- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023311657
感想・レビュー・書評
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[長大な不協和音]日本政府による尖閣諸島の国有化後、厳しさを増した日中関係。噛み合わなくなった日中の歯車の遠因はどこにあるのかを問いかける著者は、先の大戦におけるルーズヴェルトと蒋介石のカイロ密談にたどりつく。歴史の闇に埋もれ、多くは語られてこなかったその密談の内容とは、そして、それが今日の関係にもたらしている影響とは......。著者は、『チャイナ・ナイン』や『チャイナ・ジャッジ』で新鮮な中国観を提示したことで注目を集めている遠藤誉。
カイロ密談、日中国交正常化、愛国教育に領海法......。ねじれにねじれた日中関係の原因がつぶさに明らかにされており、日中関係を俯瞰する上で大変参考になる一冊です。中国(というより中国共産党)がどうしても内包してしまう行動の論理を見事に現実の事象から導き出し、それが歴史的にどのような文脈に置かれるかを正確に指摘する遠藤女史の筆は圧巻の一言。チャイナシリーズの最後を締めくくるにふさわしい、読む側も知恵と精神力を試される力作です。
その後もろもろの変化は見られましたが、個人的に息を呑んだのが中国による領空侵犯を分析した箇所。尖閣諸島が中国のナショナリズムと直結し、いかに中国が退けないところまで来ているかを説得力のある説明とともに明確に指摘しており、感嘆にも似た思いにとらわれました。
〜中国時間の「2012年12月13日午前10時」、日本時間の「午前11時」に何が起きたか。それを読み解けば、中国がいかに「領土問題を政治問題化しているか」ということが明白となるのである。だからナショナリズムに直結し、反日行動に直結することになる。〜
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遠藤教授の新作、
愛国主義教育はなぜ始まったのか?
中国革命から文革、凶暴であるほど革命的であると英雄視される、「大地のトラウマ」何千年も続いた封建社会の土壌には一党支配的専制はよく馴染む、「暴力革命」「アメリカ従属」日中感情のギャップ、
親米のルーツ、義和団の乱、清華学堂、清華大学、
尖閣から長春へ カイロ宣言に翻弄された人生、
遠藤教授が暗殺されずに、チャイナギャップを埋める活動を続けられることを期待する。