予測力 「最初の2秒」で優位に立つ!

  • 朝日新聞出版
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023310544

作品紹介・あらすじ

膨大なデータを分析しても答えは出ない。どうすれば「先を読む力」を磨くことができるのか。ベストセラー『トレードオフ』の著者が秘訣を公開!

感想・レビュー・書評

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  • 優秀なスポーツ選手やCEOは優れた予測脳を持つとか、予測脳を身につけるためには、その分野での1万時間の訓練が必要であるとか、今回はマルコム・グラッドウェルの本みたいな内容なのかなーと思っていたら、後半は期待を裏切らずテクノロジーの話だった。

    その優れた人間の予測脳をシステム的に実現するための方法を、数多くの事例と共に紹介。いま話題のビッグデータ関連の事例も多く、とても興味深かった。

    前作の「トレードオフ」もそうだったけど、ケビン・メイニーの著書はノンフィクションなんだけど物語性があって面白い。しかも今回は前半は伏線で、「後半からが本番だ!」みたいなサプライズまで用意されていて、ヘタな小説よりもよくできたプロットだった。

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  • 予測力を付けるには?

    →その道で第一人者になるには1万時間の練習が求められる
    それにより、情報のかたまりをもとに予測を行えるようになる
    膨大な知識が勘を支える

  • 優れていている人の行動は、普通の人と比べて予測力が2秒だけ早いというのがこの本のタイトルです。2秒というのは、ぼっとしていると一瞬で過ぎ去ってしまうように思える時間ですが、2000ミリ秒もあり、私達の脳の処理スピードを考えると、2秒間の間に多くの情報を処理することができると考えられます。

    この本では、実在する一流のアイスホッケー選手の例にとって、彼は、パック(アイスホッケーの球)が現在の位置から2秒後にどの位置にあるかを予想して常に行動している点が、体格に恵まれないにもかかわらず得点王になれた秘訣であるとしています。

    常に先回りして相手に備える、そのために何が必要かを自分で考える、という姿勢は今後の私にも大事なポイントだと感じました。

    またこの本には、そのような素晴らしい「予測力」を身につける秘訣が書かれていました。それは「練習」です、それも自分が確立したい分野において「1万時間の練習」です。以前、プロのピアニストも時間を探して、自分の練習に費やしている、と聞いたことがあります。また、ある分野の一人者になるには「1万時間」の勉強・経験が必要と言われています。学問に王道なし、と言われますが、自分のスタイルを確立するためにも、若いころの(また年取ってからも)苦労は必要なのですね、と改めて思いました。

    また、脳とコンピュータの違い(脳は、命令とデータは区別されず、絶えず変化している)を知ったこと(p182)も、この本を読んだ収穫でした。まだまだ生身の人間はコンピュータには負けられないですね!

    但し、最後の一文「進歩を続けるコンピュータをうまく活かすと、人間はより偉くなれそうである(p263)」も肝に銘じておくべきと感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・10日後の予想さえできなくて良い、隙間や機会を見つけるのに十分なだけの「ちょっと先」を競争相手よりも一瞬だけ早く、高い速度で予測できれば良い(p18)

    ・脳は流入してくる情報をもとに、「以前の体験に似ている、次はおそらくこうなるだろう」と予測をする。そして予測と現実を比べて修正を行い、予測内容を改める。脳はミリ秒(1000分の1秒)単位でたゆみなくこの作業を続けている(p19)

    ・予測脳は、訓練・猛烈な努力・実地テストを何千時間も重ねれば、その分野においては効率のよい優れた予測脳を築くことができる(p21)

    ・すでに整理、分析、理解を経た、まとまった情報を利用することで、試合中にこれを参照できる(p22)

    ・これから30秒間どう動けば良いかを考えるのではなく、次の瞬間に何が起きるかを、他の選手よりも少しだけ早く、少しだけ正確に予測すれば良かった(p23)

    ・コンピュータは、長い計算をしたり、多くの文書データから言葉を検索したりするのは得意だが、牛の線図をみて、そこに何が描かれているかを理解するといった、三歳児にもできる単純な判断ができない。種々雑多なアイデアを寄せ集めてそこから「ひらめき」を得るような高度な頭脳処理はお手上げである(p24)

    ・自社をめぐる状況すべてを頭に取り込み、鳥のように高いところからそれを眺めるから、細かい点はぼやけていき、直感だけを引き出すことできる。この考え方ができるのが創業者(p39)

    ・脳は厳格なルールに縛られずに物事を分類できて柔軟にできるので、ルールを理解するだけでなく「ルールに例外を設ける」ことができる(p44)

    ・脳は、何が視界に入ってくるかを予測したうえで、実績と予測を比べている。私達は、予測と現実が歩み寄った結果を見ている(p47)

    ・ひとまとまりになって入ってくる情報=チャンク、は予測をしてその中身を大脳皮質の下層に伝える。同じような状況には以前に遭遇したから、次の展開はこうなるはずだ、予測が当たればチャンクは一層確固たるものになり、外れれば教訓を得る(p51)

    ・それぞれの道で第一人者になるには、目安として一万時間の練習が求められている。これだけ練習すると、情報のかたまりを基に、予測を行い、たいていの人よりもはやくうまく仕事をこなせる。(p58)

    ・データベースでは、「何がおきなかったか」をいう情報に対処しようがない。(p63)

    ・成長とともに高度な思考を身につけると、新たな言語の習得は難しくなっていく。脳は高度な思考のほうが格段に重要だと判断して、膨大な量の細かい情報の収集、再利用をあきらめる。(p81)

    ・一流の音楽家は、20歳までに1万時間を超える練習を積んでいた。並の音楽家を比較したところ、2500-5000時間多く、アマチュアピアニストと比較では、8000時間多かった(p104)

    ・予測脳が築かれると、ときとともにパターンが出来上がってくる。それまでは理解に苦しんだ行動が、はっきり理解できるようになる。自分は猛スピードで動いているように感じられて、逆にまわりはスローモーションのように見えるだろう。頭の中では、次の一手について自由に思いを巡らせいる(p111)

    ・五感で受け止めた目の前の出来事を、脳内で記憶にもとづくパターンと照合して的確な短期予測を行う(p111)

    ・90年代にニューヨーク市の犯罪率が下がったのは、コンプスタットの威力によるところが大きい。過去のデータベースから、傾向を読み取るデータベースソフトを作成し、GPSを用いてパトカーの位置をつきとめて、監視カメラを設置して、それぞれに監視と通報を担わせた、念願にあったのは数分後の具体的な予測(p144)

    ・犯罪者を「捕まえるべき相手」ではなく、「影響をおよぼすべき相手」を見做した時から、以前とは比べ物にならないほどの高い成果を出した(p147)

    ・顧客をいくつかの種別に分けたうえで、種別ごとに料金サービスの条件を決めていたが、これをやめて顧客ごとにカスタマイズすることにした(p165)

    ・脳内では、命令とデータは、はっきり区別されず、それらのつながりは多様で絶えず変化している。しかしコンピュータ内部は、命令とデータは区別されて、それらはマイクロプロセッサを介して結び付けられる。これが、脳とコンピュータの根本的な違い(p182)

    ・脳の素晴らしさは、神経細胞を使ってわずかなエネルギーで大量のデータを処理するところにある。所要エネルギーは12-20ワット、冷蔵庫の内部を電球で照らす程度。これをコンピュータで行おうとすれば、エネルギー消費量は小さな都市に匹敵する(p137)

    ・わたしたちが他人の行動を理解できるのは、相手の頭の中で何が起きているかをモデル化して推測するから。(p215)

    ・1907年10月24日にニューヨークで大暴落が起きているとき、銀行家のモルガンは、金融システムを救うために、数百万ドルの私財を融資にあてた。あわせて、財務長官には2500万ドルの流動性供給を、ロックフェラー等にも要請した(p224)

    ・高い能力とは、煎じ詰めれば、予測力にほかならない。予測力を磨くカギは訓練にあると考えている。練習を通して、専門分野の予測モデルを計画的に強化しながら、新しい情報と経験を着々と積み上げていくのが大事(p253)

    ・卓越した人は、ほぼ例外なく好きなことに夢中になっていて、そればモチベーションを生み出している。なぜ好きかは、人生の早い時期に「この分野についてはとても正確な予測ができる」と自覚したから(p255)

    ・予測力を発揮できる分野と出会えるように、子供には様々な体験をさせるべき。ただし無理強いはせずに、好きなことを好きなだけやらせよう(p257)

    ・最近の科学に照らせば、進歩を続けるコンピュータをうまく活かすと、人間はより偉くなれそうである(p263)

    平成27年4月28日作成

  • THE TWO-SECOND ADVANTAGE: How We Succeed by Anticipating the Future ― http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13573

  • 読み進めるとかなり面白かった。
    人間の脳とコンピューターの違いを予測という観点で考察しながら、コンピューターで再現可能なものを述べてあった。
    ある意味未来は面白い。
    そして可能性というものを考えさせられた。

  • 同じことを何度も繰り返し書いてあって、食傷気味。
    CEPが活かせる分野集としては、よかったのではないかと思う。

  • NHLの有名な選手を例に、2秒先=少し先をいかに正確に予測できるかが勝負のポイントである、というのがこの本の主張。
    膨大な過去のデータから分析する事よりも、今直近の未来で何が起こるか、を的確に当てることがビジネスでも重要な勝敗の分かれ目である、と。

    確かにそうである、という印象。ただ、それだけを述べるのに本一冊も書き上げる必要があったのか微妙な印象。途中まで読んでエッセンスを汲み取れば自分には十分な感じであった。

  • ビックデータの先を示した本。

    スポーツマンの天才を支えている予測力を導入部として、大量のデータに基づくパターン発見+予測モデルの構築を目指してる組織の事例を紹介している。

    先日、お話を伺った電力会社の研究所の方は「風力、太陽光発電の大量導入による系統電力の不安定さ」を懸念されていたが、この予測力を構築できるかどうかがカギだと感じた。

  •  予測力、しかも単なる予測ではなく瞬時に予測できる能力はどうやって構築され、構築できるのか。

     ある判断を下すのに大量のデータをファイン万式のコンピューターの計算のように処理するだけでは膨大なデーターの貯めにどうしても多大な時間とエネルギーを消費することになってしまう。

     人間の脳はコンピューターとは違い可塑性がある。最初は膨大なデーターを効率悪く処理するが、ある経験(時間)を経ることで脳の神経組織は最小限のエネルギーで判断が出来るように自身を再構成する。この脳が判断システムをメタレベルで再構築できることが、瞬時の判断や予測を可能にする。

     それはまさしく暗黙知の世界である。しかし、いままでは暗黙知をいかに形式知に比喩的に形式変換して暗黙知の疑似知を実現できるかどうかに焦点があたってきた。これからは形式知をいかに暗黙知に変換できるかに焦点が当たるだろう。

     コンピューターをいかに人間の脳に近いものにできるかを、いままではあくまでも形式知の高速計算処理として捉えた結果、その成果はほとんどうまくいっていない。ここにきてコンピューター技術者はアプローチを大きく変えて、いかにデータとシステムを相互干渉させてコンピューターが自動的可塑的に学習できるように出来るかに変わりつつある。

     またこれは人間の脳研究にとっても一つの方向性を示している。脳を不可塑的な計算処理の系列として捉えるのでは無く、複雑的フラクタル的ゲシュタルト的アプローチで研究を始めている。

     人が判断に伴う神経組織をメタレベルで構築するには目安として1万時間が必要になるという。宮本武蔵は武道の上達の目安として「千日を鍛とし、万日をもって練とす」と言っている。また芸事の質的レベルアップの目安として百回というのがある。100回量を重ねることで、質へと転換するという。

     戦後の構造主義に続くポストモダンは構造や価値の相対化を強調する余り、何も有益な価値の創造を行えず無様な醜態を見せた。構造の価値を甘く見たのである。構造が生む価値、価値が生む構造のダイナミクスこそがこれからの社会学、哲学だけでなく、脳科学、経済、倫理、道徳、生きる意味を考える上で大きなテーマに君臨することは間違いない。

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