どうぶつさいばん ライオンのしごと

著者 :
制作 : あべ 弘士 
  • 偕成社
4.20
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本棚登録 : 160
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784033313603

作品紹介・あらすじ

タンザニアの草原にたつ一本のイチジクの木。大きなイチジクの木は、ずっとずっとむかしから草原をながめていました。イチジクの木はたくさんのことをしっています。草原はずっとかわらないこともしっています。そのイチジクの木のもとでくり広げられる「どうぶつさいばん」。うったえたのはヌー。うったえられたのはライオン。かずかずの証言、タンザニアの草原、ライオンに罪はあるのか?長年、野生動物の獣医として動物を診続けてきた著者竹田津実と、動物園の飼育係として20年以上、動物と生活を共にしていた画家あべ弘士が、動物たちのあるがままの姿を語る絵本。5歳から。

感想・レビュー・書評

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  • 「おおお!そうだったのか!」と、思わず声をあげて、その後はまるで登場する動物たちのように「いいさいばんだった!!」と感心してしまった。

    タイトルを見ると??となるが、お母さんを食べられてしまったヌーの子が、食べたライオンを訴えるという話。
    舞台はタンザニアで、8つの証言があり、その後判決が出る。
    果たしてライオンの罪は・・?
    それらすべてを見守る大きなイチジクの木が、象徴的だ。

    ダイナミックで色鮮やかな挿絵を手がけたあべ弘士さんは、20年以上旭山動物園に勤務し、飼育係としてあらゆる動物たちの世話をしながら絵を描いていたという。
    作者の竹田津実さんは、91年に獣医を退職してからも、傷ついた野生動物たちの保護・治療・リハビリに取り組んでいるということだ。
    つまり、おふたりの長年の経験とその中で培われた考えの結晶のような作品と言えるかもしれない。

    ライオンの罪と言っても、それは弱肉強食の世界だしやむを得ないだろうと、ほとんどの方が考えるだろう。
    それぞれが生き抜くための手段としての、行為だと。
    私もそうだった。だが、これは目がウロコの真実が見えてくる作品なのだ。
    自然の摂理とはこんなにも懐が深いものなのかと、驚かされるだろう。
    そして、かたや人間は、足ることを知らずいかに貪欲に他の動植物の命を奪ってきたことかと、恥じ入ってしまう。
    動物たちに訴えられなければいけないのは、まっさきに私たち人間だろう。
    生きていくことは、食べること。
    でももっともっと「いのち」と「食」に対して謙虚にならなくてはと、心から反省させられる。
    マサイの村の牛の話と、モンゴルの羊飼いの老人の話は、特にドキリとする。

    約10分。4,5歳からでもOKだが、まずは大人が読んでみてね。

  • ヌーの子どもがライオンを訴えます。
    「お母さんが殺され、食べられた」と。
    ライオンは小さな声で言いました。
    「だって殺してほしい。食べてくれーと、あのヌーが言ったんだもの」

    民事裁判なのかしら。
    ゾウがヌーの弁護士となり、オオカミギツネがライオンの弁護士となります。
    そしてそれぞれに証人も。

    私は「生きていくためには食べなければならないのよ」という論調でライオンの無実が訴えられるのだと思って読んだのですが、そんな単純な話ではありませんでした。

    生きていくこと。生き延びること。生かされること。
    自然の中で生きることの冷徹なまでの命のやり取り。

    “「いいさいばんだった」「いいさいばんだった」と、みんな草原のなかにかえっていきました。”

    “狩りはライオンのしごとでした。しぜんはそのしごとのなかに、もうひとつの役目をかくしていました。”
    その役目とは…。

    いい絵本でした。
    目に見える行動と目には見えない役割。
    読み終わって「ほうっ」とため息が出ました。

    あべ弘士の絵も力強くて良いです。

  • どっちがわるかったんだろう?ってみんなで考えてみる

  • タンザニアの大草原で開廷した動物裁判。母親を殺されたヌーの子どもが、殺したライオンを訴えた。被告人の言い分とは?証人たちは何を語るのか?イチジクの大木が見つめ続けてきた動物たちの姿とは?

    野生動物の営みは人間の倫理観では語れないはず。
    だからこそ、長年動物に接し続けてきた竹田津実さんとあべ弘士さんの考えが知りたくて、本書を手に取りました。

    自然界の絶妙なバランスには驚くばかり。
    また、そこに介入する人間にも「自然の一部」たる自覚が必要なのは言うまでもありませんが、それを実践している人々(モンゴルの羊飼いなど)がいるというのは、本当に感動的。

    単に「食物連鎖とはそういうもの」といった結論で終わらず、その上で親を失った子どもの悲しみを皆で分かち合う事が判決に折り込まれているのが素晴らしい。
    まさに「いいさいばんだった」という気持ちです。

    他の『どうぶつさいばん』シリーズも是非読んでみたい!

  • タンザニア草原、裁判長ハイラックス、母親をライオンに食べられたヌーの子供、ライオン、弁護士ゾウ、オオカミギツネ、ライオンは病気の動物を選んで食べて病気が広がるのを防ぐ、森を守ること


    レビュー登録は10月22日になってしまったけれど、実際に読んだのは21日。

  • 6年生最後の読み聞かせに都合のつくボランティアでペープサートをしました。

    ヌーのお母さんがライオンに食べられて裁判が行われることになりました。
    裁判長、弁護人が任命され、証人たちも呼ばれて次々証言をしていきます。
    ライオンはむやみに動物を襲うのではないこと、
    ライオンに襲われるより、病気のほうが怖いことなど、
    単なる弱肉強食の自然の掟と一言では表せない事実を分かり易く明らかにしてくれます。

    児童書でありながら、内容はとても深く自然界の仕組みを解き明かしてくれます。
    あべさんの描くダイナミックで力強い動物たちも素晴らしいです。
    裁判が終わり「いいさいばんだった、いいさいばんだった」と
    黄昏の中を帰っていく動物たちの満ち足りた気持ちが伝わってきます。


    平成29年3月14日(火)
    6年生

  • 弱肉強食の世界の中では、「殺す」ということとも一つの営みだと言うことを分かりやすく教えてくれる。
    立場が違えば、思いや正義は違うんだと言うことも教えてくれる。子どもにも大人にも、おすすめできる一冊だと思う。

  • 2015.02 3-1
    2015.03 6-1

  • 2冊目

    高学年になったら読むつもりだった本がやっと読めました。物語はライオンがヌーの母親を殺し食糧にしてしまい、その子どもが訴えて動物たちで裁判をするお話。お互いの証人が出てきて弁護をし、大自然の摂理で生きることはバランスも必要であることをわかりやすく描写しています。立場が変われば考え方も変わることや単純な弱肉強食社会ではないこと、生きることは食べることをも考えさせられます。

  • 高学年読み聞かせや、アニマシオンに。自分だったら、自分たちだったらどんな判決を出すのか考える。
    正解はない、決めた後にも、「でもやっぱり~」と思う子がいてもいい。(i44)

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