- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023309418
感想・レビュー・書評
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勉強になりました。
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東京電力福島第一原発の事故。いったい根本原因は?時計の針を逆に回して「原発誕生」からを振り返ると鮮やかに「真相」が浮かび上がる。ここに書かれてあることが積み重なってあの大惨事が起こったのかと思うと…。
ここに書かれていることは、本来だったら闇から闇に葬られていることだったのでしょうね。しかし、関東・東北大震災と福島原発の事故によって、すべて、とはいかぬまでも日本の『国策』によって原子力事業がその土地の人々の思いをなぎ倒すようにして果ては54基も建設されたのだということがまざまざと描かれてあって、ぞっとしたことを覚えています。
僕が一番印象に残っているのは原子力発電所が輩出する温水によって周りの海が温められ、そこで漁を営む漁民たちが昆布やわかめが昔の光沢を失ったり、環境の変化で漁獲高が大幅に減ってしまったと、実演をかねて原発を運営する側の人間に対して抗議をしている場面でした。そこである老漁師の言った
「電力が国策なら、国民の貴重なタンパク源としての漁業も国策ではないのか。原発だけを優先し、なぜ漁業を切り捨てるのか」
という問いが痛切でした。かと思えば原発事故で一儲け“漁夫の利”をつかもうとする人間がいて、ゲンパツ誘致によるタナボタ資金で町を興そうという人がいて、そういう考え方をする人間がいることに唖然としたことをここに付け加えておきます。その一人が講演で言った台詞がこれまたすごくて、引用すると
「えー、その代わりに百年たって方輪が生まれてくるやら、五十年後に生まれた子どもが全部、方輪になるやら、それはわかりませんよ。わかりませんけど、いまの段階ではおやりになったほうが
よいのではなかろうか………。こういうふうに思っております。どうもありがとうございました」
という長くなることを承知であえてもってきましたけれど。こういうメンタリティーを持つ人間と、何が何でも原発事業を推し進めたい人間とその他もろもろが複雑に絡み合って、日本の原発事業はできていたんだなと改めて感じました。原子力発電をこれから続けるにせよ、廃炉にするにせよ。莫大な予算がかかることは明白です。さ、どうするんでしょうね。これから。 -
C0036 単位は、現在使用されているものを併記して欲しかったです。福島原発事故とは関係ない本ですが、今から考えると、その萌芽みたいなのは感じます。権力は存分に振るう割に、いざ責任となると都合よく分散させて、結局誰も責任を取らない。かつての大本営と実戦部隊みたいです。間接的に聞いた話ですが、原発のシステムをやっている人がある程度は事故を前提にしているそうでした。なので、いつかは起こると思っていましたが、ここまで酷いとは思いませんでした。原発半径30kmあたりは、土地・建物の価値は相当な下落になるかと。