して何事かを為すという以上に、当選して地位に就くことが目的?」と感じさせる言辞を弄して、そういう雰囲気を醸し出す方達を見掛けないでもない気がする。本書では、そういう人達が余りに多く、幅を利かせ過ぎているとしている。個人的には、そういうことになると「有権者??」ということになってしまうような気もする。が、「裏金」というような手法迄在って、各地方が「仲間内」で固められ、外れると生きて行き悪いという様子迄作られてしまっていて、悪弊から抜けられないという論が本書では展開されている。
    個人的には思う。少なくとも「公文書改竄」で思い詰めて自死に至った方が在った件の「落とし前」位はつけるべきではないだろうか?その件も本書では取上げられている。大切なことだ。
    極最近、与野党で新たなリーダーが各々選任されたという様子である。新たなリーダー達の下で何か動きが在るのかもしれない。そんな時期であるが故に、本書で取上げられている話題は価値が高い。広く本書を御薦めしたい。

  • ポッドキャストでよく聴いていた金子節は辛辣な内容でも語り口が心地よく、同感同感と何度も頷いていた。
    本書は経済学者としての見識に溢れ、我が国の現状分析、裏金と国の行く末との関係、さらには国自体が裏金を作り出す「裏金国家」と堕していることへの鋭い追及も鮮やかである。
    先など意識せず今だけ儲かればいいという経団連等の害悪は裁かれるべきだし、先を見せないことに注力する政、官、マスメディアもひっくり返す必要がある。
    衆院選で自民は大きく衰退したが、案の定ここぞとばかりすり寄る輩が国民の願いを台無しにしようとしている今、金子勝の「令和船中八策」に学ぶべきだと思えた。

  • 不正腐敗を一掃。できるだろうか。裏金作りを止めることはできるだろうか。

  • 要するに、世襲議員が偏差値エリート官僚と、社内抗争だけで生き残った
    大企業のサラリーマン経営者とつるんで、国税を未来のために使わず、
    既得権益維持のために無駄に使っている、ってことだ。
    文化放送大竹まことのゴールデンラジオで毎週金曜に叫んでいる金子勝節が、
    この新書で体系的に示されている。

    世襲議員は相続税なしで親の地盤看板を受け継ぎ、家業を守ることだけ考え、
    偏差値エリート官僚は天下りで数年に一度高額退職金を得、
    大企業サラリーマン社長は一般サラリーマンの100倍の報酬を得る。日産のように。
    そして日本は沈む。ってこと。

    悲しくなるね。
    こりゃ陰謀論じゃないよ。
    だから心ある官僚がどんどんやめてるんだよ

    第1章 「2015年体制」というディストピア
    第1節 日本政治の腐った根っこ
    第2節 「2015年体制」とは何か
    第3節 世襲という病

    第2章 自浄能力なき隠蔽国家――腐敗が止まらない仕組み
    第1節 検 察の権力チェック機能も自民党の自浄能力も期待できない
    第2節 国会審議で明らかになったことは何か
    第3節 自民党内のアリバイ的処分と法改正
    第4節 政治資金規正法改正の自民党案の欺瞞性

    第3章 裏金国家――国が腐るとはどういうことか
    第1節 「惨事」便乗型資本主義
    第2節 「国家的」な裏金作り
    第3節 円安インフレと防衛費膨張の悪循環
    第4節 投機マネーに狙われる国
    第5節 ずるずるとした滅び

    第4章 裏金国家の経済政策――仲間内資本主義日本
    第1節 プーチン型権力を目指す
    第2節 リフレ派とMMTが日本経済を滅ぼす
    第3節 政府の産業政策が衰退を加速させる

    第5章 ディストピアから脱する道――裏金を提供する者のためでなく困っている者のための政治へ
    第1節 政権交代が必須
    第2節 円安インフレと格差拡大を防ぐ
    第3節 防衛費膨張を止めてイノベーティブ福祉国家へ
    第4節 地方衰退を食い止める
    第5節 いかにして少子化を食い止めるか

  • いわゆる裏金事件だけでなく、世襲議員と選挙の問題、政官財のトライアングル、防衛費や電力、マイナンバーカードの問題まで取り上げており、読みごたえがあった。

    小選挙区制度が導入された1996年総選挙以降の総理大臣は、12人のうち9人が世襲議員。 2024年現在の自民党の衆議院議員258名のうち109人(45%)が世襲議員。世襲議員は、金でつながる地域の利益共同体を作ってしまえば、同じ選挙区で競い合う必要がないため、切磋琢磨して身につける政策形成能力も答弁能力も必要なくなっていく。小選挙区制度の下では、裏金を含めた政治資金を持って地方議員を囲い込む利益共同体を作り、世襲政治家を軸に政府の利益配分によって地域政治の独占を図っている。

    中国新聞の報道によれば、官房長官には毎月1億円の官房機密費が入ってきて、領収書なしで使える。そのうち1000万円は首相や自民党国対委員長に渡すのが習わしらしい。

    日本の司法制度は、起訴するか否かについて検察がさじ加減で決めることができる起訴便宜主義をとっている。政権交代がなく、長期政権が続いているために、検察は自公政権を忖度しながら、自らの権限を拡大するように動いてきた。

    第二次安倍政権の2013年以降、天下りが増えていった。 2014年には経団連が政治献金を復活させた。自公政権が行っている経済政策は、多額の企業献金を出した企業に向けて、自民党がその利益を優先した経済政策を実行し、天下り官僚がそれを媒介し、アベノミクスが支える仕組みが出来上がっていった。著者は、これをメディア抑制体制とともに「2015年体制」と呼ぶ。

    大規模な財政出動と金融緩和で円安インフレがもたらされたことによって、経団連企業は膨大な利益を上げることができた。防衛費倍増や原発の運転期間の60年超への延長も、傾いた重化学工業の救済が目的。マイナンバーカードを推進する狙いは、アメリカ巨大IT企業に後れを取る日本のIT企業への救済でもある。

    1960年代から70年代の高度成長期の再現を望む東京オリンピック、大阪万博、リニア新幹線といった路線は、過去の栄光にしがみついたものである。世界で進歩が著しい情報通信産業、ゲノム創薬と医薬品ヘルスケア産業、再生可能エネルギーと蓄電池、EVと自動運転などの先端産業分野では、決定的に遅れをとってしまった。

    新型コロナウイルスの流行という惨事に便乗して、国会のチェックが効かない予備費を2020年から毎年およそ10兆円も組んできた。 そこから国会のチェックが効かない隠し金である「基金」を設けて余らせて、防衛費の倍増政策を賄おうとした。
    ※防衛費は2027年度までに年額約11兆円(GDP比2%)へ倍増することを表明し、2023年以降に急拡大した。財源として、税収増、歳出削減、決算剰余金、特別会計の繰入れなどを組み合わせると政府は説明した。

    福島第一原発事故後の発送電分離改革は法的分離にとどまっている。東京電力は持株会社を作って、発電会社と送配電会社を同じグループ企業として一体化させており、関西電力は、発電会社が送配電会社を子会社化するといったレベルに留まっている。この10年間で、太陽光発電のコストは1/10、風力発電のコストは1/5に下落しているが、政治献金と天下りによって経産省は太陽光発電を衰退させていった。電力の安定供給という古い発想に基づいて、日本独自の「容量市場」を創設し、再エネの新電力にも大手電力会社の原発や火力の建設・維持管理負担まで負わせている。
    ※大手電力会社は既存の発電・送電インフラ(火力・原発・地域独占送電網)によって構築された利益構造を守るため、再生可能エネルギー(特に太陽光・風力)の受け入れに消極的。電力業界は経産省との関係が深く、天下りや業界団体を通じた影響力が大きい。多くの政治家も電力労組や電力会社とつながっており、政官業の三位一体構造が再エネ推進を阻んでいる。容量市場では、実態として大手電力の老朽火力や原発の維持費が新電力や消費者に転嫁されている。2020年の初回の容量市場では、1兆円以上の支払いが消費者・新電力に課された。

    マイナンバー関連事業は10年間で少なくとも3000億円近く発注されているが、大企業8社が独占的に契約している。自民党政権復帰以降の9年分の政治資金収支報告書によると、NTTデータ、凸版印刷、日本電気、日立製作所、富士通の5社で合計7億円を自民党の政治資金団体に献金している。その中心にとなるJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)には、総務省官僚が天下っている。

  • 久々に金子勝氏の本を読んだ。
    政権交代を通じてイノベーションをめざすのことは良いが
    二大政党制を目指すのか、少数政党の大連立が良いのか
    国民も投票に行った方が良いと感じた。

  • 安倍政権以来感じていたことを痛烈に言語化してくれていた。

  • リフレ派とMMTは同列のものとみなされているがそうなのか? よくわからない。 

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著者プロフィール

1952年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。法政大学経済学部教授、慶應
義塾大学経済学部教授などを経て、現在、淑徳大学大学院客員教授、慶應義
塾大学名誉教授。著書多数。近著に『現代カタストロフ論 経済と生命の周
期を解き明かす』(岩波新書)、『岸田自民で日本が瓦解する日』(徳間書店)、『高
校生からわかる日本経済 なぜ日本はどんどん貧しくなるの?』(かもがわ出
版)、『裏金国家─日本を覆う「2015年体制」の呪縛』(朝日新書)がある。

「2024年 『「食料・農業・農村基本法」見直しは「穴」だらけ!?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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