「言った者勝ち」社会 ポピュリズムとSNS民意に政治はどう向き合うか (朝日新書1009)
- 朝日新聞出版 (2025年6月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784022953223
作品紹介・あらすじ
民意とは何か。国民民主党の躍進はSNSによるものなのか。80年代の中曽根政権、2000年代の小泉政権、安倍政権での「民意」を軸に、各党の世論調査や情勢分析のほか、参政党、日本保守党も含めた動向を分析。派閥・中間団体が消滅した現代日本の権力奪取の構図を独自取材で追う。
みんなの感想まとめ
現代日本の政治における民意の変化を深く掘り下げる本書は、SNSの影響とポピュリズムの台頭を「砂」と形容し、かつての「粘土」とは異なる有権者の姿を描き出します。中間団体や派閥の衰退がもたらした政治の流動...
感想・レビュー・書評
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中間団体の衰退による民意の「砂」化とポピュリズム、自民党内では派閥解消で議員バラバラ、という観察が本書を貫く。
SNSや陰謀論の政治手法や実態自体を取材した本かと思っていた。そういった内容もあるが多くはなく、「歴史的な背景を読み解きたい」と後書きにあるとおり、俯瞰的な考察が中心。SNSとポピュリズムで急進というとすぐ思い浮かぶ参政党だが、直接取材をした形跡はない。
2025年刊だが、「砂の民意」だけに動きやすく、本書で扱ったN党、れいわ新選組、2024年都知事選での石丸伸二は現在ではどうか。国民民主党・日本保守党の躍進や自民党の分裂可能性も指摘するが、これも様相が異なりつつある。
著者は「取材班」名義だが、複数の箇所から、少なくともかなりの部分の執筆は論説委員や政治部次長の経歴を持つ蔵前勝久と推定できる。第二次安倍政権には分断を煽ったとして批判的、派閥の「功」を懐かしむ。理念や「神聖な精神」を持つ政治家を理想視し、データ重視の選挙戦には批判的。分かる気もするが、昔ながらの朝日新聞の世代の「良識」にも見え、今の現役世代には通りにくいのが現実かな、と思う。 -
去年の都知事選があまりに奇妙だっ(というか、これまでとなんか違ってい)たこと、それにはsnsが一役買っているようであることがずっと気になっていたので、そのあたりを上手く説明してほしいなと思って読みました。
多様化する民意に、現在の選挙制度と政治体制がすでに追いつけなくなっていることを、戦後の日本の政権の歴史を紐解きながら、過去の選挙や国勢調査の結果を参照しつつ、丁寧にまとめている点は好感がもてるのですが、ポピュリズム政党についてのことが知りたくて読んでるのに、ずっと自民党の話…
突き上げられる側が今後どうしていくか、ではなくて、なぜ現代日本で政治的無関心と裏腹に(というか政治に無関心であるが故に)ポピュリズムが大衆に受け入れられるのかという視点がない。
朝日新聞も突き上げられる側だから、まあ仕方ないんですかね。 -
●SNS選挙とポピュリズムの過熱の要因を「粘土と砂」をキーワードに見つめる本。
●ポピュリズムとSNS民意から現代日本の選挙を観察する。→「砂」となった民意を政治はどう扱うのか注目したい。
●かつて中曽根首相は、地縁や血縁、業界団体によって一定のまとまりを持っていた民意を「粘土」、社会の近代化によって個人化していった民意を「砂」と例えた。本書は、かつて民意を「粘土」へと成形していた中間団体や政党派閥がことごとく瓦解し、むき出しの「砂」となった有権者がSNSという舞台で激しく流動し、ポピュリズムが台頭していく、現代日本の選挙模様を本書は活写する。中曽根首相の例えも興味深かったが、もうひとつ、面白く感じたのは、自民党の派閥を悪と断じない点だ。裏金問題により自民党は派閥を解消することとなったが、この派閥には自民党内の意見をまとめ「粘土」を形作る役割があった、という指摘は、連日のようにあった裏金問題の報道では語られなかった視点であり、新鮮さを感じた。 -
2025/06/13発行。
「朝日新聞取材班」による著作で、出版社も「朝日新聞出版」。ポジショントーク(和製英語、自分の所属する組織に有利な情報しか話さないこと。自分にとって有利になることばかり恣意的に選んで話し、自分に都合が悪いことは話さず黙っているようなトーク(語り方))に注意する必要がある。
(p.18)「2024年にいたってはテレビを見ない若者が増え、SNSの影響力が極めて大きくなってきた。」不満そうな書きぶりだが、テレビもそれ以前のメディアの地位を奪ってきたことを理解しているか。単に歴史が繰り返されているだけなのでは。
(p.19)「特定の団体の支援を受けず、NHKという既存組織を攻撃のターゲットに据えて、ネット上で批判する特異な手法で、国政政党にまで登り詰めた。」ワンイシュー政党(単一論点政党)を批判しているのか、それとも、NHKを批判することに対する政治的見解の相違なのか。
(p.110)「藤田氏は「個別のターゲティングは、政治が一番遅れている」とみる。」
(p.112)「いくらフィクションとはいえ、若年層、現役世代、高齢者層、男女、職業層などの区別にとらわれず、「全国民の代表」ということを常に意識する。政治家とはそうした存在であるべきだと考える。」
(p.114)「政治的な文脈では、業界団体、労働組合、自治会・町内会、宗教団体などが一般的に中間団体とみなされることが多い。」
(p.114)「現在、中間団体の力は弱まっている。」
ターゲッティングは批判するが、中間団体は懐かしむのは何故だろう。
(p.118)「団体離れによって生まれる、組織に加入しないバラバラに有権者たちは、団体から「どの候補に投票するのか」「どの政党を支持するのか」という指示を受けなくなり、メディアやネットの情報をもとにして自らの判断で投票先を決めることになる。」有権者が指示を受けず、自ら判断することは、望ましい事ではないのか。
(p.120)「伝えるべき情報を吟味(ぎんみ)するマスコミの「門番」機能が、逆に「知りたいことを伝えない」として不信感を持たれるようになった。」そもそも門番機能はそこまで必要なのか、それは検閲とはどう異なるのか、今後ともマスコミは門番機能を(一手に)担うべきなのか、筆者の考えの説明が必要だろう。
(p.160)「ザイム真理教」
森永卓郎(1957/07/12-2025/01/28)、日本の経済アナリスト、エコノミスト、タレントが提唱した概念。
「ザイム真理教」(森永卓郎著、三五館シンシャ、2023/05/23発行)
[目次]
序章 民意とは何か-現在に続く中曽根康弘の嘆き
第1章 SNSと動画サイト-2024年の選挙を振り返る
第2章 世論調査と情勢調査-マスコミと政党はどのように選挙分析しているか
第3章 中間団体の衰退とポピュリズム-SNS民主主義の危険性を考える
第4章 岩盤支持層と分断的手法-55年体制以降の「人気取り」の変遷
第5章 派閥を解消した自民党-一気に力を失う「大物」たち
第6章 「砂の民意」のもとで進む多党化-参政党の「オーガニック信仰」と神社崇拝etc.
あとがき
参考文献 -
SNSの普及や地域社会の構造の変化、自民党の派閥解散などを受け、選挙や政治がどう変わっているのかを解説してある。選挙制度や自民党派閥の歴史なども盛り込まれ、なかなか読み応えがあった。
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なんか鳥海先生のプレゼンスが大きい?
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東2法経図・6F開架:312.1A/A82i//K
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今まで言ったもの勝ちだった朝日新聞がN党のポピュリズムを批評しているのが面白い。
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