寿町のひとびと

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 98
感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023319134

作品紹介・あらすじ

日本の3大ドヤ、寿町の全貌を明かす「読む立体地図」。わずか200m×300mほどの町の中に120軒ものドヤがひしめく。染みつき、絡み合い、裸のまま、心の底からぶつかり、交わり、生きるひとびと。そして、あなたは町の中に入っていく……。

感想・レビュー・書評

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  • つい最近、友達が教えてくれた話。
    AIを組み込んだ、赤ん坊の泣き声の分析器というものが
    開発されて、そのAI機器を使えば、赤ん坊がどんな状態であるかがたちどころに分かる、というようなものらしい。
    でも、これもの凄く変ですよね。
    というお話だった。

    さて、本書
    生身のノンフィクション・ライターの山田さんが
    寿町に暮らす生身の凄い人たちに
    聞き取りを重ねて、成り立っている一冊。

    生身の人間だからこそ
    ぶち当たった壮絶な体験、
    それを乗り越えてきたしたたかさ、
    根底に横たわっている他者への愛情、
    まぁ 生々しい実態と
    想像を絶するような克服の史実が
    丁寧な取材と聞き取りに
    現れてくる。

    読みながら
    宮本常一さんの
    「忘れられた日本人」が
    何度も思い出されていました。

    生身の人と生身の人が
    出遭うからこそ
    生まれてくる「暮らし」が
    ここにある。

    冒頭のAI分析器、
    やっぱり おかしいと 思う。

  • 社会的な評価等とはまったく無縁だが、固有の濃厚な生き方が存在することを教えられた。

  • 横浜の寿町、日本の三大ドヤ街の一つ。車でその周辺部はしばしば通るが、中に入ったことは一度もない。
    もっとも最近はかつての賑わい?は薄れた。本来の日雇い労働者供給場所としての活躍は、20年前位から急速に衰えていると思う。今寿町に住んでいる人達はほぼ老人で、若い人の多くは精神の人だという。
    それでも昔は街の中に学童もあった。その学童の責任者が紹介されている。見た目はまんまドヤ街のおじさんだが、出身校は栄光から横国。そして鶴見の小学校教師時代は担任のクラスで色々ユニークな教育も行い、評判もよかった。しかしある年、6年の受け持ちクラスが荒れ(当時の鶴見では珍しくもないのだが)、家出女子も現れてその対応に苦慮。挫折を知らない彼は、学年途中で教師をやめてしまう。その後そのクラスは崩壊した。こんな経験を経て復活し、見初められて寿町に新たに作られた学童の責任者となる。そして、寿の子供達の熱量に魅せられてしまう。
    そこの子供達は学校でも差別されるので結束力が強い。そして親をはじめ大人を信用しない。仲間内でしか通じない言葉を操り、ボランティアでやって来るフェリス女学院の生徒の鞄をパクったりする。でも彼はそんな子供達の中から高校進学を希望するものに対し、学童が終わってから毎晩無償で勉強を教え、毎年2~5人の生徒を高校に合格させてきた。
    また、親が国大の教授で自分は通産省のエリート技官であった女性が、左翼の活動家と同棲し子供を授かり、寿で旦那は印刷工、彼女は自信で望んで日雇い労働者となり、子供を寿共同保育で育てた。
    今は寿町周辺にも普通のマンションが建つようになり、ドヤもシェアハウスとかになり、そのうち本来の寿町はなくなってしまうと思うが、横浜駅周辺からみなとみらい地区に至るまでの膨大なインフラ整備用の労働力を何十年も供給してきたことは覚えておきたい。
    それにしても上で紹介したような人達は、自分達で望んでやってきたし、これからも同様の人は出てくるだろう。このような街が無くなってしまったら、どこで暮らせばよいのだろうか。
    あと、れいわ新撰組の山本代表についても触れておきたい。寿町の大イベント越冬闘争(いわゆる年越しイベント)に山本代表が来ていた。著者は彼についてエキセントリックな政治家としか見ていなかったが、彼が配膳の手伝い(選挙活動なら圧倒的にこちらが良いだろう)だけでなく、参加者が食べ終わった食器を洗っていたことに感心したという。まぁ偽善的と見る人もいるかもしれないが、自民党議員はもちろん、東大出みたいな共産党議員だって、絶対に寿町住人の食器など洗うことはないだろう。

  • 題名に「ひとびと」と銘打っている割には最終的に寿町の概要と歴史になってしまったのはつまらなく感じた。個人情報の問題もあるんだろうけれど、正に今、そこにいる「寿町のひとびと」を描いて欲しかった。

  • 横浜にある寿町。
    そこに暮らす人々を、ホームレスとかヘルパーさんとか、帳場さんといったステレオタイプな括りで書くのではなく、佐藤さん 鈴木さんといったように個別にひとりひとりに取材して書かれたドキュメント。
    そこには当然ステレオタイプではなく、さまざまな人生が描かれる。
    個人的に知っている土地でもあり、感慨深いものがあった。

  • 一言で言うと面白かったです。かなり踏み込んだ取材をしていて、ウラ話のような話も多くて、支援する側される側の垣根を越えて人と人とがぶつかり合っていました。交番勤務の時に1人で暴動に立ち向かい、ヤクザに助けられた話は、今の世の中では考えられない状況でした。私も何かやりたい、と、思わせる内容でした。

  • ノンフィクションはやはり面白い。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家

「2019年 『パラアスリート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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