あさになったのでまどをあけますよ

著者 :
制作 : 荒井 良二 
  • 偕成社
4.31
  • (183)
  • (94)
  • (44)
  • (6)
  • (8)
本棚登録 : 1044
レビュー : 164
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784032323801

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 私も、朝は起きるといちばんに窓を開けます。
    毎日同じ場所で。雨の日も晴れの日も。
    お天気や気分で少しずつ景色は違うけれど、
    ここが見慣れたいつもの場所であることに安心もして。
    でもそんなふうに思えるようになったのは、
    いつからだったろう…。
    だいぶ大人になってからのような気がします。
    だって夢中で走っていると、
    立ち止まって景色を眺めることもできないですからね。

    これは、そんな何気ない日常のなかにある
    しあわせを再確認させてくれる素敵な絵本です。
    朝、窓を開ける時にちょっとだけ立ち止まってみて、と。

    荒井さんの絵は、色がぱきっとしてじつに鮮やかで
    世界ってこんなに綺麗なんだよ、と言っているみたいです。

    子どもと読んでもいいけれど、
    しばらくは大人のたのしみにそっとひとりで開きたいなぁ。

  • 無駄な言葉はなにもなく、ただただ美しい。こんなに綺麗な絵を久しぶりに見た。ゆさゆさと揺さぶられ、じわりと染みる。綺麗なのになぜか切なく、うまく言葉にあらわせないけれど、それがきっとこの絵本に秘められた何かだと思う。

  • すばらしい。

  • 「あさになったので まどをあけますよ」という言葉から始まるこ
    の絵本。窓をあけた時に見えるもの、感じるものが、力強くも繊細
    な筆致の絵と言葉で綴られていきます。

    とても静かで平和で大らかで淡々としていて。

    さらっと読んでしまえば、「ああ綺麗だね」で終ってしまいそうな、
    本当に何でもない毎日を描いた絵本に思えますが、繰り返し読んで
    いると見過ごしていたものの凄さに気付き、胸を衝かれます。

    作者の荒井良二さんは、震災後の東北に何度も何度も通う中で、こ
    の絵本を描いたそうです。

    でも、震災後の東北を連想させるものは、最後のほうの「うみは 
    やっぱりそこにいて そらはやっぱり そこにある だから ぼく
    は ここがすき」という場面くらいです。むしろ最初に読んだ時は
    「きみの まちははれてるかな?」や「あさになったので まどを
    あけますよ」という言葉が、今までと全く違う暮しを強いられてい
    る方々にどんな気持ちを抱かせるのだろうと思うと、胸が痛くなり
    ました。

    でも違うんです。色々な場所の風景を描いているように見えながら、
    これはやっぱりまぎれもなく東北の人々に向けて描かれたものなの
    です。一見、そうは思わせないところに、作者の何重にも折り重ね
    られた心配りがあるのでしょう。

    震災から一年目の昨日は、娘と二人、いつもと変らぬ淡々とした時
    間を過ごしながら、この絵本を何度も読み返していました。何もか
    もが変わってしまったとしても、朝は必ずやってきます。窓をあけ
    れば、大地や海がそこにあり、朝の大気と光に包まれ、人の気配や
    風の流れを感じることができます。晴れているだけで希望や喜びを
    抱かせる、そんな力が朝にはあります。

    だからやっぱりどんな時でも窓をあけて朝を感じてみませんか?そ
    う作者は呼びかけているのでしょう。いや、「あけますよ」ですか
    ら、呼びかけというよりも、「どんな時だって、朝が来たら窓をあ
    けるんだ」という作者自身の決意の表明なのかもしれません。

    毎日の大切さと新しさ、生きる喜びに気づかせてくれる一冊です。
    絵本の凄さを教えられる一冊でもあります。
    是非、読んでみて下さい。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

    =====================================================

    あさになったので まどをあけますよ

    やまは やっぱり そこにいて
    きは やっぱり ここにいる
    だから ぼくは ここがすき

    あさになったので まどをあけますよ

    まちは やっぱり にぎやかで
    みんな やっぱり いそいでる
    だから わたしは ここがすき

    あさになったので まどをあけますよ

    かわは やっぱり ながれていて
    さかなは きっと はねていて
    だから ぼくらは ここがすき

    きみの まちは はれてるかな?

    (つづく)


    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ●[2]編集後

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    先週、幼稚園のお誕生日会で、縄跳びを皆の前で披露しようとして
    尻餅をついてしまい、皆に笑われてしまった娘。その日の夜は、ご
    飯も食べられないほど凹んでいるので何があったのかと尋ねてみた
    ら、「縄跳び転んで笑われて恥ずかしかった」と教えてくれました。

    5歳の子でも、失敗して笑われることでこんなに傷つくんだなとい
    じらしく思いながら、「みんなを笑わせることができたんだから良
    かったじゃない」とか、「笑うより笑われるほうがずっと素敵なこ
    とだよ」と言って慰めつつ、「こんなことでくじけないで欲しい」
    「失敗を恐れずに挑戦する勇気を持ち続けて欲しい」ということを
    何とかして伝えようと必死でした。

    それが火曜日のこと。

    すると木曜日、翌日に予定されていたお別れ会でリベンジすると言
    い出し、急に縄跳びの練習を始めました。夜、寝る前には、「なわ
    とび11かい がんばって できる できる できる」と願掛けの紙
    を書いて、枕の下に忍ばせるほどの念の入りよう。

    そして翌金曜日。見事、皆の前で縄跳びに成功。宣言通り11回跳べ
    たのだそうです。

    失敗を恐れずに再び挑戦しようと一歩を踏み出した勇気。今度は失
    敗しないようにと何度も練習した努力と頑張り。そして願掛けまで
    する一途さと健気さ。人生を始めたばかりでも、ここまでできるの
    ですね。我が娘ながら凄いなあと感心しました。紙に書かれた「で
    きる できる できる」を見て、負けてられないなと思いました。

  • とにかく優しくて暖かい絵本です。
    荒井さんの優しさがたっぷりつまっています。

    いろんなことが起きる日常…。
    それでもちゃんと朝がくる。
    その朝の光が絵本に溢れていてとっても素敵です。

    今年起こった、大震災や大型台風…。
    それでも、ちゃんと朝日が降り注ぎます。
    そっと力をもらえる絵本でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そっと力をもらえる絵本でした。」
      とってもカラフルで、楽しくなってしまいます。暗く沈んでしまいそうになるコトもあるけど、頑張らなきゃって思...
      「そっと力をもらえる絵本でした。」
      とってもカラフルで、楽しくなってしまいます。暗く沈んでしまいそうになるコトもあるけど、頑張らなきゃって思わして呉れる一冊です。。。
      2012/11/26
    • シェラさん
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます。

      素敵な絵ですよね。朝、窓を開けて新しい一日を迎える元気をもらえます。
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます。

      素敵な絵ですよね。朝、窓を開けて新しい一日を迎える元気をもらえます。
      2012/12/05
  • とってもよかったです。町や森や海の絵がとてもきれいで、まるでその景色のなかに旅行したかのような楽しみのある絵本。

    文字の字体も版画風で可愛く、特徴のあるのもいい。

    窓を開ける、ページをめくる、世界をのぞくのが楽しみになる本。

  • 全ての朝が素晴らしい...そんな風に思えたあの頃は遥か遠く。今日もそれでも朝は来た。
    今日のわたしが、世界を好きだと言えるように過ごしたい

  • シャキッと爽やかな気分になれる絵本

  • 読み聞かせ シンプルな当たり前なことができることに気付かされる

  • ・いろんな場所で「窓を開けますよ」と言って、私も「窓を開けよう」と思ったし、絵を見ていると自然で、もっと窓を開けようとなったから。

全164件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

荒井良二(あらい・りょうじ)
1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞。2005年には日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ている

「2019年 『あの日からの或る日の絵とことば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

荒井良二の作品

ツイートする