1000の風・1000のチェロ

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 241
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034351208

作品紹介・あらすじ

ひとりひとりの物語がちがっても、きもちを重ねあわせれば歌はひとつになって風にのる。そしてきっとだれかにとどく。小学初級から。

感想・レビュー・書評

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  • 繊細な心を持つ少年と少女。互いに喪失を体験した者同士、チェロの先生の教室で出会う。純粋な心をもった少年と少女の心の様子がチェロの音の響きの表現と、いせさんの淡くて優しい水彩画によって描き出されていく。

    この少年と少女は、偶然にもたくさんのチェロを担いだ団体に出会い、チェロによる神戸の震災復興コンサートの存在を知る。参加することにした少年と少女。

    神戸で震災にあった人を思い、被災者の人とともに演奏していくうちに、少年は自分の大切な飼い犬だったグレイを慈しみ抱きしめるようにチェロを弾くようになる。少女も泣く泣く手放した小鳥のフロルを想っているのだろう。そうして少年と少女は音楽のもつ力、演奏することにより聴く人だけでなく自らも癒しを得られることを体験していく。

    神戸での1000人によるチェリストのコンサートの場面がとても好きだ。1000人ひとりひとりが、それぞれの喪失を胸に、阪神淡路大震災の被災者へ向けて心をこめて演奏しているシーン。少年はグレイを抱きしめながら、少女の周りにはフロルが飛び交う。そうして演奏者たちの想いをのせて1000の音が一つになって聴く人たちの心の中にしみ込んでいく。

    恥ずかしながら、本当に1000人のチェロ・コンサートがあったということを初めて知りました。そして1000人のチェロの演奏を聴いて、思わず涙してしまいました。よろしければ、こちらをどうぞ。https://www.youtube.com/watch?v=L3OCMOaII1Q

    チェロの先生は「チェロの木」のあの先生かな?だといいなぁ。グレイ・シリーズも是非読もうと思いました。

    • kanegon69 さん
      mari さん、コメントありがとうございます!いせひでこさん、ご自身がこのコンサートにチェロ演奏者として参加されたとの事です。やっぱり、感動...
      mari さん、コメントありがとうございます!いせひでこさん、ご自身がこのコンサートにチェロ演奏者として参加されたとの事です。やっぱり、感動しますよね!
      2019/11/02
  •  1995年1月17日その日は朝のニュースで阪神淡路大震災を知り
    ました。遠く離れた関東からは大災害もTVの中のニュースでしか
    知りえませんでした。多くの人が肉親を知人を失い、深い悲しみに
    包まれていたと思います。

     そんな被災地をいせさんも歩き、何の記憶のスケッチも残せなかっ
    たそうです。
     忘れてはいけない風景だが、描いてはいけないものかもしれない
    と後書きに書かれていました。

     震災の3年後に開催された「1000人のチェロコンサート」は1000
    の悲しみと、1000の物語をつないで、一つの大きな音楽を奏でた
    のですね。

     いせさんの亡くなった愛犬グレイもチェロの演奏と一緒に出てき
    ます。人の声に一番近い楽器、チェロ。心の歌を奏でるのでしょうか。

    自宅近くで開催されるガスパール・カサド国際チェロコンサートにも
    行ってみたくなりました。11月/22日から八王子で開催です。
    http://www.cassado-cello.jp/about/

    古いCDからYo-Yo Maのチェロの音が聞こえています。

  • 今、日本の人に読んでほしい本

    震災から半年ほどですが、
    東北や関東の復興は、まだまだこれからなんだと思う

    いろいろな痛みを抱えて、それでも頑張り続けている人たちに
    少しでも希望が届けば嬉しいと思った

  • 阪神淡路大震災の3年後に開催された復興支援「1000人のチェロコンサート」に参加する少女と少年、おじいさんのお話。神戸から引っ越して来たばかりの少女はチェロの音が怖かった。しかし復興コンサートの練習を重ねていくうちに優しい音色に・・・。それぞれが思いを抱え奏でるチェロの音色が淡い色彩で描かれ、その音色に包まれ偲ぶ情景が素晴らしい。

  • 第一印象は、絵の力強さ。読んでみると、ストーリーもすばらしかった。チェロをみんなで弾いてるところは、音が聞こえてくるようだった。

  • まず、絵がとっても素敵。目には見えない、音楽と気持ちをすくい取る、水彩が超絶の域に達しています。

    そして、物語。誰しも抱えている、消しようのない悲しみをお互い持ち寄り、演奏を通して、空に飛ばしていくような様に、涙がとまりません・・・。

  • 冒頭は少年と少女の出会いである。
    少年はチェロを習っている。
    教室に新しく女の子が入ってくる。
    女の子のチェロはとても上手だ。
    けれど、女の子はどこか、怒っているように聞こえる。

    タイトルとここまでのお話で、はじめはよそよそしかった2人が、音楽を通して仲良くなっていくお話かな、と思う。

    淡い優しい色彩。風をはらむ髪や服の揺れ。動きを捉えた確かな骨格。
    絵のうまさにも引き込まれつつ、物語は進む。

    2人は徐々に友だちになる。ある日、ある集まりで、2人はおじいさんと知り合う。
    おじいさんもまた、チェロを弾く人だ。
    3人に共通しているのは、チェロだけではない。
    皆、何かを失っている。
    失うものを抱えながら、3人はチェロを弾く。

    人はときに、大きな不幸に見舞われる。
    人はまたときに、深い喪失を抱える。
    それでも人は生きていく。
    なくしたもの、もう会えない相手、遠いあの日。
    二度と手には入らない思い出とともに、生きていく。

    著者のいせひでこさんもまた、作中の人たちと同様、チェロを弾く人だ。
    いせさんは、チェロを「人間の形をした楽器 人間の声で歌う楽器」という。

    冒頭の印象を越え、はるかに深い物語である。
    人は、それぞれの喪失を語りながら、それでも1つの希望のうたを歌うことができる。
    鎮魂はまた、自分が立ち上がって歩き出す、再生ともなりうるのだ。

    物語の最後で、1000人のチェロ弾きたちが奏でる音楽が聞こえる。
    1000の風のように、それぞれの思い出を乗せた音楽が、きっと聞こえる。

  • 1000のチェロ。1000の想い。どんな音だったんだろう。

  • チェロを弾く様子がとても素晴らしい.

  • 小学校高学年から上くらいの人に読んでもらいたい絵本。
    特に、大人にはぜひ。

    阪神淡路大震災の復興支援のためのチェロコンサートに参加することになった少年たちの物語。
    被災した少女とおじいさんが登場するのですが、被災したことに関しては簡単にしか触れられていません。
    それでも、こちらに訴えかけてくるような雰囲気のある絵が、被災によって失ったものの大きさや、悲しみを表現しているように感じました。

    我が家のちびちゃんにはまだまだ難しい絵本ですが、大きくなったら読ませたい一冊です。

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著者プロフィール

1949年北海道生まれ。東京藝術大学卒業。
『マキちゃんの絵日記』で野間児童文型新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。
このほか、おもな作品に『まつり』『大きな木のような人』『あの路』(文・山本けんぞう)(いずれも講談社)、『1000の風1000のチェロ』『チェロの木』(ともに偕成社)、『わたしの木こころの木』(平凡社)など。
また長田弘の詩集『最初の質問』『風のことば 空のことば』(ともに講談社)も手がける。

「2020年 『けんちゃんのもみの木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

いせひでこの作品

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