- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784033301105
感想・レビュー・書評
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「お月さん、あんたは、チーズでしょ。」
静かな秋の夜、街のねずみは輝く満月を見てそう言った。
そして「ちょっぴりでいいから、かじらせて」と、お月さまを追いかけていく。。
ああ、おバカさんね。それはチーズなんかじゃないの。
くすくす笑いながら見ていたはずが、あまりにも純粋に追い続けるねずみに、いつの間にか感情移入してしまう。何日も何日も、雨の日だってずぶ濡れになって追い続け、決して諦めない。
それどころか、空に向かって伸びあがるようにして生きていく。
現実はいつも、夢とはかけ離れている。遠くから見れば甘い世界でも手に入れれば苦労の連続で、必ずと言っていいほど夢に裏切られる。
ねずみの切ない願いは、いつどんな風にはじけ飛ぶのか。。
でも、そうはならない。それがこのお話のとてつもなく幸せなところ。
ある晩、どんどんどんどん走り続けてくたくたになったねずみは、山の木の根元に小さな穴を見つけてぐっすり眠ってしまう。そして・・
「ちいさい ねずみが あなから でてみると
お月さんは まだ かえっていなかった。
でも そのかわり、くりや くるみや どんぐりが
たくさん おちていた。」
最後の幸福そのものの見開きは、内緒。ここはじーんと来るところだから。
夢を追いかけることには、ちゃんと意味がある。
新しい運命に出会うことだってあるのだから。
かつて望んだ未来ではなくとも、違う形の幸せがあるのだから。
さとうわきこさんと言えば「ばばばあちゃん」シリーズのコミカルな絵が真っ先に頭に浮かぶ。
でもこんな精密な絵も描いてらしたのね。
色彩も淡く穏やかで落ち着いている。
月の美しい夜に、大人がじっくり読む一冊。
読み終えたらお月さまみたいに「ちんがりと」笑ってね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「町に住むお腹のすいたねずみが月をおいしいチーズと思いこみ、取ろうとしますがとれません。けれども、最後に山に行ってみると?」
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最初は物悲しいのだが、最後は暖かく終わってホッとする。
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この本で笑える子は、だんだん世の中がわかってきてるのかな。
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満月のお月さまを「ちんがりわらう」ってステキな表現♪
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あなたは、お月様は何でできていると思いますか。この物語はちいさいねずみが、お月様が何からできていのるかを勘違いしてしまうことから始まります。勘違いしたねずみは捕まえられるはずのないお月様を、ひたすらに追いかけます。何日も何日も追いかけて、とうとう捕まえることはできなったけれど、たどり着いた先で素晴らしい幸せを手に入れるのです。何かを一途に追いかけている間は、たとえそれが叶わなくても心が豊かになるし、それができる人にはいつか幸せが訪れるという作者からの温かいメッセージのように思います。ねずみはお月様を何とでできていると勘違いしたのか、どんな幸せを手にいれたのか、想像しながら読んでみてください。
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ゆっくり時間が流れていて、静かな世界にひきこまれるよう。お月様とねずみの関係の距離感が素敵。
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ちんがり 笑う。という表現が何度かでてくるのですが「ちんがり」ってどんな笑いかなぁと、ちんがり笑ってみました。
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お月様だって、かじられたくない。
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こどもの頃、車に乗ってでかけると、月に近づいたー!だの、
右に居たのに左に移ったー!だの大騒ぎでした。
かわいい本です。