ちいさいねずみ (日本の絵本)

  • 偕成社
3.68
  • (4)
  • (10)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 100
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784033301105

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「お月さん、あんたは、チーズでしょ。」
    静かな秋の夜、街のねずみは輝く満月を見てそう言った。
    そして「ちょっぴりでいいから、かじらせて」と、お月さまを追いかけていく。。

    ああ、おバカさんね。それはチーズなんかじゃないの。
    くすくす笑いながら見ていたはずが、あまりにも純粋に追い続けるねずみに、いつの間にか感情移入してしまう。何日も何日も、雨の日だってずぶ濡れになって追い続け、決して諦めない。
    それどころか、空に向かって伸びあがるようにして生きていく。

    現実はいつも、夢とはかけ離れている。遠くから見れば甘い世界でも手に入れれば苦労の連続で、必ずと言っていいほど夢に裏切られる。
    ねずみの切ない願いは、いつどんな風にはじけ飛ぶのか。。
    でも、そうはならない。それがこのお話のとてつもなく幸せなところ。
    ある晩、どんどんどんどん走り続けてくたくたになったねずみは、山の木の根元に小さな穴を見つけてぐっすり眠ってしまう。そして・・
    「ちいさい ねずみが あなから でてみると 
     お月さんは まだ かえっていなかった。
     でも そのかわり、くりや くるみや どんぐりが
     たくさん おちていた。」

    最後の幸福そのものの見開きは、内緒。ここはじーんと来るところだから。
    夢を追いかけることには、ちゃんと意味がある。
    新しい運命に出会うことだってあるのだから。
    かつて望んだ未来ではなくとも、違う形の幸せがあるのだから。

    さとうわきこさんと言えば「ばばばあちゃん」シリーズのコミカルな絵が真っ先に頭に浮かぶ。
    でもこんな精密な絵も描いてらしたのね。
    色彩も淡く穏やかで落ち着いている。
    月の美しい夜に、大人がじっくり読む一冊。
    読み終えたらお月さまみたいに「ちんがりと」笑ってね。

  • 「町に住むお腹のすいたねずみが月をおいしいチーズと思いこみ、取ろうとしますがとれません。けれども、最後に山に行ってみると?」

  • 最初は物悲しいのだが、最後は暖かく終わってホッとする。

  • この本で笑える子は、だんだん世の中がわかってきてるのかな。

  • 満月のお月さまを「ちんがりわらう」ってステキな表現♪

  • あなたは、お月様は何でできていると思いますか。この物語はちいさいねずみが、お月様が何からできていのるかを勘違いしてしまうことから始まります。勘違いしたねずみは捕まえられるはずのないお月様を、ひたすらに追いかけます。何日も何日も追いかけて、とうとう捕まえることはできなったけれど、たどり着いた先で素晴らしい幸せを手に入れるのです。何かを一途に追いかけている間は、たとえそれが叶わなくても心が豊かになるし、それができる人にはいつか幸せが訪れるという作者からの温かいメッセージのように思います。ねずみはお月様を何とでできていると勘違いしたのか、どんな幸せを手にいれたのか、想像しながら読んでみてください。

  • おなかをすかせた、ちいさなねずみは、あるひお月さんを見てこう思った。お月さんはできたてのほやほやのチーズだと。ねずみはお月さんにむけて、かじらせてほしいと声をかけると、お月さんはだまってうなずいたように見えた。そしてねずみは、いえのやねにのぼったり、えんとうのてっぺんにいったりして、お月さんにちかづこうとするが、なかなかそばに行けなくて──。
    カバー折り返しによると、国語の教科書に採用されたらしい。ただねずみがひたすら一方的に話しているだけですが、ラストはねずみは幸せそうだし、めでたしめでたし。

  • ゆっくり時間が流れていて、静かな世界にひきこまれるよう。お月様とねずみの関係の距離感が素敵。

  • ちんがり 笑う。という表現が何度かでてくるのですが「ちんがり」ってどんな笑いかなぁと、ちんがり笑ってみました。

  • お月様だって、かじられたくない。

  • こどもの頃、車に乗ってでかけると、月に近づいたー!だの、
    右に居たのに左に移ったー!だの大騒ぎでした。
    かわいい本です。

全12件中 1 - 12件を表示

著者プロフィール

さとうわきこ 東京に生まれる。児童出版美術家連盟所属。絵本『とりかえっこ』(ポプラ社)で第1回絵本にっぽん賞受賞。現在は長野県の岡谷市と八ヶ岳で「小さな絵本美術館」を主宰しながら、絵本の創作に従事している。「ばばばあちゃんの絵本」シリーズ以外の主な絵本には、『ちいさいねずみ』(借成社)、『おつかい』『るすばん』『せんたくかあちゃん』『くもりのちはれせんたくかあちゃん』(以上福音館香店)、『わっこおばちゃんのしりとりあそび』(童心社)などがある。長野県在住。

「2019年 『ばばばあちゃんのおはなしセット(10冊)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

さとうわきこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×