あさになったのでまどをあけますよ

著者 :
  • 偕成社
4.24
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本棚登録 : 2179
感想 : 228
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784032323801

作品紹介・あらすじ

朝、めざめて窓をあける、という何気ない日常と、窓の外に広がるあたりまえの風景。けれども、その日常のくりかえしの中にこそ、生きるよろこび、そしてたしかな希望があることを、そっと気づかせてくれる一冊です。

「この絵本が好き! 2012年版」(平凡社刊) 国内絵本1位
「第59回産経児童出版文化賞」 大賞

感想・レビュー・書評

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  • 荒井良二さんの絵は、たくさんの色を使って、ベタッとラフに描いている印象を受けるが、そこから不思議と、現実味を帯びた温かみと懐かしさを感じさせられて、私の心の中の思い出の映像を覗いたら、きっとこんな感じなんだろうなと思う中で、空や海などのシンプルなものについては、細かいグラデーションや光の表現が繊細に描かれた上に、その場所の温度や湿度といった肌で感じられるものも漂わせている、写実的な美しさがとても印象的です。


    『あさになったので まどをあけますよ』

    扉絵のカーテンから始まる、この絵本は、たとえ昨日何があろうとも朝は必ずやって来て、新たな一日が始まる中で実感させられるのは、変わらないものがあるということであり、それはまるで、常に流動的な現代社会に於いて、とても心強く安心感を得られるようでもあり、平和の象徴にも感じられます。

    そして、それを実感するには、カーテンを開けるだけではなく、あくまでも『まどをあける』のであり、そこにはきっと、お互いに境界線のなくなったもの同士が共有しあえる、風が届けてくれる空気感であったり、匂いであったり、ガラス越しでない剥き出しの景色や音であったりと、人間の五感で感じることによって、改めて、私は生きていることを実感させてくれる、大切な瞬間なんだと思います。

    また、今いる部屋の窓を開けても、何も感じないんだよという人でも、そこは視点を変えてみて、それならば、自分の好きな場所を部屋にしてしまえばいいといった、そんな開放感に満ちた発想の転換も、素敵な絵で教えてくれる、これまで読んだ荒井さんのメルヘンチックな印象とはまた違った、リアリスティックな描写には、本書のメッセージも重なって、より胸を打たれるものがありました。

    • たださん
      5552さん、こんにちは。

      『窓の中から』聴きました。
      最初、フェスらしい大作だと感じましたが、朝に聴くと思いの外、しっくりくるものがあっ...
      5552さん、こんにちは。

      『窓の中から』聴きました。
      最初、フェスらしい大作だと感じましたが、朝に聴くと思いの外、しっくりくるものがあって、今日も生きてやろうと気にさせられる、いい曲だと思いました。ありがとうございます(^^)
      2023/05/23
    • 5552さん
      たださん、こんばんは。

      聴いてくださったんですね。
      ありがとうございます!
      「今日も生きてやろうという気にさせられる」
      ですよね...
      たださん、こんばんは。

      聴いてくださったんですね。
      ありがとうございます!
      「今日も生きてやろうという気にさせられる」
      ですよね!
      その言葉、藤くんに聞かせてあげたいです。(←何者)
      冒頭の語りかけるような歌い方からクライマックスの拳を突き上げたくなるような盛り上がりまで、ドラマチックな歌だな、と、思ってます。
      歌詞も沁みます。



      2023/05/23
    • たださん
      5552さん、お返事ありがとうございます♪

      藤くんなんですね。その響きに和みます。
      ドラマチックな歌、まさにそう思いまして、6分強の時間の...
      5552さん、お返事ありがとうございます♪

      藤くんなんですね。その響きに和みます。
      ドラマチックな歌、まさにそう思いまして、6分強の時間の長さも全く気になりませんよね。
      良かったら、感想も書きましたので、またお時間あるときに覗いてみて下さい(なんだか強制しているみたいで、すみません^^;)。
      2023/05/23
  • 何気ない日常、風景なのに特別なものに感じる。
    あたりまえにある日常の素晴らしさが尊いものであるときづかされる。
    色彩豊かで元気をもらえる絵。

    やっぱり わたしは ここがすき

    だから ぼくは ここがすき

    最後にあるこのことばが印象的。

    自分のすきを見つけようと思う。

  • ブクログのレビューで知りました。
    荒井良二さんは山崎ナオコーラさんの『モサ』の挿し絵を書いてらして、ずっと気になっていましたが初読みです。

    繰り返しの言葉とリズム。
    似ているようで全然違う、でもやっぱり似ている、あの子とその子の朝。
    お日様がさしたり雲に隠れて見えなかったり。
    雨が降ったり降らなかったり。
    それでも朝は窓を開けて新しい空気を取り込む。

    窓から見えるいつもの景色。
    それはかけがえのないもの。
    「だから ぼくは ここがすき」

    好きだってことを心から肯定できる時って、どうしてこんなに満ち足りた晴れ晴れした気分になるのだろう、と思った。

    • たださん
      5552さん

      五年前とは驚きました。
      こんなにも愛される絵本は、荒井さんにとっても、絵本自体にとっても、この上ない幸せだなと思い、ジーンと...
      5552さん

      五年前とは驚きました。
      こんなにも愛される絵本は、荒井さんにとっても、絵本自体にとっても、この上ない幸せだなと思い、ジーンとくるものがありました。

      山崎ナオコーラさんの『モサ』、ネットで見てみたら、荒井さんの絵って、すぐ分かりますね。あらすじを見て、物語にも興味が湧き、読みたくなりました(^^)
      2023/05/14
    • 5552さん
      たださん、おはようございます!

      今日の朝は雨上がりの5月の中頃にしては少し肌寒い朝で、空気が水を多分に含んでいるように思え、みずみずし...
      たださん、おはようございます!

      今日の朝は雨上がりの5月の中頃にしては少し肌寒い朝で、空気が水を多分に含んでいるように思え、みずみずしく爽やかな気分です。

      5年前に読んだんですね、私。
      細かいところは忘れてしまったけれど、印象は鮮烈で、タイムラインにこの本が上がってくると、嬉しい気持ちになります。

      荒井さんの絵は、子供が思うまま描いたような自由さがありつつも、大人でしか描けない優しさがあるような気がします。
      ナオコーラさんの『モサ』は、ダヴィンチで連載されてたのをチラッと読んだだけですが、それでも印象に残っていたんです。
      本当、すぐ、荒井さんの絵だって分かりますよね。
      私が絵描きだったら、そんな絵を描いてみたいものです。
      2023/05/15
    • たださん
      5552さん、こんばんは!
      お返事ありがとうございます。

      荒井さんの絵について、まさに仰る通りだと思いました。
      大人でしか描けない優しさが...
      5552さん、こんばんは!
      お返事ありがとうございます。

      荒井さんの絵について、まさに仰る通りだと思いました。
      大人でしか描けない優しさが、大人は勿論、子どもは子どもなりに感じ取れるから、絵本という形にした意味があるのでしょうね。
      2023/05/15
  • 荒井良二さんの作品は、長田弘との「空の絵本」、「森の絵本」は読んでいましたが、この作品はまだでした。他のレビューのおすすめで読んでみました。

    「あさになったので窓をあけますよ」、単純な毎朝の動作なのですが、絵本いっぱいに広がる風景は、朝の柔らかな光に満ちて、色鮮やかです。山間の村も、都会の街並みも、海辺の町も、みな朝日の中に広がり輝いています。

    絵のタッチは素朴なのですが、すべての風景が鮮やかな色彩で描かれ、朝の気持ちの良い空気を呼吸してるみたい。清々しい空気を入れて、よい一日が始まる予感。

    遠景の視点の中に窓を開ける子供たち、次に子供の視点で見た風景?視点の動きも面白い。

  • 今日、実家に行って、探し出し、持ち帰った。8年ほど前、すごく気にいって、5冊ほど購入し、知人に贈った。久しぶりに読み返し、さわやかな、すがすがしい気持ちになった。荒井良二さんの絵、大好き。

  • プレゼントで頂いた絵本。
    荒井良二さんの絵本は何冊か目にしているけれど、生きることの素晴らしさみたいなものを感じさせてくれる作品が多い印象。
    けして泣かせるような内容じゃないのに、読んでいるうちにほろりと涙がこぼれるような。

    窓を開けて、朝日を浴びる。
    当たり前のことなのだけど、心や身体のために、とても大切なことだ。
    晴れていても降っていても、いつもそこに空はある。
    大切なあの人が住む町にも、自分の町とは違う空が存在する。

    元気な時もそうじゃない時でも、開くとほっと出来るような絵本。
    まっさらに晴れた日に思いっきりカーテンを引くような爽快感が、そこにはある。

  • 読み聞かせでよんでみました。みなさんが希望の朝、平和な朝が訪れますように。

  • 今日、Aqua Timezの決意の朝にを目覚ましにして
    この本を読む。窓を開ける。珈琲を飲む。
    よし、いくぞぅ!

  • ストーリーというよりは詩寄りの絵本です。
    「あさになったので まどをあけますよ」
    というフレーズと共に、山の子や、街の子や、川辺の村の子や、海辺の村の子が、窓を開け放ち、それぞれの住む土地の様子が描かれます。
    細密な絵ではなく、絵の具を塗りつけたようなボヤッとした輪郭の絵ですが、不思議とその土地の空気感が伝わってくるところが素敵です。
    山には山の、街には街の、川には川の、荒野には荒野の、海には海の空気があり、それぞれが素敵だなぁと感じるのです。
    私の住んでいる街は、最初のページのような山の中ですので、私はやっぱり、この山の村に親近感を感じてしまいます。

    光村の1年生の教科書に載っています。
    先日1年生の先生が、「子どもたちに換気を意識してもらいたいので…」とこの本を挙げられた時にはウケました。
    「違う、そうじゃない」という気持ちと、「確かに、それもアリか?」という気持ちが一瞬の間にせめぎ合いました。
    このご時世ですものね。
    今年は、換気の啓発に使えるようです。笑

  • この絵本が出された頃おそらくすごく流行って、でも当時の私は荒井良二さんの絵が少し苦手で、ただそれだけの理由で読んでこなかった一冊。

    大人になって、またこの本に出会って、なぜ人気だったのか、分かった。

    これからあたたかい季節になって行くけれど、朝、眠気まなこにカーテンを開け、窓を開けて、朝の新しい空気を吸いたい。
    少し寒いけど、優しい光の中で、その空気を吸いながらお昼寝したい。

    そんなことがなぜか、したくなるような、幸せな気持ちになる一冊。

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著者プロフィール

1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を、『こどもたちは まっている』で日本絵本賞を受賞するほか、2005年には日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得る。また、NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストを担当、2018年まで「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」芸術監督を務めるなど、その活動の幅を広げている。

「2023年 『みんなたいぽ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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