世界の炎上 戦争・独裁・帝国 (朝日新書999)

  • 朝日新聞出版 (2025年4月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784022953117

作品紹介・あらすじ

第2期トランプ政権に戦々恐々とする各国指導者たち。ガザ「所有」や、カナダ、メキシコに脅しをかけるトランプ氏の論理は「強者の支配と弱者の従属」だ。同盟国をはじめ、日本を含む国際秩序はどう構築されるのか。不確実さに覆われた世界を国際政治学者が読み解く。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

国際政治の複雑さを探る本書は、2020年から2025年にかけての重要な時事問題を扱ったコラムを集めています。トランプ政権の影響やウクライナ侵攻、コロナ禍など、著者が取り上げるテーマは、現代の国際秩序の...

感想・レビュー・書評

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  • 朝日新聞に月一で「時事小言」という名前で連載されていたコラムが、
    2025年から2020年までさかのぼって載ってる新書。
    コラムだから一つ一つはそんな深くない。
    直近はトランプ2.0の話、イラン、イスラエル、ウクライナ、、、
    最後はコロナまで、その時々は旬だった話題が綴られている。
    これをまとめて読むことに何の意味があるのか、、、
    特に深堀もなく、新しい視点もない。
    後から読めば、読みが外れている、というものも敢えてそのまま載せている。
    それは潔いけど、でもなあ。
    斜め読みで終えました。
    タイトルでつられてはいけない新書。

  •  2020年〜25年初の新聞連載コラム書籍化。その前のコラム書籍化『不安定化する世界』と比べても、本書の書名が世界の混乱の深まりを示す。確かに本書で挙げるのはコロナ禍、ウクライナ侵攻とその継続、ガザ攻撃、トランプ再選等だ。
     著者の立ち位置はリベラルで、核抑止への批判や対中抑止強化は中国の行動を変えない等を何度も述べる。一方で他国の武力行使抑止の必要性も述べ、ただ同時に外交も必要だと強調する。「他者性を排除して教条化したリベラリズムやリアリズムは紛争解決の役に立たない」との一文が著者の思想を端的に示す。
     また著者はトランプ政権には、その支持層も含め第一期も第二期誕生も徹頭徹尾批判的。分からなくはないが、こんな「リベラル」の視線がまさにトランプ政権を生んだのではないかと考えてしまう。
     なお、時事コラムという性質上、その時点での予想が後に外れるのは仕方ない。ウクライナ侵攻の初動が成功しなかった2022年春時点では、著者は「プーチン政権は自滅に向かっている」「ウクライナ侵略は失敗しようとしている」と述べる。また米大統領選の民主党候補がハリスに代わった後、「トランプが負けそうな選挙」とまで言っている。

  • 東2法経図・6F開架:319A/F68s//K

  • 朝日新聞の「時事小言」に連載したものを集めて本にしたものである。したがって、朝日新聞を購読しているのでその読み返しのようなものである。新聞には、保守の立場からの意見をしていると書いているが、この本にはそうした前書きはない。新聞のコラムではあるが、新聞をほどんど読まない学生がこのコラムを集めた本をどう感じるかは不明である。

  • 現在(いま)から過去に遡る珠玉の小編の連続。

  • 時事コラム。時代を遡っていく形式の中で、考えが練られる部分もあるが、記事単体として見たときにどこか重苦しく気が滅入る。

  •  朝日新聞の月1回の連載「時事小言」を2020年から2025年2月までをまとめた新書。2025年2月の最新の記事が頭にあり、そこから過去の記事にさかのぼっていく、という体裁になっている。
    驚くべきは2020年のトランプ政権最後の年の藤原先生の分析が、最新の2025年のトランプ政権をそのまま正確に分析していることだ。これは凄い。トランプがその本質において変わっていないこと、藤原先生が2020年の段階でトランプの本質を最初から見抜いていたこと、両方がある。ただ、論文ではなく新聞の記事だから掘り下げた分析、ということはない。それでもこの本を2025年の記事から過去に向かって読み進めることには十分価値がある。
    ・前書きで藤原先生は、トランプは覇権からの離脱を目指していることを説く。つまり覇権維持にはコストがかかる、なぜアメリカが世界のために犠牲にならなければならないのか、という近視眼的または低能の思考を抱きかかえ、長期的にアメリカの力を強めてきた覇権を維持しながらの国際主義を捨て、力による支配、弱者の従属を強請する弱い者いじめを目指す。
    ・トランプは民主党が掲げて実行した正常な政策「リベラルな国際秩序」から「力の均衡」を目指すが、これは第1次世界大戦時の国際秩序と同じだ。トランプから見れば侵略を受けたウクライナはロシアと勝負するだけ無駄の弱い国であり、そんなウクライナを助ける必要は無く、頭越しにロシアと交渉するだろう。ヒットラーがチェコスロバキアの頭越しにズデーデン地方ついてイギリスと交渉したように。
     対中政策でもアメリカと他国との連携による中国封じ込めは行わず、関税と軍事力の誇示で牽制する愚かな方法をトランプは取るだろう。
     だからプーチンや習近平はトランプ個人と勝手な交渉をすることで自国に有利な条件を引き出せる。
    ・2020年の時事小言で藤原先生は、トランプの無能無為無策がアメリカのコロナ感染拡大を招いた、と説く。
     また、大統領自ら民族・人種・性別・マイノリティへの偏見と差別を助長し、嘘をつき、それを指摘されるとフェイクニュースと強弁した。これは共和党支持州の愚かな貧乏白人の妄想に応えるためだ。貧乏白人は高度経済成長にある「自分の親よりも裕福な暮らしができる」アメリカンドリームを信じていて、このアメリカンドリームの頂点に向かう列に自分は並び、前後は自分に近い人、頂上にはテスラ社長イーロン・マスクのような成功者や大富豪がいる。右派は努力すれば行列の中で自分も上がっていく、という世界観を持っている。しかし、徐々に上がる速度は落ちていく。高度経済成長が終わったからだ。そのため自分は努力している自負はあるのに進まない。絶望感や虚無感を持つ。トランプは女性や移民や難民や有色人種、列に割り込んで自分達の上昇を邪魔している連中(と右派が錯覚している)を抵抗なく差別する。そこに開放感を覚える。更に”Make America Great Again”とは、アメリカンドリームの列に並ぶ自分が昔日の人々と同じく上に行ける錯覚を持たせてくれる。
     そこへ列に割り込む人々が出てくる。女性、移民、難民、有色人種等。特に白人男性はそれを自分達の収める税金を使って割り込む連中を支援して、自分達が上がれないようにしている、と錯覚する。白人男性が最も恵まれているからだ。
    ・利益相反を強行して家族が経営するホテルやゴルフ場を率先して使い、自分個人への利益誘導を続けた。
    ・殊更国際関係を破壊した。国際機構や協定はアメリカには対外政策の用具であり、他諸国にとってはアメリカを制度の中に抑え込む手段だったが、トランプはその関係を無知蒙昧と低人格を発揮して破壊した。またプーチンと親密になる一方でNATO諸国とは駐留費用削減と同盟脱退を脅迫材料に国防費増額を要求し、同盟国との関係を最悪にした。アメリカの政治学者ジョン・アイケンベリーは著書「民主主義に安全な世界」でアメリカの覇権が国際制度の下で制御され、各国との協力を可能にした相互利益態勢であると論じている。トランプはアメリカが築いてきたリベラルな国際秩序を勝手に降りようとしている。
    ・2020年9月16日の時事小言では、日本の戦後最も愚かな首相安倍晋三についても述べている。森友学園への国有地払い下げ、加計学園の岡山理科大学獣医学部新設、桜を見る会への招待者に関連して公式説明と違いがあると公文書の改竄、破棄を繰り返した。国会では合計118回嘘をつき続けた。もはや生きる価値すらない首相だった。コロナでトランプと同じくその無能無為無策が露呈して、仮病の腹痛で辞職したことは日本にとっていいことだった。トランプと阿部に共通していることは、権力を握った政治家は虚偽を指摘されても知れを認めなければ虚偽を「事実」に変えることができるという確信である。ヒットラーやスターリンが「嘘も100回つけば真実になる」と言っていたことをそのまま実行している。生涯全体主義と戦い続けた哲学者ハンナ・アーレントはその著書「暴力について」の中の「虚偽と自己欺瞞の連結作用」を指摘し、嘘をつき通すことができるという確信に基づいて他者も自分も騙す政治は、基本的な政治的自由=もしそれがなくなれば言論の自由が残酷なごまかしに堕してしまうもの=ありのままの事実を知る権利を脅かす。

     改めて、トランプはアメリカと世界とに有害であり、殺さなければならない。

  • ふむ

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著者プロフィール

東京大学社会科学研究所教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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