選択と捨象 「会社の寿命10年」時代の企業進化論

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023314191

作品紹介・あらすじ

【社会科学/経営】市場の力を活用すれば、日本は再生できる! JAL、ダイエーなど、企業再生の修羅場を知り尽くした著者が、ブラック企業・ゾンビ企業の淘汰から始まる日本再生の処方箋を説く。真の改革のチャンスは危機の最中か直前にしかやってこない。

感想・レビュー・書評

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  • 選ぶことは、捨てることである

    ロイヤルティーが事業や仕事でなく、会社に向いている

    永久に淘汰し続けないと淘汰される

    共同体は同質性を保とうとして、暗黙の約束事をたくさんつくる

    要するに、外の企業とは弱肉強食の資本主義の世界で競争するけれど、企業内は運命共同体として、みんな平等で落ちこぼれを出さない社会主義でやっていこうということである

    共同体は多様性を嫌い、同質化を加速させ、大きな環境変化に対する適応力を失っていく

    情理 共同体の構成員としての人々の行動原理
    合理 市場競争の血も涙もない経済原理

    多角化 あれもこれも
    選択と集中 あれかこれか

    企業が滅びでも事業が残り、資本力、経営力のある企業に買収されれば、むしろ新しい雇用を生むチャンスである

    グローバル化の進展により、先進国での雇用で現実に起きたことはなにか。地域密着で対面型のサービス(流通、運輸、社会福祉、飲食、観光)などを提供するローカルな経済圏で働いて給料をもらっている人の比率が上がった

    現代においてイノベーション環境で持続的に成功している会社は、自分のコアドメイン(中心領域)やコアコンピタンス(根源的組織能力)をしっかりとわきまえた上で、事業と機能の新陳代謝と連続的なイノベーションを積み上げている。一方でコアドメイン周辺で起きそうなラディカルなイノベーションシーズは、若くて小さな会社を買収していくスタイルをとる

    cf. GE エネルギー関係のベンチャー企業を買収 コマツ 若いベンチャー企業と連携

    ラディカルイノベーションが主たる競争要因になっている領域は思い切って捨て去り、蓄積的な顧客基盤や経験技術、ノウハウがモノをいう寺領領域や事業モデルにシフトする。血で血を洗う市場から、参入障壁が高く競合密度の低い市場に出ていく

    共同体を守るために、共同体内の当面の調和を犠牲にしてでも果断な決断を行う能力は、洋の東西を問わず、企業が持っているべき根本的な組織能力なのである。それを滅殺するような体質は絶対に一掃しなければならない

    山本周五郎 樅の木は残った

    捨てる決断はボトムアップ型の意思決定では絶対にできず、必ず手遅れになる。トップリーダの専権事項なのだ。正しいタイミングで捨てる判断ができるリーダー人材を育て選抜することは、決定的な意味をもっている

    大事なのは選ぶことと捨てることである

    JALの企業年金は豪華 基礎年金と厚生年金をあわせると月50万 パイロットとCAのカップルなら月100万もあり得た。それが月額10万減るだけの話だったが、あたかも半減されて生活がなりたたなくなるような大騒ぎが始まっていた

    Lの経済圏 小売、卸売、交通、物流、福祉、保育、介護、医療 地域密着型のサービス 地域ごとに違うチャンピョンが存在し得る、棲み分けも可 生身の顧客に密着、対面していないとサービスを提供できないので、いわゆる空洞化は起きようがない

    最近Lの経済圏でどこも深刻化しているのが人手不足

    人口減による国内市場の圧縮圧力と働き手不足の両方の影響下では、なによりも労働生産性を上げることしかない

    団塊の世代が平均寿命を迎えるまでの20年間は、もっぱら消費する側に回る高齢者の数が圧倒的に多くなり、生産する側は働き手不足は構造的に変わらない。

    GとLの世界では経済圏が異なり、両者の間に、かつてのような垂直的な産業関連性がないため、大企業が儲かれば中小企業にトリクルダウンがおこることはほとんどない

    地方自治体と商工会議所などの産業界、金融機関が手を携えて長期的に粘り強く居住の集約化を促進しないといけない。都市計画を再設計し、商店と病院と介護と保育の機能を一カ所に集約するのだ

    鬼怒川温泉の再生 池田頭取が立派だったのは、この温泉街が全体として完全な供給過剰構造にある現実を直視していたことだ

    東京の事務敵職業の有効求人倍率は0.35倍 2014/10 この国からなんとなく東京に出てサラリーマンになるという選択肢は確実に消えつつある

  • カネボウ、JAL、ダイエーなどの実例から得られた事から取捨選択の大切さが伝わってくる。その他の著書とも若干被る部分もある。

  • 読み終わって、爽やかさが残る本であり、歩んできた人生を基礎に、従来の価値観・慣習に囚われない、リベラル・アーツを実現していくための実践論が書かれていた。
    私の尊敬する司馬遼太郎の一節、「東大は西欧文明の配電盤」が引用されていたり、また、岩井克人氏の考え方、会社は人でありモノであるという考え方が書かれていた。
    自分が感じている当たり前のことが、著者がきちんと論理的・経験的に整理して本になっている。
    こんな楽しい読書はありません。
    経営トップにひつような「合理」と「情理」。
    なにも経営トップでない人生ですが、雇われ所長としてもとっても参考になるくだりでした(笑)。

  • 面白い内容。
    そして、大事な問題提起がなされている。
    自分が次世代に何を残していくのか、その為にいま、何を成すべきなのか、考えさせられた。

  •  「選択と集中」を実行するためには、何かを「捨てる」ことが不可欠だが、伝統的な企業ほど、「捨てる」ことができずにいる。数々の企業再生案件に携わってきた著者が企業再生の要諦とともに、日本の産業全体が抱える課題の解決に向けた教育や地方創生のあり方を示した提言書。

     本来は「事業」を行うための道具に過ぎない「会社」を”残す”ことが自己目的化した結果、外部環境の変化に対応できず、経営が行き詰まったカネボウやダイエー、JALなど”かつての名門企業の成れの果て”を目の当たりにした著者は、「残すべきは会社ではなく事業である」との信念の下、一切にしがらみを排して合理的に事業の価値を評価し、残すべき事業を 適正な価格で新たな経営者に売却することが、結果として雇用を守り、さらに今日の日本に必要不可欠な「企業の新陳代謝」が促進できると主張する。

     さらに著者は、グローバルとローカルへの「二極化」が進むとともに、少子高齢化による労働力不足と成長鈍化に直面する日本経済のカギを握るのは、一握りの「グローバル企業」よりも「ローカル」に根ざした非製造業企業群であり、高等教育もアカデミック一辺倒から脱却し、実学中心の専門教育との「二山化」を目指すべきと提言する。利害が複雑に絡み合う政・官・財界を相手に、批判を恐れず、ブレることなく正論を通してきた著者の主張は重く響くとともに、「真のエリートとは何か」を考えさせられる。

  • 4〜5

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著者プロフィール

経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO

「2018年 『[図解]IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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