ウルトラマンと「正義」の話をしよう

著者 : 神谷和宏
  • 朝日新聞出版 (2011年7月7日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023309586

ウルトラマンと「正義」の話をしようの感想・レビュー・書評

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  • ウルトラマンシリーズのあらゆる話から、人間の生き方、地球との関わり方、武器のことから何から鋭いところを突いてくる。何度か泣きそうになった。

    異物を排除する人間の愚かさや、武器を持つことの怖さ、
    「正義」とは何なのかを考えさせられる。

    北朝鮮が東日本大震災に寄付をしていたとは、この本を読まなければわからなかった。

  •  子供のころはウルトラマンと怪獣の対決が楽しみだった。その一方で、なぜ怪獣はいつも悪なのかなど考えたこともなかった。そして、正義ってなんなのか。
     本書は中学校でウルトラマンを教材にした授業を行っている著者が、ウルトラシリーズのなかからいくつかのエピソードを取り上げ、エピソードに込められたメッセージを昨今の社会問題などと絡めて論じている。
     ウルトラマンに昔熱中していた方も、あまり詳しくない方にも読みやすい「正義」を考える入門書です。

  • 発売予定の『ウルトラマン「正義の哲学」』の存在を知り気になっていたとき、ほんとにたまたま図書館で目についた本でした。
    これは面白い。といいつつウルトラマンシリーズほとんどみたことがないので、全部観てみたくなりました。
    ウルトラマンという身近な題材で、ストーリーもしっかりしている所からの話だったのでわかりやすかった。

  • ウルトラマンのタイトルと神谷という著者名を見て、(声優さんが書いた本かな)と思いましたが、私が勘違いした声優は神谷明と神谷浩史で、著者とは別人でした。

    『リトル・ピープルの時代』『ふしぎなふしぎな子どもの物語』と、最近ウルトラマンに関して記述された本をたて続けに読んでいます。
    どれもなにかの雑誌でお勧めされていたもので、3冊とも、震災後に刊行された本です。
    やはり震災は従来のヒーロー像に大きな影響を与えたということでしょうか。
    詳しく知らないウルトラマンの関連本を3冊同時期に読み終えたことは、なかなか自分にとっての肥やしになりました。

    この本は、ウルトラマンだけを採り上げているため、ストーリーやエピソードも紹介され、より詳しいものとなっています。
    子供用の作品は、勧善懲悪が基本で、ウルトラマンの世界では、怪獣たちが悪の存在として登場しますが、果たして本当に善と悪は固定されたものなのか?という問いがこの本のテーマとなっています。
    たしかに、あらすじを読んでみると、単に善サイド悪サイドとは分けられない複雑さや曖昧さがあり、(怪獣にだって言い分があったりするんだな)とも思えます。

    『ウルトラセブン』は、当時のベトナム戦争の影響下にあった作品とは知りませんでした。
    シリーズ内でも異色の暗さが出ていると言われるのは、そのわけかもしれません。
    セブンの敵、ギエロン星獣は、怪獣ではなく異星人だったということも初耳でした。
    地球人は、自分たちの保身のために異星人を悪と見做して排除したというストーリーとなっていたようです。

    セブンから40年後に作られた『ウルトラマンマックス』には、メトロン星人が登場。
    彼らは堕落した地球人に絶望し、侵略の価値なしと見做して、ウルトラマンとの戦いを放棄したとのこと。
    そんなストーリーがあったとは。考えさせられます。

    さらに、ラストに流れるナレーションの文章には驚きました。
    「人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。でもご安心ください。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。え?なぜですって?我々人類は今、宇宙人に狙われるほど、お互いを信頼してはいませんから」
    アイロニーにあふれた言葉がショッキングでした。

    延々と続いているウルトラマンですが、時代背景の影響も受け、単純な正義をふりかざしているわけではないということが見えてきました。
    正義の基準は時に矛盾をはらみ、そこに懊悩するヒーロー像があるということも。
    だからこそ、息が長く、大人にも支持され続けているのでしょう。

    ベトナム戦争ではありませんが、今はアメリカ中心の国際社会となっており、アメリカが定めた正義が、全世界の正義ということになっています。
    ただ、国ごとに価値基準が違うため、そこにひずみが生じて、さまざまな国際紛争が起きているということを、ウルトラマン作品を通じて改めて感じました。
    子供の頃は、ウルトラマンは完全に善なる存在ととらえていましたが、かといって対する怪獣が悪かというと、怪獣側の立場に立ってみれば、そうとも限らないわけです。

    成長してから改めて作品を見直すと、気付かなかったたてまえ正義のひずみに気づくこともあるのでしょう。
    「2010年は『告白』や『悪人』という映画が大ヒットしたのですが、これら2作に共通するのは、加害者もまた被害者であり、責任の所在を追求していくと堂々巡りに陥っていく点です。」というくだりを読んで、なるほど、確かにどちらもその歯がゆさが同じだと気がつきました。

    マイケル・サンデルの講義のように、これからは互いの側に立って、とことん突き詰めて考えていかないと、どちらが善か悪かは簡単に決められない、多様な価値観の時代に突入しているのでしょう。
    そう考えると、ウルトラマンに描かれるヒーロー像は、かなり時代性をおびた象徴的な作品だということに、気付かされました。

  • 感想未記入。引用省略。

  • とある事情よりヒーローと正義の関係を考えたくて探し出した本。
    わたし自身は性別的にもあまりウルトラマン自体を観たことはなかったけれど一通りのあらすじなどを紹介してくれるので、同じ尺度で考えることが出来たと思う。
    一言で「正義」と言ってしまうにはすごく難しく扱いにくい言葉をじっくり考えられる一冊でした。

  • 1、正義とは力だけでなしえない。
    2、世界唯一の被爆国だからこそ描けるものがウルトラマンにはある。
    3、正義の味方願望を満たすには2つのやり方があり、一に敵を作り強者になることと、二に弱者を助けることである。

  • 本書は『ウルトラマン』の中で描かれた様々な正義と、それにまつわる諸問題について考察したものです、日頃、中学絵師に授業で伝えていることに触れつつ、生徒には教えていないような現代思想や哲学の方法を用いた説明を大幅に加えています。
    (正しさを疑うとは)……地球は地球人のものという「当たり前」を崩壊してみせたドラマです(「ノンマルトの使者」)。
    (悪いのは誰かとは)……「ザ✩ウルトラマン」第12話怪獣とピグだけの不思議な会話より、いかに生育歴が良くなく、劣悪な環境のせいであったとしても凶悪な犯罪を犯せば厳罰を与えられるのは仕方がないことだと思うからです。
    (戦いは何のため)……戦いの先に何があるのかは誰にも見えず、戦いは何かを得るための手段から始まり、いつしか敵をたたくこと自体が目的になっていくのではないでしょうか。
    (正義を求める心とは)……「正義」とはもともとあったものではなく、今日妥当であると思われている「正義」が未来に亘って「正義」である保証もありません。その時、その場に必要な「正義」を設定するため議論が不可欠です。

  • 改めて、ウルトラマンシリーズが普遍性をもった作品だと感じさせてもらえる本でした。

    ウルトラマンシリーズが扱っているのは、科学と経済の急激な発達によって、未熟なままで国際的な責任を持つようになってしまった日本人への皮肉だと、この本を読んで改めて思いました。
    ここで紹介されているエピソードは、そもそも善意や自己防衛から始まったものばかりです。そういったものに付随する、社会や人間の闇が今もあるからこそ、現代を生きる生徒さんも考えさせられるのでしょう。

    取り扱うエピソードのあらすじが書かれた後に、考察があるので、ウルトラシリーズを見ていない方も手に取りやすいです。
    正義のヒーローの話に隠れる影を一度見てみて下さい。

  • 一度読んでみたかったウルトラマンについての考察本。
    こういった本を執筆なさってますし、学校でウルトラマンをテーマにした授業も行っているだけあって、ウルトラマンを熟知してらっしゃいます。
    ぎりぎりティガまでしか知らないので、ウルトラマン、タロウ、セブンなどがメインに扱われていて懐かしかったです。今まで「悪い怪獣をやっつける良いウルトラマン」と見てましたが、それは果たして正義なのか、と考えるとウルトラマン像がゆらぎましたね。
    悩むウルトラマンは非常に人間らしいと思いました。
    昭和のウルトラマンと平成のウルトラマンの変わった点などなかなか興味深かったです。
    昭和の作品が平成に引き継がれているようなので、コスモスやメビウスなども見てみようかなと思いました。

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