なつのいちにち

  • 偕成社
4.19
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本棚登録 : 599
レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784033313405

作品紹介・あらすじ

まっ白な日ざし青い草のにおい…ページのなかからあふれだす。はたこうしろう・待望のオリジナル創作絵本。3歳から。

感想・レビュー・書評

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  • 7,8年前に初めてこの本を見たとき、絵本もこんな時代になったのだなと、そう思った。
    ビジュアル的に、とても素晴らしい絵本なんである。
    誰もいない玄関と門から出るまでの真っ黒い縁取り。
    静かでひんやりとした土間の気配が漂ってくる。
    麦藁帽をかぶった男の子がひとり、虫取り網を持って家から出て行く場面だ。
    海辺と田んぼと牛小屋の前を疾走し、神社の階段でひと休み。
    「ハア ハア ハア」というカタカナの息遣いが、見開きで続く。
    この子は、クワガタを捕りに行くのだ。
    この間の、むっとするような濃い緑と青い青い夏空。
    テントウムシ、トンボ、蛙、バッタ、カワセミ、セグロセキレイ、ツユクサ・・・

    いよいよクワガタを捕るという場面は、今度はコマ割りで描かれる。
    何度も失敗して、ようやく捕まえると今度は夕立だ。その爽快な達成感!

    今や滅多に見られない、全身で力いっぱい遊ぶ、子供の夏の話。
    疲れて帰る道にグミの実がなっていれば、すぐそれを口にほうりこんだ。
    甘くて美味しかったはずなのに、今食べてみると何の味も無い。
    そのとき私が分かったことは、あの頃は全身で味わっていたのだということ。
    あの夏は、もう戻らない。
    でもこの一冊の中にはしっかりと入っている。

    帯にはこう書かれている。
    【この本には少ししか文章がありません。あっという間に読めてしまいます。
    でも、絵と物語をゆっくり追うことで、それぞれの人が知っている「夏の音」や「夏の空気」を感じてもらえたらいいなと思います】
    おはなし会のスタートにも良いし、小さな男の子にはぜひ読んであげたい。
    約4分。文にはない音やにおいや空気を、一緒に感じられたらいいなぁ。

  • 中古購入

    これは大人が懐かしく読む絵本
    色使いが 色鮮やか というだけじゃ
    物足りない
    とても伝えきれない
    見てもらえればわかるのだが
    これは 真夏の色 そのもの!!
    まず真夏の外から見た玄関の挿絵を見て
    ああ これぞ夏!と脳内で叫んだ気がした
    (自分でも何言ってんだかわかりません
    文才がなく本当に申し訳ございません)
    父の実家が埼玉の秩父で
    小学校の頃に毎年夏に遊びに行ったのを
    思い出す
    私の実家もわりと田舎なので
    ここの場面は近所のあそこに似てるなとか
    ここの場面は秩父で体験したなとか
    昔に想いを馳せる
    子どもと読む前に先に見て良かった
    一緒に読んでたら
    昔 お母さんもこうだったああだったと
    いちいち昔話を挟んで
    話が進まないところだった(笑)

    お話はごく単純だけど
    それ以上でもそれ以下でもない
    なんなら言葉もいらないくらい
    絵が語ってくれている絵本
    でも最後のセリフ とても良い
    やっぱり全部良い

    印刷すると
    絶対に同じ色にはならないので
    原画展で現物の色を見てみたかった

  • 濃い藍色に沈む夜空。
    アーケードに連なるちょうちんの灯り。
    露店から漂う林檎飴の甘酸っぱい匂いと
    少しずつ遅れて響く花火の音。
    うちわを手に浴衣を着て着飾った人たち。
    扇風機からの生ぬるい風と
    ラジオから聞こえるプレイボールのサイレン。
    縁側で食べるスイカのみずみずしさと
    喉を刺すキンキンに冷えたラムネの味、
    夕立を予感させる切なく甘い雨の匂い。

    子供の頃はいつまでもいつまでも
    ずっと続いていくような気がしていた長く暑い夏の日。
    けれどもそんなことはあり得ないって、大人になった僕は知っている。
    だから夏の夕方は
    切なくて物憂げで気だるいのだ。

    子供の頃の僕はいつだって冒険への扉を探していた。
    山や川はもちろん、
    押し入れの中も屋根裏部屋も工事現場にだって
    冒険への扉は潜んでいた。

    映画『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』に出てくる少年たちのように
    子供だけが入れる秘密基地を作ったり、
    山を探検したり、早朝に起きてカブトムシを捕りに行ったり、
    如何わしい本を探して夜のピクニックに出向いたり(笑)、
    自転車レースしたり、
    アスレチックコースを作ったり、
    毎日が冒険の連続だった。

    この絵本を開くとそんな夏の日が
    鮮烈によみがえってくる。


    あついあつい夏の日。男の子は虫取網を持って出かけていく。
    空にはたくさんのカモメと入道雲。あたり一面のたんぼのあぜ道。
    そして海岸沿いをひた走る男の子。

    兄にいいところを見せるため
    『きょうはひとりでクワガタムシをつかまえるんだ。』

    でっかい牛小屋の前を通り、
    神社の石段をハァハァ言いながらのぼり、
    生命力の光を撒き散らしながら
    山を脱兎のごとく駆けめぐる男の子が本当にかっこいい。

    山は生きものたちの宝庫だ。
    鬼ヤンマやカワセミ、蝶の大群、森の中こだまするセミの鳴き声、
    ショウリョウバッタにてんとう虫、
    そして男の子は
    目標のでっかいクワガタムシをみつける。

    高い木の上にいるクワガタムシは
    子供にとっては鯨ほどの巨大な敵に見えたに違いない。
    案の定、力の差は歴然。何度やっても何度やっても届かない。
    泥まみれになり地面に叩きつけられ、何度も木から落ちながらも
    決してあきらめない男の子。
    そしてついに彼は自分だけの力で、
    クワガタをつかまえるのだ。

    頼りない男の子はいつしか
    たくましい少年の顔に変わる。
    降りしきる雨の中、ずぶ濡れになりながらも
    クワガタをつかまえた喜びを隠しきれない少年をみごとに閉じ込めた
    カラフルで躍動感みなぎるダイナミックな構図が素晴らしい。
    意気揚々と緑の中かけぬけていく少年を見開きのアップでとらえたページの迫力は
    壁に飾っておきたいほどのカッコ良さである。

    子供は屋根から飛んだり、ブランコで回転したり、川で泳いだり、木から飛び降りたり、
    遊びの中から『危険』を体験して
    無意識にその、さじ加減を覚えていく。 
    ここから先は死が待ってるということを
    子供ながらも遊びの中で
    『感覚』として身体が理解していくのだ。

    山の中、巨大な敵に一人で立ち向かっていった少年も
    今日の冒険譚を忘れることはないだろう。
    自分の足を使って、見て触って、肌で感じた『生の体験』は、
    どんなに年月が経とうとも記憶の核となって、 自らを支えてくれる。

    誰もの記憶の底に眠る『あの暑い夏の日』を真空パックしたかのような、
    音や匂いまで閉じ込めた秀逸な絵本なので、
    夏にトリップしたいときに
    何度も見返せるのも嬉しい。

  • 4歳1ヶ月男児。
    自分の子供時代がブワッと蘇ってきて、なんとも言えない気持ちになる。
    今年の夏は、一緒にセミを探したり、バッタを掴めたり、モグラの穴をほったり、虫探し探検をしたり・・・。
    この絵本の男の子のような夏を、これからどんどん過ごしていくんだろうな。がんばれ。

  • ぱきっとした色づかいが、夏の記憶を呼んでくれます。ダイナミックなアングルもステキ。

  • 衝撃的におもしろかった!
    構図から、ことば選びから、斬新で新鮮!
    展開もドラマチックで、
    いい映画を観終わった後のような余韻ののこる、
    素晴らしい絵本!

  • 夏にぴったりの絵本。夏休み前に、必ず読み聞かせる一冊。

    少年の頃、あったなあーと。
    そして、いまの子供たちには、
    少年時代は、こうだったんだよーと。

    変わらないもの、変わりゆくもの、
    ちゃんと伝えたいです。

  • “男の子の夏”って感じの絵本。文章は少なめ。夏の暑さとか、匂いとか音が聞こえてくる。
    絵で夏を表現するってすごいなあと思います。

    大人が読んで懐かしく感じるかな。大人が楽しく読んでいる姿もよく見ます。
    もちろん、男子専用絵本ではありませんよ。

    なんだか感覚に訴えてくる絵本ですね。

  • 読み聞かせお当番で小学2年生の男の子が気に入ってくれました。主人公の弾む気持ちが素直に伝わってきます。

  • この本を開けると、誰もが体験したことのある懐かしい夏が一瞬にしてよみがえります。それも音だけでなく、日射しや日陰、感触、温度、湿度、においまで。夏に体当たりの一冊。夏が待ち遠しくなること絶対です。3月期限テーマ;夏。

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著者プロフィール

はた こうしろう
1963年、兵庫県西宮市で生まれる。絵本作品に『なつのいちにち』『えほん図鑑 へんてこ! りくのぜつめつどうぶつ』『にちようびのぼうけん!』『いっすんぼうし』『ゆき』「ショコラちゃん」シリーズ(文・中川ひろたか)「クーとマーのおぼえるえほん」シリーズ「おとうさんもういっかい」シリーズ『はじめてのオーケストラ』(原作・佐渡裕)『どしゃぶり』『ぶう ぶう ぶう』『ぎゅう ぎゅう ぎゅう』『こちょこちょさん』『まてまてさん』(以上5作・すべて文・おーなり由子)『えほん遠野物語 でんでらの』(原作・柳田国男 文・京極夏彦)などがある。


「2019年 『あなたがおとなになったとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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