思考の整理術 問題解決のための忘却メソッド

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023304628

作品紹介・あらすじ

記憶が、「忘却」→「整理化」→「構造化」されると、抽象思考力(複数の事象を一般化すること)が高まる。抽象思考力が身に付けば、新しい問題を解決できる能力が得られる。忘れることを活用し、思考力や問題解決能力を高め、仕事や人生で幸福になるメカニズムを解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 独創的な思考や、創造的な思考に頭を切り替えるとき、記憶は足を引っ張る

    宣言的記憶(陳述記憶) 文章や言葉を使って表せる記憶
     意味記憶:ものの意味を記憶する場合 ex. リンゴとは何か? 愛とは何か?
     エピソード記憶:頭の中の日記やアルバム

    非宣言的記憶 身体で覚えている、スキルの記憶

    スキルの記憶 ex. プレゼンテーション能力
    自信がありそうに堂々と立つこと、指し棒は素早く力強く動かし、指したところにピタッと止めること、手はまっすぐに伸ばし、自信ありそうに見せること

    フィードバック制御 反射 原因から結果へ時間が流れる順方向
    フィードフォワード制御 結果から原因を逆方向に推定する働き
    フィードバック誤差学習 失敗は簡単に忘れるのではなく、「なぜ」と問いかけてから忘れるべき

    情報が溢れている時代に大切なのは、インターネットで簡単に入手できる意味記憶をたくさん溜め込むことではなく、膨大な情報を駆使して考える力を発揮できることや、考えたことを実現するために周囲の人を動かしていくことのできる力だ

    余分な意味記憶は忘れてシェイプアップする一方、スキルの記憶をしっかりと脳の中に記憶として刻み込み、あたかも身体が覚えているかのように意識せずとも使えるようにすることが大切。記憶は覚えるものではなく、実践の場で使えるものであることが重要

    いやなことやつらいことをそのままにしておくと不満や愚痴になる
    問題を解決すれば、つらい記憶や悲しい記憶は消えて行くのに対し、問題が解決できないままに先送りをしていると、悲しい記憶やつらい記憶は消えないどころか、記憶の中でより大きなものへと変化を遂げていく。しかも、過去のつらい記憶、悲しい記憶を放置すると、時間の経過とともに、さらに、解決が難しくなっていく
    「明日と自分を変えることはできるが、過去と他人を変えるのは難しい」
    失敗の原因を悔やんだり、忘れたりするのではなく、失敗の原因を「なぜ」と追求し、「次にどうすればうまくいくか」を考えること。フィードバック誤差学習だ。そして、次に上手くいけば、失敗もただの笑い話、懐かしい思い出、ないしは美談となる

    多すぎる知識や経験が、新しいアイデアの邪魔をすることもある。このため、記憶を溜め込むよりもむしろ余計な記憶を捨て去った方がいい

    積極的に忘れるために
    記憶の5S
    整理
    整頓
    清掃
    清潔
    しつけ

    断片的な知識をいくら詰め込んでも、考える力にはつながらない。考えるためには、断片的な知識を整理して、体系化・構造化していく作業が欠かせない

    成功の喜びはただのエピソード記憶だが、「こうすれば成功する」という成功の手順を身につけることができれば、それはスキルの記憶として身体に刻み込まれることになる

    失敗にしろ、成功にしろ、そこに反省がなければ、それはただのエピソード記憶に過ぎない。そこに「なぜ」という視点が加わると、記憶の全体としての構造が体系化され、スキルの記憶へと変わるから、エピソード記憶自体は覚えていてもいなくてもどちらでもよいものとなる。どちらでもいいようなものは、当然、忘れることになる

    まぐれ当たりは忘れなさい。さもないと運任せの気分屋ゴルファーに転落しますよ(ナンシー・ロペス)

    成功の記憶にとらわれ過ぎない
    エピソード記憶をスキルの記憶へと転化すること、外部に記憶しておくことが有効

    知識や経験はある程度詰め込んだら、記憶の5Sで思い切って捨て、そこから体系的・俯瞰的に考えることによって、初めて独創的なアイデアが生まれてくる

    個別の記憶への執着を捨てれば、思考や思想は全体へ向かい、システム思考力や、大局的俯瞰力や、他人の気持ちに立つ力、幸せに生きる力を手に入れることができる
    記憶をお金や若さや自我に読みかえることもできる

  • 【要旨】
     記憶力がPCに代替された現代に、必要な個人のスキルは問題発見・解決能力。故に抽象的思考力を鍛える必要がある。覚えるのではなく忘れることで、抽象化された「創造のための記憶(=スキル記憶)」を得て、使いこなす重要性とそのメソッド(方法)を問く。

    【要約】
    ・問題発見、解決力こそが現代に求められているスキル。
    ・記憶力至上主義から脱却すべし。
    ・記憶には、意味記憶・エピソード記憶などの宣言的記憶とスキル記憶(非宣言的記憶)の三つに分類され、実用的なスキル記憶の獲得を目指す。
    ・スキル記憶の習得には、理想と原因の差を明確にしてフィードバック制御を可能にするフィードバック誤差学習が不可欠。
    ・失敗と成功の記録をつけ、なぜそうなったのかを分析し、試行錯誤を繰り返すことでフィードバック誤差学習の効率を格段に上昇させる。
    ・忘却→整理化→構造化(忘却メソッド)で、問題発見、解決のための抽象思考力が高まる。
    ・具体的には「記憶の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」を行う。
    ・考えることへのこだわりを持つ。


    【実践リスト】ー整理の鬼~わたしたちの脳内はゴミ屋敷~ー
    □記憶の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を行う。
    □ステップ①「清掃」:書き出す。マインドマップやKJ法で一度頭の中にある思考や記憶を外に書き出して「見える化」する。
    □ステップ②「整理(分類)」:意味記憶とエピソード記憶・体験を「成功」「失敗」「ネガティブ(嫌な記憶、辛い記憶、悲しい記憶)」「ポジティブ」に分類して記録。※分類・カテゴリーに関しては多角的に。
    □ステップ③「整頓(分析)」:分類した記録を更に5W1Hの観点「なぜそうなったのか」「そうならないためにはどうしたらいいか」「もう一度再現するにはどうしたらいいか」「そうなった時間要因・環境要因はなにか」「改善点は何か」から分析し、理想と現実の差・フィードバック誤差を「見える化」する。(※分析のポイントは、多面的、多角的、多視点に)
    □ステップ④「清潔(取捨選択)」:分析の結果、自分とは関係ない記憶、興味を惹かれない記憶、自分にとってマイナスの影響しか与えていない記憶を「ごみ箱」に捨てる。(※自分の場合は、舌打ち、「○ね!」とほとんど反射的に出てきてしまうような過去の記憶をごみ箱に捨てる。)
    □ステップ⑤「躾(試行錯誤とステップサイクルの徹底)」:5Sのサイクルを徹底し習慣化する。
     □毎日の日記で日々の感情の整理整頓、一週間、一か月、一年間ごとの日記を付けて、定点観測。咄嗟のフラッシュバックや反応の記録(※ワンノートにページを作り、何か感じたら、アイホンのメモでもメモ帳でもいいからその場でメモすることにする)
     □「疑問に感じたこと」「なぜ」は思いついたその場でメモ。(※後から「WHY?」OneNoteページに記録)
     □読書.動画視聴などのインプットをしたらセットでアウトプット。(※アウトプットのフォーマットを体系的・構造化の観点から作る)
    □アイデアが浮かんだらその場でメモをとる(※そのために風呂にはスマホ、就寝時は枕の下にメモ帳とペン、他はズボンのポケットにメモ帳を入れておく)

    【感想】
     フィードバック誤差学習。この言葉にこれまでの学習概念を覆されました。公式や単語を暗記する学習しかしてこなかった自分が、ちっとも自分の頭を使っている感覚がしなかったのはこのためっだったんだなと理解できました。これは少し前に武井壮さんから学んだ「フォームは結果であって原因にあたる力の入れ方や体の動かし方を考えることが先」がまさにこのフィードバック誤差の内容で、日本特有の単一型正答学習の弊害が“自分の頭で考える”ことを阻害した結果なのだと感じます。

     自分のことを考えても、長時間考えることができない。今、小学生の算数をやっていても「分からない状態が耐え難い苦痛」に感じてしまいます。すぐに答えが知りたい。でもそれは考えることの放棄になる。リハビリとして「答えがすぐにわからなくてもいい」から「答えを見ないで自分の頭で考える」ことを実施しています。情けない。でも本当に、このレベルから始めないといけないくらいに自分の日常から考えるが抜け落ちているのだと自覚できたことがまず一歩なのかなと思いました。

     特にこの本を読んでいるときに聞きかじった「動詞を動作化する」(浅田すぐる)を基に、この本の内容をどうやって実践していくかを考えると途方に暮れてしまいました。言葉は沢山知っているはずなのに、ちっとも動作に落とし込めない。自分のなかで嚙み砕いて消化吸収するためのアウトプットが大切なのだとわかりました。

     「整理整頓」は子供の頃から言われている言葉ですが、この言葉もちっとも実践できていない。『超ミニマリスト』(四角大輔)のエッセンス“軽くする”は、本書では「記憶の5S」として、最後に自分の脳を軽くするに接続されています。脳はすぐにゴミでいいっぱいになる。情報過多の現代なら尚更で、もうほとんど自分の頭の中はゴミ屋敷だと思うとぞっとしますね。わたしたちは自分の頭を自分で管理運営し躾して行かなくちゃならない。でもそれは案外楽しいことでもあり、先ずはこのゴミ屋敷を片づけ始めました。

     四章までメソッドについてのハウトゥーと理解のための説明が書かれていますが、五章の「忘れるほど生き生きと生活できる」では「幸福は利他的」であるとして、記憶も幸福も断片・細部に執着することから解放されると、全体的・俯瞰的・構造的な世界理解の結果として幸福に至れるとしています。この「幸福論」はある意味とても端的にまとめられた簡潔な幸福方法論ではないのかとも思います。仏教で「すべては幻」と解くのも、この究極の忘却(=理解)を指しているのだろうなぁと思うとかなり芯を食った概念だと思いました。

     そこまでは、と思ったとしても忘却することが「過去の記憶に基づく不幸を減少させることができる」と実感出来れば、忘却の必要性を理解できると思いました。

     本書は「積極的に忘れる」こと、その忘却メソッドが、抽象思考力を高め、問題発見・解決能力を養うという内容でした。このメソッドを実践に落とし込みやすいよう、さらにマインドマップの学習と実践、記録ノートとその実践をやっていこうと思います。

  • 失敗と成功の可視化こそが人間力を磨く。
    日本の記憶重視の教育はいつになったら変わるんだろうか。

  •  著者・前野隆司氏は工学博士でロボティクス、システム工学が専門とあって、忘却のメカニズムを、「フィードバック制御」「フィードバック誤差学習」「フィードフォワード制御」という理論で説き明かす。
     若い時にはフィードバック制御でどんどん記憶していたが、年を取るとその速度・量とも衰える。そうなると、「フィードバック誤差」(理想と現実の差)を埋めるために学習を繰り返すことにより、知恵を働かせるというフィードフォワード制御ができるようになるという。
     年をとって記憶力が衰えたと嘆く自分がいたが、大局観を持って判断するためには、不要なものを忘れるという発想の転換も必要だと理解した。
     逆にいやな記憶は忘れようとしても、消し去ることができず、何かのきっかけでよみがえってくる。これに対しては、「記憶の5S」で整理・整頓して現時点での対応策を考えることにより、記憶から切り離されるという。
     前野氏には「幸せのメカニズム」という本も著しており、「幸福学」も提唱している。上手に忘れる技術を身に付けることが幸せの近道かもしれない。
     

  • ・次はこうする で
    忘れよう。

    フィードバック制御
    フィードフォワード制御

    テニスなら思った通りの場所にボールを打つために、何度も誤差を感じながらスキルの記憶を修正して記憶していく。

    同じように、新しいスキルもフィードバックとフィードフォワードで学習できる。

    思い通りの動きができるまで何度も忘れる。
    次はこうする
    次はこうする
    次はこうする

    ・書いて忘れよう
    書くと安心して忘れられる。

    紹介されている方法では、gmailがあった。
    ただこれが出版されたのは2009年なので。

    今はEvernoteでも、メモアプリでも好きなものを使って書きまくればいい。

    ただし、「次はどうするか」を考えて導き出す作業机として使って安心して忘れるようにしよう。

  • フィードフォワード制御(こうやったら、ああなるだろう。やってみたらこうだったから、今度はこうしてみよう。)を目指す学習のための記憶。ああすればよかった、ここでこう選んでいればの後悔はそれなりに有効な思考実験。
    記憶に関しても、5S、整理、整頓、清掃(排出する)、清潔、躾(共有・習慣化)。嫌な記憶外に出して5Sの対象にする。マインドマップ、KJ法を使う。
    失敗の可視化と共有方法としての、ブログ。
    岐路に立ったとき、なるべく早い時点で、どの道を選ぶかを自分の頭で(全体構造を)俯瞰的に考え、自分の責任で選び、納得する必要がある。そのうえでやっていることを好きになる。
    スキャナで取りこんで誰かわかる方は訳してください。とブログにあげておく。
    変化を知覚する(それを伝えられる形にする)力が重要
    幸福になるフェーズ3つ 不幸を忘れること、そのために問題を解決すること。高い目標に向かい成長する。記憶の意味がつながり全体システムがシステムとして腑に落ちる状態。やさしく朗らかで、自分勝手ではなく、楽天的で、親切で、いつも微笑んでいる。人の気持ちがよくわかり、おもんぱかることができ、貢献する、自己犠牲的な人。

  • 『思考の整理術』を読了して、僕は、やっぱり情報の記憶が苦手だと再認識しましたし、情報を記憶することの呪縛から解放された気もします。勝手に放棄していた感も否めませんが(笑)。
    これからも「体験」「感情」を「記録」しながら、日々の生活を楽しんでいきたいと思います。その点では『壇蜜日記』に触発されて始めた日記。今、66日が過ぎましたが、100日、1年、・・・と記録を積み重ねていきたいとも思いました。

  • 知識や経験はないよりはあった方がいい。何ごとも知らないよりは知っている方が圧倒的に打ウリだし、経験を通して身に着けた知識は何ものにも代えがたい貴重な財産となる。
    多視点からの可視化
    求められる能力は時代とともに変化する。

  • 【「蘭岳」第122号(2010)による「私の推薦図書」記事の転載】

    勉強にも仕事にも記憶は必要であるが、この記ι憶には3種類があり、豊かにたくましく生きていくためにはスキルの記憶(身体で覚える記憶)が最も重要である。更に一般的に知識として認識されている意味記憶はより高度な記憶の活用においては邪魔になることもあり、敢えてこれらを忘れる努力が必要であると説く。つまり社会で必要とされている考える力の磨き方を解説している書籍で、パターン化学習をしてきた学生にはぜひ読んでもらいたい。

    もの創造系領域 藤木裕行

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00335751

    #「蘭岳」内の「私の推薦図書」コーナーに掲載された記事を許可をいただき転載しています。

  • 「忘却」についてプログラム工学の立場から詳しく書かれており、記憶を外部(PC)に移し、覚えたらなかなか忘れない記憶スキルの使い方を多く身につけられるようにする、というアイデアは面白かった。
    あえて忘却を大事にすることで脳内の整理がつきやすい、というものだった。
    しかし言っていることは繰り返しが多く、単調な印象をもった。

  • 記憶力ばかりが重視され、記憶力こそが賢さである、考えはオカシイじゃないか、という発想はなるほどちょっと納得できると思った。

    所々うーんと思いながらも、どことなく納得出来る内容もある一方で、部分的に「本気でいってるのかこの人?」という部分もあった。特に忘れることの重要さを説く行程ではちょっと、というかだいぶ論理に無理が感じられた。

    例えば「人が忘れるのは必要なくなったから」という発想は、普通に考えても「そりゃねぇわ」と思ってしまうし、「歳とをって記憶力が低下するのは記憶という行為の必要性が低下するから」という理論に至ってはもはやトンデモと言わざるを得ない。んなわけねぇだろ。

    タイトルから忘却を前向きにメソッドとして取り入れていく発想の本かと思って読んでみたが概ね期待はずれだった。

  • 「思考の整理術」というタイトルを見て、記憶力メソッドと思い手に取って読んでみた。
    現代の人間に必要な思考方法が体系的に説明されており、参考にできる部分も幾つかあった。。特に、「スキルの記憶」を重視することが現代社会において重要であることは共感できる。

    工学出身の著者のためか、論理的であり理解しやすい。しかし、同じことを何度も言い過ぎかなと思った。

  • 考えて失敗したこと成功したことを記録して
    忘れちゃおというのが趣旨 忘却メソッドといっているが
    記憶して後で見返せるようにしたら忘れてもいいという程度
    まあ漠然と思考状態を放置しない整理して忘れていいようにする
    そういったことが延々と書かれている
    ちょっと違うような気がするので点数は低め
    コピペ多様な人と差別できるようにするには深い記憶がもっと
    重要になるとおもう
    まあよく似たことを違った表現でしているだけかもしれないが。。。

  • 今の世の中、インターネットの普及で、知識を記憶することは、コンピューターに勝てるわけが無い。だからと

    いって、勉強で基礎を学び、受験で知識を記憶することが、無駄なわけではない。知識の記憶があってこそ、創

    造力がうまれる。


    私達は、記憶力が大切と教えられたけど、時には忘れる技術も必要。悲しい記憶や、つらい記憶が消えないのは

    、問題が解決されていず、役目を終えていないから。記憶を整理整頓することで、心が軽くなったり、必要ない

    と思えたり、無関心になれる。

    また、思考が前にすすまずに、「どうしよう」の状態で、あれもこれもと焦り、どれをやればいいのか解らない

    、ああすればよかったの後悔ばかりで、がんじがらめの状態。そんな時にも、いちど白紙になって考えてみる。

    記憶を、整理、分析、分類して、引き出しにしまいなおすことで、解決策が見えてくる。
    (記憶を整理すると、違うものや、気が付かなかったことが見えてくる。脱思い込みには、記憶のクリアは試し

    てみるのはかなりいいかも)



    社会に出てから必要なことは、その知識や情報の記憶をもとに、どこに問題があるかを発見して、その問題をど

    うすれば解決できるのかを、自分で考える力を磨くこと。そして、問題の解決に向けて、みんなの力を借りるた

    めの対人能力、みんなを巻き込んで実行するコミュニケーションの力がとても大切。

    仕事とは、解答の無い問題集に挑むようなもの。自分で考えて行動しようとしないと、常に正解を探し続け、そ

    の正解は、誰かが教えてくれれば無駄な時間がないと考えがち。仕事が上手くいかないのは、上司の指導のせい

    と、人のせいにしてばかりになる。
    (確かに、仕事に正解はない。自分だけの力では何も出来ない、自分も良し、相手も良しの仕事がいい。やらさ

    れてる、だれかのせい、って思っていたら、成長できないし、いつも不満だらけで楽しくない。とりあえずやっ

    てみて、好きになってみて、やるからには頑張るのがいいのかも)



    記憶力の低下を嘆く必要は無い。経験を積むと、新しいことを記憶する必要性がだんだん小さくなる。記憶が低

    下するのは、衰えたからではなく、記憶をする必要が無いほど、たくさんの知恵やスキルを身につけた証しだと

    思えば良い。蓄えた知恵やスキルをつかって、どう生きるか人生を豊かにする。
    (そうかそうか、すぐ忘れる!思い出せない!って思うけど、その前に、記憶してない=記憶する必要が無いっ

    てことだ。そう考えれば楽)


    漠然としたものを、なんとなく把握する。曖昧なことを、理解してツボをおさえる。情報の取捨選択をして、全

    体的な構造を理解して、それをもとに自分の頭で考える-大局的に考える力が必要
    (経験という武器があるんだから、小さいことは気にしないこと)




    様々な記憶の意味がつながり、その人なりの世界観が構築され、さらに思考と記憶をつなぐと、すべての記憶が

    意味として繋がる時が来る -腑に落ちる-
    経験を重ね、記憶や欲への執着を自然に捨て去った時に、その時は来る。
    (まさ悟りの境地。いつかそんな時がきて、その感覚を感じるために、自分で考えるようにしようと思う)


    確かに、考え方が整理された。たぶん、オトナになった今だから実感できること。

  • ■羽生さん
    「独創的な思考や、総合的な思考に頭を切り替える時、記憶は足を引っ張る」
    →◉わかる気がする。曲を作る時もそちらに寄ってしまう

    →あえて忘れる努力を


    「独創性を発揮する秘訣は、全体の状況をよく把握した後に忘れることではないか」(下條信輔)

    武田信玄の家臣 山県昌景
    →無類の強さ
    「いつも初陣だ」と部下に言った
    →◉これは本当に気をつけたい、まさに今の自分

    ■記憶と幸福の関係
    1.不幸を忘れること
    2.努力して報われて得られる幸福感
    3.さまざなことがつながって、全てに納得し、全てを全体として抽象的なレベルで分かった感覚を持てる

    ■記憶の執着を捨てること
    成功すること
    勝つこと
    持つこと
    守ること
    利己的であること
    生きること

    皆が少しずつ捨てされたならやがてジョンレノンのイマジンのような世界になる


  • 880

    先ほど私は、「受験の数学は暗記科目である」と言ったが、本来、学問としての数学や 物理学では極めて高い創造力が必要される。もちろんそのための基礎学力としての記憶力も必要だが、それ以上に必要なのは創造力である。受験の数学は、「解き方のパターン」 さえわかっていれば、それを記憶して、引き出すことで答えを導くことができるが、本来問は「解き方のパターン」すらわかっていない未知の問題を解くことであり、場合によっては「何が問題か」を発見するところからスタートする必要がある。

    よく私たちは「運動神経がいい」という言い方をするが、それは自分の身体をどう動かしたらどうなるかということを非宣言的記憶として覚えるのがうまい、ということを意味している。つまり、英単語を覚えるのが早い人のことを「あの人は記憶力がいい」と言い、 スポーツが得意な人のことを「あの人は運動神経がいい」と言うが、実際にはどちらも 「記憶力がいい」のであり、前者は「意味記憶がすぐれている」のに対し、後者は「非宣言的記憶がすぐれている」ということなのだ。 非宣言的記憶は何もスポーツなどに限らない。たとえば「あの人はスピーチが上手だ」 とか「あの人はリーダーシップがある」「あの人は営業センスがある」といった身体以外の技能の習熟も、脳がやり方を覚える非宣言的記憶といえる。スピーチに必要な単語を覚えることは「意味記憶」だが、うまく話すためのスキルは「非宣言的記憶」だ。もっと言えば、問題発見力や問題解決力も、そのやり方を身体で覚えるという意味では、広い意味での非宣言的記憶だといえる。 非宣言的記憶は主に身体を使った練習の繰り返しや、経験を重ね場数を踏むことによって「スキル」として習得されるものが多い。そこで、本書では、これから先は、「非宣言的記憶」という表現の代わりに、「スキルの記憶」という表現を用いることにする。厳密に言えば、「スキルの記憶」が「非宣言的記憶」のすべてではないのだが、「意味記憶」 「エピソード記憶」との対比がわかりやすいと思うので、本書では、「スキルの記憶」という言葉を使わせていただきたい。

    私の場合、仕事柄、数学や物理、英語は、今も使っているため、学力はさほど衰えていないように思う。一方、日頃使わない化学の知識はほとんど覚えていない。もともと苦手だった国語や地理、歴史となるとさらに悲惨だ。では、それで社会生活に支障がいうと、ほとんど困ることはない。

    ところが、現在の受験システムは、記憶力は悪いが、ほかの能力に秀でた人たちをスポイルする傾向がある。今の日本の入試制度は、いわば記憶力のテストのようなものだ。最近では大学によっていろんな工夫もされてはいるが、それでも記憶力のいい人間の方が有利な傾向に変わりはない。一流大学に入るためには記憶力の良さが重要であり、ほかの能力にいくら秀でていても、記憶力の悪い人間が一流大学と呼ばれる大学に入るのは難しいのが現状だ。 一流大学の学生や出身者は、記憶力という点では一流だが、だからといって、社会で必要となるほかの能力をひっくるめて一流ということではない。私はこれまでに記憶力だけがいい人をたくさん見てきたが、彼らの多くは抽象的思考力や創造力に劣っている傾向があるように思える。そのような人は、知識は豊富なのだが、記憶力に頼った類推をするため、創造性を発揮しにくい。また、システム思考が苦手であり、大局観を描く能力に欠けいる傾向もある。しかも、たちが悪いことに、なまじっかたくさんの知識をだけに、大きなビジョンを描けないという自分の欠点を自覚しにくい。

    実際、ある心理学者による興味深実験結果がある。「物事を大局的に見ることのでき は、記憶力が悪い傾向がある」というのだ。どうやら、記憶力がすぐれてそれと引き換えに、思考力、リーダーシップ、創造性のような、大局的な能力が劣っている可能性があるのだ。スキルの記憶も、全体的・大局的な能力だ。したがって、意味記憶やエピソード記憶が得意な人は、これからの時代に必要とされるスキルの記憶能力が劣っているのかもしれないのだ。 つまり、記憶力第一主義的な選抜法は、なんと、全体的・大局的な思考力のある人をスポイルしている可能性があるのだ。

    これからの時代に求められる、大局的に考える力。もう少しわかりやすく言うと、世の中に氾濫している情報の中から、必要なものとそうでないものをきちんと取捨選択することと、たくさんの情報が織りなす構造を俯瞰して、自分の頭でしっかり考えるということだろう。これは記憶重視の勉強からは得られない能力だ。

  • 思索

  • 2015.01.01 岡本さんのブログより

  • 「忘れてしまいコト」と折り合いをつける参考として読む予定(その1)

    朝日新聞出版のPR
     「忘れる」ことは決して悪いことではない! 人間の記憶は膨大な情報を捨て去ることによって、整理され構造化され、思考力と問題解決能力が高まるメカニズムになっている。忘れて脳を活性化し、脳力と仕事力をUPする方法を、気鋭の学者・慶応大学大学院システムマネジメント研究科・前野教授が解き明かす。忘却力を活用し、仕事や人生の様々な局面で成功することを解説した注目の書。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=10825

  • 東大・京大で一番読まれた本として有名なこの本。

    Ⅰ章の1項目目「グライダー」からすでに興味を惹かれた。

    われわれ現代人は、自力で飛ぶことのできる「飛行機」ではなく「グライダー」だという。
    自分で物事を決めることが出来ない。やるべきことを決めてもらうことで初めて動くことが出来る。
    部下を持つようになって感じることであるが、特に最近のいわゆる「ゆとり世代」はその傾向が強いように思う。
    自分も最近までは「グライダー」そのものであったと思うと、人のことは言えないが。。。


    この本においては、思考の「醗酵」「カクテル」などが面白い。
    しかし、実体験と照らし合わせてみると、朝目覚めたときに悩んでいたことが解決できた、ということは確かに多い。
    「朝飯前」が一番脳が働くというのもうなづける。著者のように一度昼寝をすることで「朝飯前」を一日に二度迎えることはできないが、夜型より朝型の方が脳にとっても健康にとってもいいということは自分でも実証している。
    今は、夜型に近くなってしまっているが、また朝型人間に変えてみようと思う。


    この本が書かれたのは1986年ということで、パソコンが一般に出回る前の話であるため、ノートの使い方の重要性が説かれているが。
    情報のメタ化、スクラップなど今でもノートは重要であるが、それをスマートフォンに読みかえて読んでみた。
    私も常にスマホでメモをし、考えをまとめることにしているが、この本で自分のやり方に自信がもてた。


    三上(馬上・枕上・厠上)は過去の人々の経験知からのものであるが、確かにその通りであると思う。
    「見つめるなべは煮えない」とあわせてかみ締めた言葉である。

    これからも新しい知識を吸収し、人生に活化していきたいと考える私にとって、自分の考えを見つめ直すきっかけになった。

  • ざっと読んで(目を通して)読み終わってしまいましたが、思考に関するあれこれを、概要的にまとめた本といった感じでしょうか...?私の読みが足りておりませんでしたら申し訳ありません...

  • 記憶中心主義から問題解決主義に転換して頭を使いましょうという本。

    確かに納得できる。記憶では機械には劣るので、記憶は機械に任せ、人は問題解決などの部類において力を発揮しましょうという内容に読めました。

    そのために必要なものが「忘却」。忘れる事。

    ただ、忘れるのではなく、忘れる前に教訓を得ておくことは重要とのこと。

    なるほど。

    すこし、文章が長い。

  • 「忘れる」こと「なかったことにする」は違うは印象的
    ようするに、理屈をちゃんと理解して丸暗記はやめましょうというお話

  • 記憶を「意味記憶」「エピソード記憶」「スキルの記憶」の3種類に分類している。
    「意味記憶」「エピソード記憶」を従来の受験勉強で得られる暗記系の記憶、「スキルの記憶」は全体を俯瞰的に見るなどの無意識に得た記憶と定義している。
    今後の社会では、「スキルの記憶」を積み上げることが必要なので、その為に不要な「意味記憶」「エピソード記憶」を忘れることも必要といった内容。
    記憶の5Sについては、やると効果がありそうと思った。

  • 記憶、と内容がほとんど同じです、、、、

  • 自分の中で
    フィードバック(復習)をすることによって
    「身体的記憶を高める!!」

    とってお大きなチャンスのある時代。
    だけど、見落としている人が多い。
    それは自分の中を通すこと。


    いやなことをそのまま/先送りにしておくと
    むしろ、忘れず、大きな荷物を背負いながら生きていくことになる。

  • 記憶という切り口から思考整理術を説く本。

    歳を取るごとに記憶力が衰え、支障をきたすことは誰の身にも覚えがあることだと思うが、怖がらずに忘れるべき!という論旨で情報整理術を述べるのは斬新だと感じた。
    記憶の種類には大別して2つあるそうだ。
     ① 宣言的記憶
        ・意味記憶
        ・エピソード記憶
     ② 非宣言的記憶
        ・スキルの記憶

    自分が覚えようと思って意識をもって覚えるのが宣言的記憶で、受験勉強で問われるのはこちらの記憶。 それに対して、体で覚えてしまうことにより無意識に覚えてしまうものが非宣言的記憶という。 こちらは運動だったり、理解する早さだったりする。 よく何かにつけて「センスが良い・筋が良い」という人間が持ち合わせる能力で、これを「スキルの記憶」の賜物である。

    学生時代に培った意味記憶至上主義は捨て、スキルの記憶を磨く方が良いという。
    現代では記憶を代行する手段が多々あり、すべてを記憶する必要がなくなっている。 記憶の5Sを推進し、不要な記憶はどんどん忘れ、記憶することに傾注するよりも物事を俯瞰できる大局的思考力をつける方が肝要とのこと。

    記憶が重要という前提を覆し、思考術の本質を掘り下げた良書と思う。

  • 思考には3つに分別出来、意味記憶、エピソード記憶、スキルの記憶の中で、意味記憶とエピソード記憶はネット等に外部化されていき、スキルの記憶が今後さらに重要視されていく、という話でした。
    スキルの記憶は簡単に言語化出来ない為、それがその人の世の中を渡って行く武器になる、またあとの2つの記憶は脳の仮付け記憶装置であるPCやスマートフォンに置き換えが進むというのは強く同意出来ました。

  • この本に書かれた本質的なことは、下記のことばで集約される。

    「 記憶力よりも俯瞰的思考力を伸ばそう。」

    簡単に説明すると、
    記憶力は年とともに低下するが、それは色々な知識・経験から、多くのことをさらに記憶する必要がなくなったせいなので、ことさら、記憶力を向上させる必要はない。年が上がったら、記憶のために時間を費やすより、創造的なところ、総合的なところ、漠然としたものなんとなく把握すること、いわゆる「俯瞰的思考力」をのばすことを考えるべきである。

    また、記憶に執着せず、細かいことは気にせず、楽観的に生きることが至福を得るためのカギであると閉じている。

    本の題名と内容にはちょっと乖離がありますが、本質を捕らえた本ではないでしょうか。

  • (K)  歳を重ねる毎に記憶力が悪くなっていくのは誰もが実感することではないかと思う。筆者は、経験を重ねることによって脳に大量の意味記憶が蓄積されて、フィードフォワード的な思考ができるようになるからだと説いている。このフィードフォアードが出来ることこそが、記憶が整理された状態であり、抽象的な思考力や創造性につながっていくと。
    しかし、日本の教育は残念ながら記憶力偏重と言わざるを得ない。問題は解けても、問題を解決することは出来ない。これは意味記憶の活用の仕方を知らないからだ。知的生産性を上げるためには記憶するのではなく、記録すればよい。憶えるのではなく、経験すれば良い。なぜを問いかけてフィードバックを欠ければよい。そしてそれが、フィードフォアードになり、スキルとして蓄積される。
    認識しないまでも、すべての記憶が意味としてつながって全体システムがシステムとして腑に落ちる境地が至福の境地なのだそうだ。「悟りを開く」とはこういうことなのだろう。
    本書には整理術というほど、術については触れていない。「術」に期待して読んだら、完全に外される。思考というものを技として小さく捉えるのではなく、生きざまの一部であると大きく枠で捉えて考えてみたい人は読んでみても良い。だた、全体的にインパクトに欠けるのだが。

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著者プロフィール

慶應義塾大学SDM研究科教授・ウェルビーイングリサーチセンター長、一般社団法人ウェルビーイングデザイン代表理事。1962年山口県生まれ東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、キヤノン入社。カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て2008年より現職。『幸せのメカニズム―実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『幸せな職場の経営学』(小学館)、『ウェルビーイング』(前野マドカ氏との共著・日経文庫)など書著多数。

「2023年 『実践!ウェルビーイング診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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