子ネズミのチヨロは、いとこのチーヤに、母さんネズミがぬったチョッキを届けに行きます。母さんに、「ヘビにはじゅうぶん気をつけてね。」と言って送り出されるチヨロですが…。
チヨロがヘビの姿を知らず、シャクトリムシやミミズに騙されるところではユーモアたっぷりに、ほのぼのと話が進みます。このまま行くのかなぁと思っていると、魔法使いの落とした魔法の杖を拾う辺りから、お話が思わぬ方向に動き始めます。
ヘビとの格闘がまず第一の冒険。
魔法の杖のウノのおかげで、ヘビから助かったチヨロですが、ウノは行方知れずに。
心配しながら過ごしているチヨロの元に、チヨロを襲ったヘビのマダラが現れ、思わぬことを言います。そこで、チヨロの第二の冒険が始まります。
私はこの第二の冒険がよかったです。
「くまの子ウーフ」では問答無用で懲罰を受けていたヘビですが(キツツキの卵を狙うので仕方のないことですが)、チヨロは葛藤の末、ウノを飲み込んで衰弱してしまったマダラを救おうとします。
自分を食べてしまう存在の生き物でも、弱っていたら助けようとする。野生動物では存亡にかかわる欠陥かもしれないですが、なぜだか私には尊い感情に思えました。
チヨロを人間的なものとして捉えているからかもしれないですね。(ヘビは悪として描かれることが多いですが、彼らは彼らなりに、自分の食べるべきものを食べて生きているだけなのに…となぜだかヘビに同情的な私です。)
妙に考えさせられる物語でもありました。
魔法使いのネズミさまもなんだかなんだかいいことを言っていますし、なんだか不思議な魅力のあるお話です。