思考の整理術 問題解決のための忘却メソッド

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 170
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023304628

作品紹介・あらすじ

記憶が、「忘却」→「整理化」→「構造化」されると、抽象思考力(複数の事象を一般化すること)が高まる。抽象思考力が身に付けば、新しい問題を解決できる能力が得られる。忘れることを活用し、思考力や問題解決能力を高め、仕事や人生で幸福になるメカニズムを解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 独創的な思考や、創造的な思考に頭を切り替えるとき、記憶は足を引っ張る

    宣言的記憶(陳述記憶) 文章や言葉を使って表せる記憶
     意味記憶:ものの意味を記憶する場合 ex. リンゴとは何か? 愛とは何か?
     エピソード記憶:頭の中の日記やアルバム

    非宣言的記憶 身体で覚えている、スキルの記憶

    スキルの記憶 ex. プレゼンテーション能力
    自信がありそうに堂々と立つこと、指し棒は素早く力強く動かし、指したところにピタッと止めること、手はまっすぐに伸ばし、自信ありそうに見せること

    フィードバック制御 反射 原因から結果へ時間が流れる順方向
    フィードフォワード制御 結果から原因を逆方向に推定する働き
    フィードバック誤差学習 失敗は簡単に忘れるのではなく、「なぜ」と問いかけてから忘れるべき

    情報が溢れている時代に大切なのは、インターネットで簡単に入手できる意味記憶をたくさん溜め込むことではなく、膨大な情報を駆使して考える力を発揮できることや、考えたことを実現するために周囲の人を動かしていくことのできる力だ

    余分な意味記憶は忘れてシェイプアップする一方、スキルの記憶をしっかりと脳の中に記憶として刻み込み、あたかも身体が覚えているかのように意識せずとも使えるようにすることが大切。記憶は覚えるものではなく、実践の場で使えるものであることが重要

    いやなことやつらいことをそのままにしておくと不満や愚痴になる
    問題を解決すれば、つらい記憶や悲しい記憶は消えて行くのに対し、問題が解決できないままに先送りをしていると、悲しい記憶やつらい記憶は消えないどころか、記憶の中でより大きなものへと変化を遂げていく。しかも、過去のつらい記憶、悲しい記憶を放置すると、時間の経過とともに、さらに、解決が難しくなっていく
    「明日と自分を変えることはできるが、過去と他人を変えるのは難しい」
    失敗の原因を悔やんだり、忘れたりするのではなく、失敗の原因を「なぜ」と追求し、「次にどうすればうまくいくか」を考えること。フィードバック誤差学習だ。そして、次に上手くいけば、失敗もただの笑い話、懐かしい思い出、ないしは美談となる

    多すぎる知識や経験が、新しいアイデアの邪魔をすることもある。このため、記憶を溜め込むよりもむしろ余計な記憶を捨て去った方がいい

    積極的に忘れるために
    記憶の5S
    整理
    整頓
    清掃
    清潔
    しつけ

    断片的な知識をいくら詰め込んでも、考える力にはつながらない。考えるためには、断片的な知識を整理して、体系化・構造化していく作業が欠かせない

    成功の喜びはただのエピソード記憶だが、「こうすれば成功する」という成功の手順を身につけることができれば、それはスキルの記憶として身体に刻み込まれることになる

    失敗にしろ、成功にしろ、そこに反省がなければ、それはただのエピソード記憶に過ぎない。そこに「なぜ」という視点が加わると、記憶の全体としての構造が体系化され、スキルの記憶へと変わるから、エピソード記憶自体は覚えていてもいなくてもどちらでもよいものとなる。どちらでもいいようなものは、当然、忘れることになる

    まぐれ当たりは忘れなさい。さもないと運任せの気分屋ゴルファーに転落しますよ(ナンシー・ロペス)

    成功の記憶にとらわれ過ぎない
    エピソード記憶をスキルの記憶へと転化すること、外部に記憶しておくことが有効

    知識や経験はある程度詰め込んだら、記憶の5Sで思い切って捨て、そこから体系的・俯瞰的に考えることによって、初めて独創的なアイデアが生まれてくる

    個別の記憶への執着を捨てれば、思考や思想は全体へ向かい、システム思考力や、大局的俯瞰力や、他人の気持ちに立つ力、幸せに生きる力を手に入れることができる
    記憶をお金や若さや自我に読みかえることもできる

  • 「忘れてしまいコト」と折り合いをつける参考として読む予定(その1)

    朝日新聞出版のPR
     「忘れる」ことは決して悪いことではない! 人間の記憶は膨大な情報を捨て去ることによって、整理され構造化され、思考力と問題解決能力が高まるメカニズムになっている。忘れて脳を活性化し、脳力と仕事力をUPする方法を、気鋭の学者・慶応大学大学院システムマネジメント研究科・前野教授が解き明かす。忘却力を活用し、仕事や人生の様々な局面で成功することを解説した注目の書。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=10825

  • フィードフォワード制御(こうやったら、ああなるだろう。やってみたらこうだったから、今度はこうしてみよう。)を目指す学習のための記憶。ああすればよかった、ここでこう選んでいればの後悔はそれなりに有効な思考実験。
    記憶に関しても、5S、整理、整頓、清掃(排出する)、清潔、躾(共有・習慣化)。嫌な記憶外に出して5Sの対象にする。マインドマップ、KJ法を使う。
    失敗の可視化と共有方法としての、ブログ。
    岐路に立ったとき、なるべく早い時点で、どの道を選ぶかを自分の頭で(全体構造を)俯瞰的に考え、自分の責任で選び、納得する必要がある。そのうえでやっていることを好きになる。
    スキャナで取りこんで誰かわかる方は訳してください。とブログにあげておく。
    変化を知覚する(それを伝えられる形にする)力が重要
    幸福になるフェーズ3つ 不幸を忘れること、そのために問題を解決すること。高い目標に向かい成長する。記憶の意味がつながり全体システムがシステムとして腑に落ちる状態。やさしく朗らかで、自分勝手ではなく、楽天的で、親切で、いつも微笑んでいる。人の気持ちがよくわかり、おもんぱかることができ、貢献する、自己犠牲的な人。

  • 『思考の整理術』を読了して、僕は、やっぱり情報の記憶が苦手だと再認識しましたし、情報を記憶することの呪縛から解放された気もします。勝手に放棄していた感も否めませんが(笑)。
    これからも「体験」「感情」を「記録」しながら、日々の生活を楽しんでいきたいと思います。その点では『壇蜜日記』に触発されて始めた日記。今、66日が過ぎましたが、100日、1年、・・・と記録を積み重ねていきたいとも思いました。

  • 知識や経験はないよりはあった方がいい。何ごとも知らないよりは知っている方が圧倒的に打ウリだし、経験を通して身に着けた知識は何ものにも代えがたい貴重な財産となる。
    多視点からの可視化
    求められる能力は時代とともに変化する。

  • 東大・京大で一番読まれた本として有名なこの本。

    Ⅰ章の1項目目「グライダー」からすでに興味を惹かれた。

    われわれ現代人は、自力で飛ぶことのできる「飛行機」ではなく「グライダー」だという。
    自分で物事を決めることが出来ない。やるべきことを決めてもらうことで初めて動くことが出来る。
    部下を持つようになって感じることであるが、特に最近のいわゆる「ゆとり世代」はその傾向が強いように思う。
    自分も最近までは「グライダー」そのものであったと思うと、人のことは言えないが。。。


    この本においては、思考の「醗酵」「カクテル」などが面白い。
    しかし、実体験と照らし合わせてみると、朝目覚めたときに悩んでいたことが解決できた、ということは確かに多い。
    「朝飯前」が一番脳が働くというのもうなづける。著者のように一度昼寝をすることで「朝飯前」を一日に二度迎えることはできないが、夜型より朝型の方が脳にとっても健康にとってもいいということは自分でも実証している。
    今は、夜型に近くなってしまっているが、また朝型人間に変えてみようと思う。


    この本が書かれたのは1986年ということで、パソコンが一般に出回る前の話であるため、ノートの使い方の重要性が説かれているが。
    情報のメタ化、スクラップなど今でもノートは重要であるが、それをスマートフォンに読みかえて読んでみた。
    私も常にスマホでメモをし、考えをまとめることにしているが、この本で自分のやり方に自信がもてた。


    三上(馬上・枕上・厠上)は過去の人々の経験知からのものであるが、確かにその通りであると思う。
    「見つめるなべは煮えない」とあわせてかみ締めた言葉である。

    これからも新しい知識を吸収し、人生に活化していきたいと考える私にとって、自分の考えを見つめ直すきっかけになった。

  • 【「蘭岳」第122号(2010)による「私の推薦図書」記事の転載】

    勉強にも仕事にも記憶は必要であるが、この記ι憶には3種類があり、豊かにたくましく生きていくためにはスキルの記憶(身体で覚える記憶)が最も重要である。更に一般的に知識として認識されている意味記憶はより高度な記憶の活用においては邪魔になることもあり、敢えてこれらを忘れる努力が必要であると説く。つまり社会で必要とされている考える力の磨き方を解説している書籍で、パターン化学習をしてきた学生にはぜひ読んでもらいたい。

    もの創造系領域 藤木裕行

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00335751

    #「蘭岳」内の「私の推薦図書」コーナーに掲載された記事を許可をいただき転載しています。

  • 「忘却」についてプログラム工学の立場から詳しく書かれており、記憶を外部(PC)に移し、覚えたらなかなか忘れない記憶スキルの使い方を多く身につけられるようにする、というアイデアは面白かった。
    あえて忘却を大事にすることで脳内の整理がつきやすい、というものだった。
    しかし言っていることは繰り返しが多く、単調な印象をもった。

  • 朝早く起きることは良いなど言われてみれば当たり前のことだが、
    そんな簡単なことがなかなかできない自分に、改めて日々の習慣の大切さを教えてくれる本。

  • 記憶力ばかりが重視され、記憶力こそが賢さである、考えはオカシイじゃないか、という発想はなるほどちょっと納得できると思った。

    所々うーんと思いながらも、どことなく納得出来る内容もある一方で、部分的に「本気でいってるのかこの人?」という部分もあった。特に忘れることの重要さを説く行程ではちょっと、というかだいぶ論理に無理が感じられた。

    例えば「人が忘れるのは必要なくなったから」という発想は、普通に考えても「そりゃねぇわ」と思ってしまうし、「歳とをって記憶力が低下するのは記憶という行為の必要性が低下するから」という理論に至ってはもはやトンデモと言わざるを得ない。んなわけねぇだろ。

    タイトルから忘却を前向きにメソッドとして取り入れていく発想の本かと思って読んでみたが概ね期待はずれだった。

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著者プロフィール

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。
1962年、山口県生まれ。東京工業大学卒、同大学修士課程修了。キヤノン入社後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学理工学部教授等を経て、2008年より現職。博士(工学)。研究領域は、幸福学、システムデザイン・マネジメント学、イノベーション教育と幅広い。
著書に、『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)、『システム×デザイン思考で世界を変える』(日経BP社)、『実践 ポジティブ心理学』(PHP新書)など多数。

「2018年 『幸福学×経営学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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