おじいちゃんは水のにおいがした

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 52
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (60ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784030164000

感想・レビュー・書評

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  • 大分県、滋賀県、富山県。現在魅力を感じる県のベスト3だ。
    これは、その滋賀県の琵琶湖畔にアトリエを構えて活動している写真家・今森光彦さんの写真絵本。今森さんというと『里山』と言う言葉の立役者のような存在で、虫の写真なら見たという人も多そうだ。

    ある時『琵琶湖の写真は撮らないのですか?』と尋ねられて驚いたという今森さん。
    ファインダーをのぞいてカエルや虫を撮っていても、間接的にはいつも琵琶湖を撮っているつもりだったそうだ。
    小さい頃から毎日見ていたら、わざわざ撮るものでもないと思うのかもしれない。
    しかし、この本に登場する田中山五郎さんという漁師さんに出会って、今森さんはチャンス到来と思ったという。
    この田中さんというおじいちゃんの中に、今森さんが抱いている琵琶湖のすべてがあったというのだ。
    そうして、この美しい、美しい一冊がある。

    自給自足の生活と、暮らしの知恵が紹介され、それこそこちらまで「水のにおい」が漂ってきそうな写真を見ていると、
    時間の流れが全く違う場所が、この日本にもあるのだとしみじみ思う。
    現実には、このような昔ながらの暮らしをしている方は数えるほどしか存在しないのかもしれない。
    『里山』も『かばた』も、それを町おこしにしようなどと考えたとたんに、たちまち荒れてしまうことだろう。
    もんどり(魚を獲るための道具)、柿渋、田舟、銀色に輝く秋のヨシの原、たなかみさま、一面のノウルシの花。
    そして『かばた』。
    どの一枚からも、様々な命を育む生きた水のにおいがする。
    【人間が飲む水である前に、すべての生き物たちの水である】という田中さんの言葉は、【きれいな水】の本来の意味を諭されてはっとする。

    高学年向けの読み聞かせにも良いし、ブックトークにも使えそう。
    素晴らしく美しい本で、読み終えたあと静かに祈りたくなってくる。

    • nejidonさん
      円軌道の外さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!
      こんなささやかな本棚に、訪問してくださるだけでも感謝です。
      その上たくさ...
      円軌道の外さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!
      こんなささやかな本棚に、訪問してくださるだけでも感謝です。
      その上たくさんのお気に入りを付けてくださって、本当に嬉しいです。

      さっそく【針が飛ぶ】のお返事を見てまいりましたが「ベース」でしたか。
      (ベースと聞くとマーカス・ミラーを真っ先に思い浮かべるワタクシです)
      文章の歯切れが良くてリズム感もあるので、勝手にドラムと思い込みました。
      なんて、あまり根拠がありませんねぇ(笑)。
      でもハズれても嬉しいです。お返事をいただくことが出来ましたから。

      故郷の川で遊んだ記憶、素敵ですね。
      心の中の原風景でしょうか。
      誰の中にもあるかと思いますが、豊かな自然とともにある記憶というのが
      とてもいいなぁと思います。
      当たり前のように川の中でスイスイ群れていたメダカが、今は庭で飼う
      時代ですものね。
      時は流れました。

      猫は、はい、たくさんおります。
      どの子も野良ちゃんだったのですが、捕獲して不妊・去勢手術して、
      今は毎日我がまま放題させておりまして(笑)
      それを知ってか、我が家の前でこっそり猫を捨てるひとがあとを絶ちません。
      そんなわけで、現在25匹となりました。

      バツマルちゃん(名前が面白い!)と仲良くなれたら良いですね!
      亡くなった子はきっと、円軌道の外さんの傍にいて、見守ってくれてますよ。

      【それと自分も引きこもりになった子供たちにボクシングを教えたり、
       絵本の読み聞かせをする活動をしていました】
      うわぁ、そうだったんですか!
      子どもたち、喜んだでしょうね。
      今はもうその活動はされないのですか?

      「ブックトーク」ですが、テーマに沿って数冊のお薦めの本を紹介する作業です。
      テーマはこちらで決めて、本は大体6冊から8冊。
      絵本からノンフィクション、小説、写真集などと、出来るだけ幅広いジャンルから選びます。
      子どもたちに「読みたい!」と思ってもらうことが目的なので、本の内容を全部伝える
      ことはしません。
      「どうなるのかな~?」と期待させるところで終わり、次の本に行きます。
      この時の本と本との「繋ぎの言葉」が案外難しくて、シナリオを書いて練習したりします。
      あと、必ず絵本の読み聞かせも入れます。
      子どもたちの顔がよく見えるので、どの本の時反応が良かったか、こちらにも
      伝わってくるのでやりがいがありますよ。

      ああ~、長いお返事になってしまってすみません。
      また円軌道の外さんのレビューを楽しみにしています。
      面白い作品に出会ったら、教えてくださいませ~♪
      2014/10/02
    • 淳水堂さん
      nejidonさん こんにちは。
      図書館で借りて読みました。
      これは、確かに凄い本ですね。
      自然を大切にと書く場合、人間が自然の邪魔に...
      nejidonさん こんにちは。
      図書館で借りて読みました。
      これは、確かに凄い本ですね。
      自然を大切にと書く場合、人間が自然の邪魔になっているような風潮がどうしても出てしまい、分かってるけどどうしようもないんだもん(´・_・`)という気分になったりするのですが、
      ここで書かれているのはまさしく人間も自然の輪っかの中で役割を担っている情景。

      読み聞かせ使いたいけど分かってもらえるかなあ。

      良い本を教えてくださってありがとうございます!
      2014/10/10
    • nejidonさん
      淳水堂さん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      この本、お読みいただいたのですね!それは嬉しいです。
      全ページ、とても美しい...
      淳水堂さん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      この本、お読みいただいたのですね!それは嬉しいです。
      全ページ、とても美しいでしょう?
      確かに、自然を大切に、という言葉に欺瞞を感じてしまうような一冊です(笑)
      田中さんという方には、自然の中から自分たちに必要な分を
      分けていただいているような、謙虚なものがありますものね。

      先月は【敬老の日】にちなんで【ぬくもりの中で】というテーマを掲げたブックトークでした。
      おじいちゃん・おばあちゃんの登場する本を紹介したのですが、この本は考慮の末入れませんでした。
      他のテーマでも良いように思えたのです。
      もし淳水堂さんが読み聞かせをされましたら、教えてくださいね!
      2014/10/11
  • 自然と生きる漁師の知恵と工夫と謙虚な生き方 。
    彼らの生活には自然を生かすための理由がある。
    かばた とは、なんて豊かな建物なのだろう。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「世界・社会」で紹介された本。

  • 水とともにいきるおじいちゃんの生活はなんてすばらしいんだろうって思いました。

  • 娘の教科書に載っていたのと同じ著者であることから手に取った。
    水と共生する豊かな郷土の暮らしが写真から伝わってくる。
    琵琶湖は汚れているイメージがあったのだけど。

  • はじめは気乗り薄な感じでパラパラっと見てたんだけど、写真もそこに写っている生活ぶりも本当に素敵で、とちゅうから引き込まれた。

  • 資料番号:020163689
    請求記号:664イ

  • お見舞いに頂きました。
    とてもあったかい思いが蘇る本です。

  • 滋賀県 新旭町。漁師の田中三五郎さん。漁師と言っても、自分たちが食べるぶんだけ魚を捕る「おかずとり」の漁師だ。三五郎さんは琵琶湖の藻を掃除する。すると、水の循環もよくなり、魚も行き来し、水鳥も喜ぶ。
    昔ながらの家では、川に「かばた」を作り、そこで野菜を洗い、食器なども洗う。綺麗な水と密着した生活。
    ヨシが色づいてきて、冬になる。早春には、刈って干していたヨシを焼き、そのあと、新しい芽が顔をだす。


    自然とともに、自然に感謝して生きる。
    そこに余分なものは何もない。
    こんな余生がおくれるといい。

  •  琵琶湖にそそぎこむ川のほとりで60年以上も漁をしてきた漁師の三五郎さんの暮らしを撮った写真絵本。水と人とのつながり。

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著者プロフィール

1954年滋賀県生まれ。写真家。大学卒業後、独学で写真技術を学び1980年よりフリーランスとなる。故郷の琵琶湖周辺の里山を舞台に、30年にわたり自然や人の暮らしを撮り続けている。1992年に発表した写真集『里山物語』は、里山が世の注目を集めるきっかけとなった。全国の里山の撮影に取り組む傍ら、自身の所有する雑木林を「萌木の国」と名付け、子どもたちに向けた昆虫教室や植林活動にも取り組んでいる。一方、熱帯雨林から砂漠まで、広く世界の辺境地の取材を重ねている。主な受賞歴に、第48回毎日出版文化賞、第20回木村伊兵衛写真賞、2005年日本写真協会年度賞、第28回土門拳賞などがある。

「2015年 『森と海 すぐそこの小宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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