やとのいえ

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 107
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034379004

作品紹介・あらすじ

「やと」とは「谷戸」とも書き、なだらかな丘陵地に、浅い谷が奥深くまで入り込んでいるような地形のことをいいます。
この絵本では、東京郊外・多摩丘陵の谷戸をモデルに、そこに立つ一軒の農家と、その土地にくらす人々の様子を、道ばたにつくられた十六の羅漢さんとともに、定点観測で見ていきます。

描かれるのは、明治時代のはじめから現代までの150年間。
長い時間、土地の人びとは稲作、麦作そして炭焼きなどをしてくらしてきました。昭和のなかばには戦争もありましたが、それでもつつましく、のどかなくらしをつづけてきました。

そのいとなみが大きく変化したのは、昭和40年代からです。この広大な土地が、ニュータウンの開発地となりました。丘はけずられ、谷は埋められました。自然ゆたかだった丘陵地は、あっというまに姿を消しました。そして昭和のおわりごろになると、団地やマンショがたちならぶニュータウンへと姿をかえました。大地にねざした稲作や炭焼きの仕事は、もうほとんどなくなりました。

しかし、新たに多くの人がここへ移り住み、町はまた活気をとりもどします。平成となると、ニュータウンができてからも30年以上がたち、自然豊かでのどかだった村は、落ち着いた郊外の町となっていきました。

ここに描かれた村にかぎらず、現在の私たちのくらす町はどこでも、かつてはゆたかな自然あふれる土地であったことでしょう。今のような町になる前は、どのような地形で、どのような人びとがいて、どのようなくらしがいとなまれていたのでしょうか。これを読みながら、みなさんのくらしている町と、くらべながら見ていくのもいいでしょう。

巻末には、8ページにわたって、この絵本に描かれている農作業とその道具、村の習俗や人びとの様子などをくわしく解説しています。

感想・レビュー・書評

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  • 産経児童出版文化賞を発表 大賞、八尾慶次氏のインタビューと受賞作紹介  - 産経ニュース
    https://www.sankei.com/life/amp/210505/lif2105050006-a.html

    第68回産経児童出版文化賞で、『やとのいえ』が大賞、『つかまえた』が美術賞を受賞しました | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/news/27973

    やとのいえ | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034379004

  • もう亡くなった田舎の祖母の家に作りが似ていて、幼い頃の記憶を辿りながら読みました。
    少し切なくなりました。

  • やと、という地形を開いて作られた村の150年間

    1892 12月
    1926 1〜2月
    1935 3〜4月
    1945 6月
    1950 6〜7月
    1955 8
    1965 9月
    1967 10月
    1969 11月
    1973 12月
    1977 1月
    1981 2月
    1987 3月
    2019 4月

    らかん〜石像信仰、16らかんはとしゃかさまが亡くなった後、ながく教えを守り伝えた弟子たちのこと


  • 丁寧に描かれた力作だと思う

    多摩の歴史的な変化を年代と四季を通して描いている
    狂言回しの16羅漢さんが、表情豊かで小さい生き物と仲が良いのがほほえましい

    この農家の様子は、半世紀を生きた私にはとても親しい
    田植えや稲刈りの様子は、そのまま自分の幼少期の様子と重なる
    稲刈りをすると、稲のくずが洋服の中に残って、チクチクとかゆかったことや
    田んぼのぬかるんだ気持ちよさなどがよみがえってくる

    そして、山を削って住宅地ができ、道路が通り、町が「発展」していく様子もそのまま自分の経験と重なってくる
    もっとも、わたしは途中で上京してしまったから、半年ごとの帰省のたびにその変化を見るだけだった
    山が削られ、住宅地に替わり、大きな道路が走って、静かだった家の周囲に常に音がある状態に変化したことに、寂しいと思っていた
    それは、その土地を離れたものの無責任なノスタルジーなのかもしれない

    その土地に生きている人にとっては、ありがたい開発だったという
    田舎でいることは、恥ずかしいことだったからと

    そんなことを思う絵本だった

  • 多摩丘陵にあった谷戸※1の暮らしと変化を、十六羅漢※2を通じて紹介した絵本。巻末には解説あり。どの時代の風景も見応えがあり、また、羅漢たちに寄り添って読み進めてしまい、読み終わるのに時間がかかります。大人に好まれる作品かな。動物たちと戯れる十六羅漢が愛おしい。昭和30年8月ごろの風景がいちばん好きです。
    ※1谷戸(やと)とは、「なだらかな丘にはさまれた あさい谷のこと」(カバー袖の文章引用)
    ※2羅漢(らかん)とは、「古くから石像や彫刻などで人びとの信仰を集めてきた、仏教の修行者・聖者日のこと」(カバー袖の文章引用)

  • 日本の地域の四季、村の営み、やがて、やってきた開発について、16羅漢が寄り添って見つめる絵本。

  • お地蔵さんたちを中心に周りの風景が変わっていくところを時代と季節を替えながら丁寧に描いている.お地蔵さんの表情がとてもよくて,おもわず笑ってしまった.

  • 時代とともに移り変わる多摩丘陵の谷戸の様子を描いた絵本。街の開発を見守る十六羅漢の表情も素敵。産経児童出版文化賞大賞作品。

  • 少し『ちいさいおうち』に似ているなぁと感じた。
    この絵本の舞台が多摩ニュータウンであり、実際の話に忠実に描かれたものだと知り、より興味をもった。

  • 南大沢キャンパスも含まれる東京郊外・多摩丘陵がニュータウンに変化していく様子を、明治時代から現代まで定点観測的に描いた絵本。ぜひ大学のキャンパスの外にも目を向けて、キャンパス周辺の地域やその歴史についても知り、学んでもらいたい。そのきっかけとなる一冊。

    (都市環境学部 都市政策科学科 山本薫子先生)

    【OPAC】
    https://tmuopac.lib.tmu.ac.jp/webopac/BB02384726

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著者プロフィール

1973年、神奈川県相模原市橋本生まれ、大阪府育ち。宝塚造形芸術大学卒業。石仏が好きで羅漢さんを描きはじめ、2013年に「羅漢さん」でボローニャ国際絵本原画展に入選。さし絵に『ウォーズ・オブ・ジャパン 日本のいくさと戦争』、月刊絵本に「ばけものがおどるてら」、「おはぎをつくるおばけ」など。単行本の絵本は本書がデビュー作となる。兵庫県在住。

「2020年 『やとのいえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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