底が抜けた国 自浄能力を失った日本は再生できるのか? (朝日新書978)

  • 朝日新聞出版 (2024年12月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784022952943

作品紹介・あらすじ

専守防衛を放棄して戦争を引き寄せる政府、悪人が処罰されない日本社会、「番人」の仕事をやめたメディア、不条理に従い続ける国民。社会の自浄作用が働いていない「底が抜けた」現代日本社会の病理を、各種の事実やデータを駆使して徹底的に検証!

みんなの感想まとめ

現代日本社会の病理を鋭く分析した本作は、政治、教育、メディアにおける問題点を浮き彫りにし、社会の自浄作用が失われつつある現状を描いています。著者は、政府の政策や教育の影響により、倫理観が欠如した市民が...

感想・レビュー・書評

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  • 現状否定。危機感を煽るような内容で、自民党批判的な文章が目立つが政権与党である以上、当然のこととも言える。年々、漠然とした不安感が増していくのは私個人だけだろうか。あるいは年を取るということは、そういうものなのだろうか。

    資本主義に軍事が含まれるのはモラルハザード。戦前から何も学んでいないような、そんな気さえする。本書で取り上げられる内容だ。恐怖、嫌悪、薄気味悪さ…色んな感情が入り混じり湧き立つ。

    日経新聞に掲載された「三菱重工、半年で株価2倍」「防衛の受注急増」という記事。しんぶん赤旗が掲載した「三菱重工など岸田大軍拡で株価急騰」という記事。この二つの記事は三菱重工業という企業の業務内容と同社の株価急勝について、異なる角度から説明したもの。「三菱重工業の株価が絶好調だ」という言葉で始まる日経新聞の記事は、同社の株高を「慶事」のように肯定的に説明し、各種兵器の受注増大がある事実を記す。赤旗が良いなんて思いもしないが、死の商人をキャピタルゲインで賛美するもう片方もどうか。

    さあ、もっとグロテスクな引用をしよう。

    ー 小林一三は日本全土がアメリカ軍の空襲で焼かれ、日本経済も大打撃を被ってから五年しか経過していないにもかかわらず、その惨状へと繋がる戦争(日中戦争)の始まりを「天佑」と喜んだ自らの行いを反省せず、「朝鮮特需」によって企業が利益を受けているとの理由で、朝鮮半島で多くの人々に死と苦しみをもたらした朝鮮戦争の勃発を喜ぶかのような内容を日記に記していました。「…種々雑多の軍需注文が日本の各方面に供給準備が命ぜられて、我国としては好材料にホクホクの体である。恐らく十億ドルのはお金が這入る」

    左寄りのご都合主義的編集の感もあるがしかし、資本家が戦争をホクホクという、その気持ち悪さを抑止できなければ、我々はまたその惨事に巻き込まれかねない。

    ー 「自分は従う立場」だという従属意識を、子どもの頃から学校や社会で刷り込まれると、大人になっても「会社や上司、政府に従う立場」に居着いて、その上下関係の構図でしか社会と折り合いをつけることができなくなります。そして、「自分は組織の上位者に従う立場」だという従属意識がすっかり内面化してしまうと、組織や集団の中で「上位」とされる人間の発言や行動がおかしいと思っても、自分は「それは問題だと指摘する立場」ではなく「問題があっても従う立場」という思考の障第に落ちて、組織や集団の「自浄能力」に寄与することができなくなります。

    「批判的思考」を取り戻す事。その実行力。日本の利権を為政者に取り戻すだけの政治ではなく、日本そのものを日々の努力が報われる健全な国へ。

  • 新聞・テレビはいつまで「偽りの中立」を続けるのか…「報道の自由」を自ら手放したマスコミの末路 政治家の汚職を「政治とカネ」と言い換えた裏の意図 | PRESIDENT Online(2024/12/14)
    https://president.jp/articles/-/89110

    朝日新聞出版 最新刊行物:新書:底が抜けた国
    https://publications.asahi.com/product/25156.html

  • 今の日本のダメな現状を鋭い指摘をした本。しかし、この国はどうなってしまうのか、本当に考えないととんでもない未来が待っている。政治による底が抜けた国、日本。国民が声を上げないと日本はまた、あの戦争の様な状況になる。

  • 著者と同年代なのだが、確かに昔に比べて倫理観が欠落した人が増えたと思う。これは政治家や官僚、財界人に限った話でなく、まさに上から下まであらゆる階層で『底が抜けた』状況になっている。
    著者が分析するように、その原因は教育にあることも間違いなくて、長年の愚民化政策がここに来て実を結んだ結果と言えよう。著者は第二次安倍政権が転機のように言うが、そんなことはない。もっと昔から、おそらく意図的に進められてきた政策なのだ。エリート層を金持ちのお仲間とそのご子息で独占し、能力とは全く無関係に金持ちしか支配層に行けなくなった。安倍元首相を始めとして有力政治家もほぼ世襲で、明らかに国政を任せられる能力がない者も多い。そしてそこからこぼれた普通の国民は問題意識を持たないように巧妙に教育されていく。
     ジャーナリストのレベルが落ちたとの指摘もわが意を得たりだ。ありがたいことに最近は記者会見をネットで見られるようになったが、いとも簡単に詭弁を許す記者ばかりだ。珍しく気骨のある女性記者が出てきたと思ったら、それも頭が悪いやり方で余計にジャーナリズムの質を落とす結果となった。
    この状況を変えるには選挙しかない。まだ良心と能力が残っている政治家候補がいるうちに彼らを国会に送る必要がある。著者はデモの重要性を訴えるが、民主主義国でデモによって政策を左右させるべきではない。仮にデモに10万人が集まったとしても全有権者の0.1%に過ぎない。そんな少数に民意を代表させるのは間違いだ。全有権者の半分近くが選挙権を行使しない世の中にあって楽観的な未来は描きにくいが、それでも諦めたら終わり。皆さん、選挙に行こう! そして知名度や利益誘導ではなく政策と能力に投票しよう!

  • 安倍・岸田首相の下で憲法9条の歯止めが事実上無くなったことはメディアからの情報で認識していたが、関連資料を綿密に網羅した本書で再確認できた.安倍自体、中卒程度の頭脳で抽象的な概念は把握できていなかったことが想定されるが、取り巻き連中の中に明晰な人材がいてうまく転がしていたのだろう.大量裏金脱税や健康保険証の問題など底が抜けた事例が次々と明かされてややうんざりしたが、政治の動きをこれからも注視して行く必要性を実感した.

  •  最近、買い物してても、店員さんのレベル落ちすぎじゃない?と思うことが増えて、それは、自分が高齢になってきて若い人の未熟さが目につくようになっただけかなと思っていたが、案外、この本に書いてあるような、倫理観のレベルの低下も原因なのかもしれないと思った。

     “頭を抱えるような状況であっても、手の届く範囲の問題を解決する方向で努力して、後の世代にバトンを渡す”(p213より一部抜粋)
     自分にとっての“手の届く範囲の問題”はなんだろうか?
     とりあえず『文句ばっかり言わず、自分が置かれた環境でできることをやっていこう』(p207)と言うのを止めよう笑!
     そして、発する言葉を、自分のなかに蓄える言葉を磨いていきたい。

  • 封建的思想を植えつけられた私達、いざ立ち上がる時が来た! なんでも「あり」になってしまったのは、臨機応変で生き抜くのではなく、茹でガエル戦略漬けにされているからであろう。

  • 50年後の日本人に向けて、ということで今を書き記されています。

    いろいろなことが起きているから、

    全然時事にも政治にもついていけなくて、

    あと追いで知ることばかりの生き方ですが、

    思いっきり立場を取って痛烈に批判しながらその議論をサポートする事実を列挙していく一人称単数で語られるものは、ニュースとかに比べて入ってきやすく、考えることにつながりやすい。そしてとても博識な著者にとっては、ここで書かれていることは考えのほんの一部に過ぎず、膨大な知識がこの議論の背景にあるのだろうと思いながら、私は表面的にだけでも、大変興味深く読みました。

    本書は、平和国家、倫理の底、そして、倫理の底が抜けたという、3つのテーマに分けて、3部構成になっています。

    が、現実は入り組んでいるので、全てつながっていますね。

  • 「底が抜けた状態」とは「良識や常識のレベルで機能していた社会の”自浄作用”が無い状態」、そんな状態を改めるべく何をすべきなのか。

    自分でちょっと考えてみて、まず大事なのは「関心」を持つことだと思う。関心が無ければ、考えことや、声をあげることができない。人生何事も関心をもって、熟考してなんぼだと思う。

    また著者は今の日本が「自分の頭で考えて行動する人」よりも「従順な人」が多いと考え、それでは政府の誤った判断を修正できないと憂慮しており、「自分の頭で考えて行動する人」にならなければと本書から意識させられた

    「関心」「熟考」そして「行動」、忘れないようにしなきゃ...!

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著者プロフィール

山崎雅弘(やまざき・まさひろ) 1967年生まれ。戦史・紛争史研究家。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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