電力危機をあおってはいけない

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  • 朝日新聞出版
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023309920

作品紹介・あらすじ

うろたえるな、危機のときこそ冷静に判断すべきだ!毎年1%の削減で電力需要は大きく下げられる。原子力でも自然エネルギーでもない、税金を無駄にしないエネルギー政策を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 政府・マスコミ等の宣伝によって、歪められた情報が蔓延している。それらの情報が「あまりにも世界の情勢や再生可能エネルギーの実情を理解していないことを憂い、緊急に出版を思い立ったもの」という著者のことば通り、電力は足りているのか?資源は足りているのか?原発を含め今後のエネルギー戦略については、どのように考えるべきか?ということがコンパクトにまとめてかかれています。お薦めです。資料も多く、手元において参照するにも良い本だと思います。

  • 人口が減れば電力消費も減る
    原発がなくても電力は賄えるが安全保障(核の抑止力)上の考慮が必要
    日本は自然エネルギー活用に不利な国
    太陽光発電は非現実的選択
    地球温暖化はマイナスとは限らない

  • 昨年の電気需要逼迫に伴う節電は、今後のエネルギーをどのようにしたら良いかという問題を我々に突きつけたといってもよい。
    いい加減は人は、自然エネルギーを大活用し原発撤廃なんて空絵事ののように言い、電力を自由化すれば問題は解決するとか全く見当違いな発言をする人もいた。

    ここで一つ冷静になり、我が国のエネルギーは原子力発電所が無いと供給量が需要量を上回るのであろうか?
    上回らないまでも、原子力発電所分の電力を火力で補えば供給可能となるのか?そうである場合、どの程度コストは上がってしまうのか?
    という事をデータを元に建設的かつ科学的に分析してみよう、というのが本書の主題である。

    タイトルの通り、結論は電力危機なんてマスコミが煽っているだけで、実はまだまだ大丈夫ですよということになる。
    筆者は東京大学農学生命科学研究科の准教授であり、エネルギーの専門家ではない。
    素人にしては良く書けているが、それでもやはり素人です。
    エネルギー構造とエネルギー開発の基本的な所を全く把握していないようだ。

    例えば、p72の「原子力発電所による発電量を石油ではなく、価格の安い石炭でカバーするという仮定を置くと・・・(中略)・・結論するなら原子力発電所をやめて火力発電所にしても、それほど費用はかからないと言える」
    という記載がある。エネルギーの話になると原子力発電所に変えて火力発電にした場合にどの程度コストが上がるのかというのがモデルケースとして取り上げられ、本書もその例に漏れず計算している。

    このロジックの良くない所がお分かりであろうか?

    もともと原子力発電所も石炭火力もベース電源として利用されている。したがって、本書の言うとおり石炭火力によって代替することを考えた場合に、新規建設がマストとなる。一方で、今日の石炭火力は新規建設に大きな困難を伴い構想から建設までに十数年かかることもザラである。
    モデルケースであるので、こんな計算は無意味であるとはいわないが、上記の事実は本書に記さなければなるまい。
    これを読んだ初学者の方はそうか原子力発電所なくても問題ないじゃんか!なんて誤解してしまいます。

    また、原子力発電所の核燃料サイクルについてもフランスの撤退の例を出して、フランスがやめているのだから日本で技術開発できるわけない、つまり日本の核燃料サイクルは成功しないというなんともお粗末な議論を展開している。

    このような書籍は一見して、データから客観的に議論を行なっているように見えるが、実はよーく注意深く読むとロジックが怪しい事がたくさんある。
    日頃から考える癖がついていないとコロッと騙されるので注意が必要です。

    しかしながら、昨今のエネルギーについての報道等を見ると感情論で原子力発電から撤退しようという声が多く聞かれる。
    ぜひともデータを元にエネルギー政策を立案して欲しいものだ。

  • このカラーリングと書名から想像するとやや扇情的な内容をイメージするが、内容はいたって理性的。日本の人口減少傾向などから論理的に右肩あがりの従来の「増え続ける電力消費」は幻想であることを説く。とはいえ原子力の推進には懐疑的なところが、今の自分の考えに近く、すっと読めた。ふむ。

  • 電力需要の伸びはいずれ人口減少で頭打ちになるという指摘もさておき、バイオマス発電で日本は6兆円つっこんだけど、何の成果も出なかった事や誰も責任を取らなかったことに対しての指摘が鋭く、同じ構図が太陽光発電で繰り返されるのではないかと危惧。数十年にわたって進歩の無かった産業でブレイクスルーを期待するのは厳しいのではないかという指摘にもなるほどと。

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著者プロフィール

川島博之(かわしま・ひろゆき)
 
 1953年、東京都に生まれる。東京大学工学博士。東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。 専門は、環境経済学、システム農学。 2011年には、行政刷新会議ワーキンググループ(提言型政策仕分け)の評価者を務める。1977年、東京水産大学卒業、1983年、東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得のうえ退学。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを歴任。
 著書には、『「食糧危機」をあおってはいけない』(文藝春秋)、『食の歴史と日本人「もったいない」はなぜ生まれたか』(東洋経済新報社)、『「食料自給率」の罠 輸出が日本の農業を強くする』(朝日新聞出版)、『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』(日本経済新聞出版社)などがある。

「2017年 『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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