- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023311503
感想・レビュー・書評
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信じたくないような物凄く辛い話だけれど、読んでよかったです。
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いくつか改訂版のような形で同じものが出ているので
どれに書くか迷ったが
(多分私が読んだのは2022年に出たものだと思う)
ここが一番感想が多いのでこちらで。
読み終わってあまりの衝撃…
事実は小説より奇なり、というが、まさにそれで
今こうやって文章で読んでいるから多少和らいでいるが
実際はもっと凄惨なものだろう。
なんと言っても読んでいるこちらは、筆者が生きていることを「知って」読んでいるが
当時それを体験している本人は
本当にこの情報が正しいのか、生きていけるのか、
このひどい現状はいつ終わるのかなど
全くわからない状況なのだから。
それにしても、やはり…なんていうか、
上は理想(思惑)に向かって命令しているだけで
それに対してどういう結果がついてくるのかを知らず
(下は下で点数欲しいから上に報告しないから
上が知りようがないし興味もない。)
下は命令に対してどれだけ忖度を加えつつ遂行するかで
どういう結果になっても関知せず…な部分って
本当に変わらないなぁ、と思う。
著者が生き延びられたのも、本当に運が良かったというのが
一番だよなぁ… -
生命あることに感謝
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4.47/68
『封じられた中国建国史の闇 を、
今こそ審らかに!
激しい内戦によって誕生した中国。1947年、中国共産党軍は国民党軍が占拠する長春を食糧封鎖。水も食糧も絶たれた30万人の民衆を餓死に追い込んだ。
当時7歳だった筆者が見たものは?
__その極限状態を生き抜いた日本人少女、魂の告白。
「半分は無感覚になることによって発狂を免れ、
残りの半分は、発狂することによって死を免れていた。」
本書は、中国革命戦争における一級の歴史資料であり、
高潔であり続けた日本人とその家族の魂の実話(ノンフィクション)である。
[本文より]
長春で1948年に餓死していき、ゴミのように捨てられて、まるで死んだことが悪いかのように歴史から葬られた人々。
餓死したことを、まるで犯罪者を語るようにひそひそとしか話せない中国の現実。
それを書き残すことは私の魂の闘いの墓標でもある。』(「Amazon」サイトより)
『チャーズ 中国建国の残火』
著者:遠藤 誉(えんどう ほまれ)
出版社 : 朝日新聞出版
単行本 : 384ページ -
第二次世界大戦終戦直後の、中国での日々を綴った貴重な体験内容である。長春を脱出するにあたっての、当時の凄まじい状況が生々しく描写されており、そのような体験を持った日本人はわずかしか生き残っていないのではないだろうか。
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これはほんとうにおきた話だ。こわい。恐ろしい。インフラがとめられたらアウトだ。
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私の母方の祖父も、満州(長春)にいました。祖父は、13歳ほどで満州に渡ったと聞いています。
当時は、多くの日本人が、「新天地」に渡りました。
夢の国、満州と呼ばれていたそうです。
今とは比較にならないぐらいの日本人が住んでいたと聞いています。
祖父は、終戦と同時に、日本に帰国した引き揚げ者ですが、当時の状況は、母には語りたがらなかったみたいです。
「まぁ、ええではないか」が、口癖で、おそらく、たくさんの悲惨な光景を見て、それを思い出したくないんだと思います。
さて、この『チャーズ』ですが、読んでいくうちに、あまりの著者の過酷な体験に閉口させられます。
まさに、地獄そのものを経験した人が書くことができる真実です。
人間が虫けらのように死に、殺され、人権無視の扱いを受け、騙され、屈辱を受けと、、、何も知らない私のような世代
(83年生まれ)が読んだら、現代とあまりの違いに言葉が出ません(現代は、現代で、残酷ですが、、、)。
著者が専門である理論物理学を捨て、留学生の援助に自分の存在意義や心の空白を埋める何を見出したのは、
著者以外、わからないと思いますが、どこまでいっても、人は、自分で行動して、他人から救われるのだと思いました。
著者の文章力は、そんじょそこらの小説家よりも、はるかに上です。読ませます。是非、一読を! -
著者は中国で製薬会社を経営し、中国人、韓国人にも慕われていた日本人社長の娘。巻頭、浴衣のようなかわいいもんぺを着た写真、文章も戦時中の満州の日本人の生活がよくわかる。そこから敗戦、解放区への逃亡、チャーズ、天津、帰国と著者の
記憶もショックでところどころ飛んでいる壮絶な体験。飼い犬が人間の赤ん坊を食い、餓死者を見た日に露天があり食べ物が売られている景色を見る秩序ない町の状態、兄と弟の死。チャーズでの一斉に新参者流民を強奪する流民、自分はあそこまでされなくて良かったとおびえるそばから「自分たちがそのうち奪う側になるんだよ」と言われる恐怖。「日本人は戦争に負けたことがないんだろ?中国では大昔からいろいろな国が土地を奪い合って人民は次はどっちにつくか負けたときのことをいつも考えてる。この国では負け方を知らない人間は死ぬんだよ!」チャーズを出るときは自らの人脈を利用しすべての人を助けることは叶わないまま脱出。でもそうしなければ生きていたかわからない。著者い命を救うため父は一生かけて借金を返すつもりで月賦でストレマを購入。そのおかげで著者は生きている。子供の命の大切さ。あのとき借金をためらっていたら。。。その後の著者の中国の学校での苦労、特に日米安保の進捗、警察予備隊の発足時の心中はいたたまれない。最後は世話をした日本人からの批判、つるし上げで中国に見切りをつけて帰国する。 -
本人の言う通り、科学者で中国人の思想をここまで知っている日本人はいないだろう。中国人留学生を支援している姿は立派だと思う。
このところ、終戦後の手記を読むことが多いが、作者は当時の様子を詳細に記しており、非常に読みやすい。物語テイストという感じである。
澤地久枝の手記は非常に読み辛かった。おそらく当時のことを思い出すのが辛かったのだと思う。
これからも著者の作品には注目していきたい。
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