プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023315655

感想・レビュー・書評

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  • 献本にて頂く。

  • ーーーPART1 変化ーーー
    <第1章 なにが専門家に力をもたらしているのか>
    p.35 「大いなる取引」
    専門職と社会は、契約を結んでいる。専門職は排他的な立場で一般の人にサービス提供することが認められ、一般の人はその見返りに何かを得る、という社会契約の一種。
    これを著者は「大いなる取引」と呼ぶ。
    定義:専門家が専門知識や経験、適切な判断を駆使することで、誰もが利用可能な、安心と信頼のできる最新のサービスを提供することを約束し、また彼らが自らの知識や理論を更新し、整理することを怠らず、他のメンバーの訓練を行い、仕事の質を維持するための基準や標準を確立し、適切な資格を持つ人物しか仲間に入れず、さらに彼らが常に正直に、誠意を持って行動し、自分の利益よりも顧客の利益を優先するという前提において、私たち(社会)は専門家を信頼し、彼らが社会的な重要性の高いサービスや活動を排他的に行うことを認め、彼らに適切な対価を支払い、また独立、自律、自決を認め、尊敬と社会的地位を与える。

    p.49 「多なる取引」は21世紀にも通用する契約か?
    4つの問いに答えていかなければならない。
    [Q1]専門職の仕事を組織化するのに、全く新しい方法があるか?従来より利用しやすく、より多くの人が利用でき、より品質を高めるような方法。→[A]ある。テクノロジーを基盤としたインターネット社会では、専門家の知識や経験を新たな形で提供しなければならない。
    [Q2]現在専門家が行っている仕事の全てを、今後もライセンスを受けた専門家のみが行うべきであるということになるか?→[A]ならない。新たな分業体制を構築すべき。専門職の仕事を、より基本的なタスクに分割できたら、現在は「専門職」という言葉で一括りにされている作業の多くがルーチンワークであることが明らかになる。それを専門家だけに担わせておく理由はない。
    [Q3]私たちはどの程度まで専門家を信頼し、彼らがこれまでのやり方を守ることを許可できるか?あるいはどの程度まで仕事を非専門家に譲渡させるようにすべきか?→[A]専門家の規制は専門家自身によって行われることが多い。しかし、専門職の未来はあまりに重要なため、専門家だけの手に委ねておくことはできない。あらゆる人々がその利害に関係しており、議論に参加する権利を有する。
    [Q4]大いなる取引は本当に機能しているか?現代の専門職のあり方は、その目的に合致しているか?専門家たちは社会に貢献しているか?→[A]いま専門職は、経済面(提供範囲の狭さ)、技術面(インターネットによって専門家の知識の一部をオンラインで利用可能にできる)、心理面(専門家に問題を委託することで、個人の自助努力・自己発見・自立心を阻害)、倫理面(専門知識をより広く安価に普及させる手段があるなら、実現のため努力すべき)、品質面(最高品質の専門家サービスは最も裕福な人しか享受できない)、理解されやすさ(専門家サービスは複雑、不透明で、改革について議論することが困難)の6つの側面で問題を抱えている。大いなる取引の再構築、つまり専門職と国家、社会の関係の再構築が促されるはず。

    p.62 情報源を解釈し、適応するための技術は、専門職という仕組み以外にも様々なものが存在する。「実用的専門知識」の概念を拡張し、そこには伝統的な専門家が持つ公式ない知識やノウハウ、専門知識、経験、スキルだけでなく、様々な機械やシステムから生み出されるアウトプットまで含まれると考えなければならない。さらに、テクノロジーを活用することで、一般人でも、自分で問題解決に取り組むことや、過去に専門的サービスを受けた経験から得られた知識や経験をシェアすることが可能になっている。こうした一般人が獲得する知識や経験についても、実用的専門知識の特徴として位置付けられる。

    <第2章 最前線からの報告>

    <第3章 専門職に見られるパターン>
    p.137 専門職のパターンとトレンド
    ▶︎ひとつの時代の終わり
    ・オーダーメイドサービスからの撤退
    ・門番の迂回
    ・後手から先手へ
    ・より少ないコストでより多くのものを
    ▶︎テクノロジーによる変革
    ・自動化
    ・イノベーション
    ▶︎新たなスキルと能力
    ・新たなコミュニケーション方法
    ・データ活用
    ・テクノロジーとの新たな関係
    ・多様化
    ▶︎専門職の再構成
    ・ルーチン化
    ・中抜きと新たな仲介役の登場
    ・分解
    ▶︎新しい労働モデル
    ・仕事の移転
    ・準専門職化と委任
    ・柔軟なフリーランス
    ・新たなスペシャリスト
    ・ユーザーの参加
    ・機械化
    ▶︎利用者へのより多くの選択肢
    ・オンライン選択
    ・オンライン自助
    ・パーソナライゼーションとマス・カスタマイゼーション
    ・知識の埋め込み
    ・オンラインコラボレーション
    ・潜在需要の顕在化
    ▶︎プロフェッショナルファームの概念
    ・自由化
    ・グローバル化
    ・専門分化
    ・新たなビジネスモデル
    ・パートナーシップの衰退と合併

    ーーーPART2 理論 THEORYーーー
    <第4章 情報とテクノロジー>

    <第5章 知識の生産と配信>
    p.289 「職業」も「仕事」もあいまいな言葉。専門職全般の未来を考える際には、専門家がそれぞれの専門職において実際に何を行っているのかを観察し、それがどのような作業から構成されているのかに集中することが役立つ。
    人々が行う仕事の変化は、特定のタスクから始まる傾向にあり、「職業」全体で始まるわけではない。新たなテクノロジーの登場によって、専門家がイノベーションを起こしたり、新しい働き方をしたり、医師が研究により時間を割けるようになったりしたところを想像してほしい。医師などの職業に、なんらかの変化、「違い」は生まれる。しかし新しい職業が生まれたという表現はしないはず。そして医師という職業を構成するタスクを考えてみることで、より明確にその「違い」を把握できる。実際に起きてるのは、医師という職業が行っている特定の作業における変化。
    「職業」という単位で考えるのは不適切。タスク単位で考えるほうが、状況を正確に捉えられる。

    p.290 タスクではなく、職業という観点から問題を捉えてしまうと、専門家の仕事を、ある一定の枠組みをつくるために人工的に設置された概念から考えてしまうことになる。たとえば、法律問題なら弁護士、健康問題なら医師が解決してくれる…といった具合に。しかし、人々が抱える問題は、職業による線引きを超えて存在していることが多い。職業でなくタスクに焦点を当てて必要なことを考えることで、専門職をより包括的に捉えることができる。

    p.294 社会において実用的専門知識を利用可能にする方法。その可能性7つのモデル。
    ・伝統型モデル(人間の専門家、対面・時間ベース報酬)
    ・ネットワーク専門家モデル(ネットワーク化された専門家の仮想チームがオンラインで問題解決にあたる)
    ・準専門家モデル(基礎トレーニングを受けただけの準専門家が、専門家による手順やシステムを利用しサービス提供)
    ・知識エンジニアリングモデル(実用的専門知識をオンラインサービスとしてユーザーにシステムの形で公開)
    ・経験のコミュニティーモデル(非専門家が経験を共有)
    ・知識組み込みモデル(システムやプロセスに組み込まれた知識が自動的に適用される)
    ・機械生成モデル(自律的に患者を診断、財務分析、ビル設計、裁判所の判決を予測するなどのシステムが考えられる)

    ーーーPART3 予測 IMPLICATIONSーーー
    <第6章 反論と不安>
    p.356 時間が経つにつれ、従来型の専門職や専門家に対するニーズは減少していく。「ポスト専門家の時代」

    p.356 「仕事」というコンセプト自体が、今後数十年かけて変化していく。劇的な変化が起きている時代において「一生同じ仕事を続ける」という考え方は古臭いもの。専門職は「分解」が進み、性能が進化する機械の影響力も増しつつあり、求人市場も変化していく。そのような状況では、人は何らかの職に就くためというよりも、タスクごとにトレーニングを受けるようになる。

    p.357 「ポスト専門家の時代」における将来の役割
    ・職人
    ・アシスタント
    ・準専門家
    ・共感者(特定の専門分野に依存せず活動し、専門的サービスの利用者に安心感を提供するというタスクを担う)
    ・R&D作業者
    ・知識エンジニア(特定の種類のオンラインサービスをデザインすることに特化。現在、伝統的専門家になるためトレーニングしている学生の多くは将来的にはこれになるだろう)
    ・プロセスアナリスト(専門家の作業を分解し、有意義で管理しやすい単位に整理して、それを処理する最適な方法を特定する仕事。準専門家をサポートする手順やプロセスの開発など)
    ・モデレーター(ウィキのようなコラボレーションサイトで生み出されるコンテンツを監視、品質管理する作業を担う)
    ・デザイナー(システム自体を構想・設計するオンラインで知識を提供するエキスパート)
    ・システム開発者
    ・データサイエンティスト
    ・システムエンジニア(AI、ビッグデータなど、自ら実用的専門知識を生み出すことのできる機械を開発)

    <第7章 専門家の後にくるもの>
    p.408 専門知識の「解放」。一部の実用的専門知識をコモンズを基盤として利用できるようにする。知識の提供者に対して広範な排他性を認める必要はない。

    <結論 私たちはどのような未来を望むべきか>
    p.409
    本書の中心的な主張=長期的に見た場合、次第に性能が進化する機械が専門家の仕事を変え、社会において実用的専門知識を共有する新しい方法を生み出す。
    ポスト専門家社会では実用的専門知識がオンラインで利用可能になる。実用的専門知識の解放。

  • 専門家のその価値の源泉である専門知識が無形のものなので、そのタスクは将来テクノロジーによって代替され、残るのは深刻な倫理的判断で責任を人間が負うべきとされるものだけだろうというのが主な主張。これは未来予測というよりも、規制緩和などの政策的手段で積極的に実現すべき望ましい姿であると筆者らは考えている。理由として、現在では高度な専門家(医者、弁護士など)にアクセスするのはきわめて高価になってしまっていることをあげている。英米ほどの状況でもない日本などではどうだろうか。専門知識を開放させる社会的要請は弱いだろうか?
    本書は研究書的色彩がつよく、抽象的な議論が多いので、具体的な処方箋を期待させる邦題は不適切か。
    個人的に印象の強い点:
    ・筆者はもともと法律分野のエキスパートシステムを作っていたのでそちらの分野の記述は詳しい
    ・規則と知識の違い
    ・知識はシステムの振る舞いの中に埋め込まれる場合がある(カードゲームの例)
    ・技術が進んで機械に仕事が代替されたとしても、価格低下により需要が増えるので新たな仕事(当面のものかもしれないが)が出てくる(ホットドック職人の例)
    ・実用的専門知識がコモンズの形で共有されるには初期コストと知識の更新コストが必要。

  • 専門家は印刷を基盤とした産業社会における特定のニーズを解決するために、人工的に編み出された仕組みなのだ。

    専門家には2つの未来が用意されている。したがってつまり従来のやり方を、次に行うようになると19世紀半ばから、今後継続する道

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