たまたまザイール、またコンゴ

著者 :
  • 偕成社
4.00
  • (6)
  • (9)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 71
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784030034204

作品紹介・あらすじ

アフリカ最奥部の大河コンゴ河を手漕ぎ舟や輸送船で下る旅。それは物の見方を根底から覆す強烈な経験だった。笑いと涙の旅行記。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 1991年と2012年の二回にわたるコンゴ民主共和国(ザイール)の旅行記。一回目は妻と、二回目は首都のキンシャサ在住の若手日本人研究者と。貨客船を中心に数珠つなぎになった船団に乗ったり、スピードボートに乗ったり、丸木舟に乗ったり。同じ行程の旅をのなか悟空さんの旅行記で読んだことがあるが、人によって感じ方がまったく違う。真知さんはこの国を穏やかな眼差しで見つめていく。そうやって見たり聞いたりしたことを柔らかでわかりやすい文体でかみ砕いて書いていく。

    「世界は偶然と突然でできている」という言葉が見出しに記された281~283ページの節が素晴らしい。不安定な社会に住む現地の人たちが生きていくため、自然と身につけた偶然や突然な出来事に「折り合いをつけ、わたりあい、楽しんでしまう力こそがここで生きるうえでは不可欠」と結論づけているのだ。

    真知さんの本を読むと、こうした心の奥深くに染み渡る静かな言葉がちりばめられているのだけど、やはり今回も期待を裏切らなかった。

  • 作家、翻訳家の著者が、30代の頃(1991年)にザイール(今のコンゴ民主共和国)の大河を巨大な輸送船+手漕ぎ丸木舟を使って旅して、その20年後(2012年)に再び同じコンゴ川を同じように下るという旅の記録。
    コンゴ民主共和国(DRC)と言うと、個人的にちょっと前の仕事で「紛争鉱物」という凄い響きの案件(本文中にも解説されてました)に関わったことがあり、武装勢力が跋扈している印象を受けていたのですが、2012年の旅の記録を読んでみても、紛争鉱物が影を落としていると感じました。

    遥か離れたアフリカの旅ということで、なかなか衝撃的なシーンが頻出します。のっけから全長200mの巨大船オナトラとその内部(まさに「浮かぶ村」)に翻弄され、降りたらマラリアを発症し、手漕ぎの丸木舟を調達して大河に漕ぎ出したけど、漕ぎ方がわからず現地の人に笑われる…等々。
    読みやすいタッチもあって、割と一瞬で読了してしまいました。冒頭に地図があり、写真も超豊富なので文句なしの親切さでした。

    興味深かったのは、著者の旅の道連れ。1991年の最初の旅では奥様と夫婦で旅をされ、2012年は現地に住んでいる年下の日本人「シンゴ君」との二人旅。かつ30代だった著者は50代に。こうなると、当然現地の人たちとの関わり方も変わってくる訳で。
    シンゴ君の名称が、そのまま書かれることもあれば、「彼」になったり「若者」になったりと変化するのは、その時々の著者の心情の反映でしょうか。
    旅って、どこへ行くかだけじゃなくて、誰と行くかも大事だなぁと改めて感じました。

    しかし、個人的にはまだアフリカ大陸に足を踏み入れる勇気はないです。。

  • 「ゆるす、ゆるすのだ。
    おまえなんか、ゆるしてやる。」

  • 大変な目に遭いながらも,再びザイール,コンゴへ向かう筆者。その心情がわからないようなわかるような。
    アフリカの毒,というものでしょうか。

  • ある偶然が重なり、コンゴを二度に渡り旅することになった著者。一度目と全く同じルートを辿ることになった旅ですが、二度目に訪れた彼の地は政権が変わり、紛争によって治安が悪化していました。そこで著者は紛争がもたらした過酷なコンゴの現状を体感していきます。貧困問題に直面しながらも、明るく、たくましい現地の人々と贈る、笑いあり、涙ありの旅行記です。

  • オナトラに乗って丸木舟でザイール河下りを敢行した真知さんは、当時のアフリカ旅行者の憧れの的でした。

    モブツ政権の終わり 6年にもわたる民族紛争
    武器流出による危険地帯の拡大
    厳しいセキュリティチェックと賄賂の温床 
    20年前と今とで 変わったものと変わらないもの

    過去の旅をなぞるように物語は進んでいくので
    かなり「読ませる」感じ。

    旅の助っ人オギーやたくましい青年シンゴ君
    それと著者の田中真知さんの人柄が伝わってくる。

    「終わりに」を読み終えた時とても優しい気持ちになり ニッコリしていた自分がいました。

    「アフリカの水を飲んだ者はアフリカに還る」の言葉どおり
    私ももう一度 自分をなぞる旅ができるかな。
    …いろんな思いをこめてブログに感想書きました。

    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-1316.html

  • アフリカは遠い、遠い大陸だ。

    恥ずかしながら、この本を読むまで「ザイール」が「コンゴ」になった経緯どころか、死者540万人以上の世界最悪と言われるコンゴの紛争について知らなかった。

    現地の人々がどんな暮らしをしているのか、著者の1991年ザイール河下り、2012年のコンゴ河下りのレポによって語られる。河下りそのものがチャレンジャーすぎて、想像を超える驚きの連続で最後まで飽きずに読み進められる。

    貧困や争いといった重い話が苦手な人もこの本ならオススメできる。遠いアフリカを身近に感じられるはず。

  • かつてはザイールと呼ばれ、今はコンゴという名のアフリカの国を流れるコンゴ川を丸太舟で下る、という旅を21年間というスパンをあけて、2度も体験した著者の旅行記だ。
    前半は、1990年代、奥さんと一緒に下る。
    これがもう、読んでいるだけで大変そうで(マラリアとか猿の燻製とか悪臭とか)、付き合わされる奥さんたまったもんじゃないよなぁとしみじみ呆れた。
    (作中でも後年バカな旅だと言われる)

    そして懲りずに、再び川を下る著者・・・。

    21年間の間に独裁者モブツの政権が倒れ、資源を巡った大きな諍いにより多くの人が亡くなり、中国資本が流入してくるが国民は貧しいままという大きな時代の変化があり、その変化と変わらない部分が二つの旅行記を読み比べているとなんとなく伝わってくる。

    「金くれ」「何かくれ」とすぐにものをせびる人たち、何もかもが予定通りに進まない旅、不衛生な環境、読んでいるだけでうんざりしそうだけれど、コンゴ川に沈む夕日を見てみたいような、不思議な気持ちになる。

    世界の多様性、メンタリティの違いを強く感じた。

  •  すごい旅。中央アフリカの旅は、思うようにいかない。でも、旅って思うようにいかないからこそ面白い。絶対に真似はできないけど。
     1991年と2012年の2度、中央アフリカのコンゴ河を下る旅。1991年と2012年の間にはアフリカ世界大戦と言われるほどの激しい内戦、戦争があり国名も河の名前も変わってしまった。
     日本に住んでいると、そのスケールが想像できない。広いところで河幅が10Kmあるという。1回目の船旅は、丸木舟の約600Kmを含めて約1000Km。2回目は丸木舟の約400Kmを含めて約1700Kmの船旅。これでも、コンゴ河の一部でしかない。1700Kmって、東京から沖ノ鳥島での距離と同じくらいらしい。流域面積は日本の面積の10倍あるらしい。全然わからない。
     オナトラと呼ばれる船が1990年代にはこの大河を行き交っていた。まるで町ごと移動しているような・・・そんな船に乗り込む。交易の品、キャッサバや魚の燻製、そして猿の燻製。それらが甲板に所狭しと置かれそして炊事、洗濯。そこは生活の場。そして、丸木舟の旅。
     20年後、コンゴ河の風景は少し変わっていた。流域の人々は携帯電話を持ち、内戦で拡散した武器を持った。でも、オナトラはなくなったけど、相変わらず大河には船上で生活する人々が行き交い、そしてやっぱり旅は思うようには進まないのである。

  • 夏休みに旅情掻き立てられるすんごい本を読んでしまった。。。

全11件中 1 - 10件を表示

田中真知の作品

ツイートする