女の子の昔話: 日本につたわる とっておきのおはなし

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  • 偕成社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035127109

感想・レビュー・書評

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  • こころやさしい女の子
    おならがすごい女の子
    かしこい女の子
    力持ちの女の子
    ほらふきの女の子……

    女の子が自分の力で人生をきりひらいていく日本各地のとっておきの昔話を20話、中谷初枝が読みやすく語りやすく再話して収録、2012年10月刊

    《女性が主人公となって活躍する話は目立ちませんが、しかし、本書で紹介されているように、かしこく、おおらかに、そしてときにはしたたかに生きていく姿をえがいた昔話もしっかり語りつがれてきたのです。》──常光徹「解説」より

    ジェンダーレス社会への道しるべとして家庭に学級に学校図書館にぜひ1冊

    中脇初枝再話「女の子の昔話えほん」シリーズ全5冊
    『ちからもちのおかね』伊野孝行絵/2022年1月
    『わたしがテピンギー』あずみ虫絵/2022年1月
    『マーヤのさるたいじ』唐木みゆ絵/2022年2月
    『花をさかせたがらない小さなキャベツ』うえのあお/2022年2月
    『おだんごころころ』MICAO絵/2022年3月

    また、本書の続編として
    『世界の女の子の昔話』2023年3月刊がある

  • 女の子が主人公となる昔話を集めて収録したもので、ややマイナーな昔話が多く収録されている所がとてもよかった。

    本書に収録されている「へびむことり」が蛇婿と姥皮の融合であったのが興味深かった。
    「したきりすずめ」も瓜子姫を思わせる部分があり、気になった。

    再話の参照元もきちんと明記されているので、可愛らしい表紙の割りには研究にも活用できそうな内容であった。

  • ★★★★☆
    女の子が主人公、あるいは女の子を主人公にした昔話や民話を小気味よいテンポで。
    したきりすずめが、おじいさんとおばあさんの立場が逆転しててびっくりしました。

    (まっきー)

  • 女子(幼児からおばあさんまで)をテーマにあつめた日本の昔話。東北中心。
    ほとんどは知っている話だった。
    ただし筋は同じでも登場人物が違うものもけっこうある。
    猿蟹合戦の型や、じじばばが逆だったり若者の話として聞いた覚えがあるものだったり。
    ということは、じいさまだろうが幼女だろうが小僧だろうがあねさまだろうが、登場人物はなんでも代替可能なんだろうな。

    少し前に、「結婚したくない女の子は昔話の中にもけっこういるけれど、逃げ切ったのはかぐや姫くらいだろうか」ということを考えていた。
    けっこういる。「オンカミ・アチャボとかしこいむすめ」なんか末長くひとりで幸せに暮らしてる。
    ひとつのテーマであつめた民話を比べ読みするのは面白い。
    「めでたしめでたし」のようなしめの言葉も面白い。

    絵があんまり好きじゃないのは好みの範疇だからいいとして、表紙がすごくざんねん。
    表紙から裏表紙に、登場人物たちが輪になったひとつの絵がかかれている。
    なのに輪の一部がバーコードでばっちり隠れている。
    もうちょっとどうにかならなかったのか。

  • この本では、語り継がれてきた昔話のなかから、女の子が自分の力で人生をきりひらいていく話ばかりを集めてみました。もちろん、女の子の行く先である、嫁やおばあさんの話もふくみます。ー昔話のなかで生きる彼女たちにとって、しあわせな物語の結末とはなにか。それは、けっしてひとつではないのです。なんだかんだあっても、たくましく生きていく、彼女たちの活躍ぶりは、なやみながら今を生きるわたしたちを、力強くはげましてくれます。--あとがきより。

    感想:読んでいて心地よい再話。挿絵も可愛く、とくに表紙の絵がとてもいい(すべての話の登場人物が描かれている)。残酷な話もあるが、無理矢理ハッピーエンドにしたりはせず伝承されてきたまんまでのせているのが良い、どう読むか、どう解釈するかは手にとった人それぞれでよいのではないだろうか。中脇初枝さんの『ちゃあちゃんのむかしばなし』もとてもよい。

    収録されているおはなし:
    ◎は親子で好きな話

    【わらしべ長者】1年生~
    『今昔物語集』にもみえる話。出世する若者の話が一般的。こちらは岩手の娘がひとつかみのわらで人生を切り開いていく話。どじょうや猿も出てくる、話は長め。
    (『遠野に生き続けた昔』佐々木徳夫 講談社1976年 岩手の『一把の藁千両』という話より) 

    ◎【へひりの番人】年長~4年生
    『ちゃあちゃんのむかしばなし』で子どもに人気の話。おならの音が「だれぞだれぞぉ」って 笑 のんびりとしていておおらかでよい。欠点というものは、長所にもつながるものである。そしていろんな仕事、生き方がある。
    (『幡多昔むかし』谷口平八郎 土佐出版社、1990年、高知県『屁は番人』より)

    ◎【豆ころころ】1年生~6年生
    丸い物がころころ転がって異世界へ。。という話は昔話に多い。はじめに行ったものは祝福をうけ、後からマネをしたものはひどい目にあう(主人公(聞き手)が幸せになるというのが昔話では大事なので、後半は省いても大丈夫)。
    (『紫波郡昔話』佐々木喜善、名著出版、1976年、岩手県の『豆子噺』より)

    〇【ほらふきむすめ】1年生~4年生
    ほらふき同士の対決。ほらふき父の小さなむすめもほらがすごい。大人が子どもにびっくりして参るのって愉快。
    (『津軽西北のむがしコ』佐々木達司 文芸協会出版、1978年、青森県「津軽のほらふきと南部のほらふき」より)

    【したきりすずめ】3年生~
    すずめの舌を切るのはおじいさん。すずめを愛するのはおばあさんバージョン。すずめに合うために牛や馬のしょんべんを飲むという試練。おじいさんもしょんべん飲んで苦労して会いに行く 笑 そんな努力家なら改心しなさい 笑
    (『阿仁町伝承民話第三集」戸嶋チエ、秋田県文化財保護協会阿仁町支部編、1974年 秋田県『舌切り雀』より)

    ◎【たわしの神さま】年長~
    かつてはあらゆるものに神がやどると考えられていた。粗末に扱えば罰があたり、大切にしたものがむくわれて幸せになる。短いお話。
    (『越中射水の昔話』伊藤曙覧、三弥井書店、1971年 富山県『たわし大事にした下女』より)

    【へっぴりよめご】1年生~
    嫁がとんでもなく大きな屁をひるという意外性が忍界。福島では大岩をふきとばし、高知では雨雲をふきはらい、山形では船を動かし、長野では軍隊を追い払う。今回は金のなる木に屁をひって、小判がざらざら木からとれる!
    (『すねこ・たんぽこ 第二集』平野直 未来社、1958年 岩手県『屁っぴり嫁御』より)

    ◎【ならなしとり】年長~6年生
    病気の親のために山にならなしを取りに出る3兄弟。3人とも助かり、ハッピーエンド。歌が多く耳で聞いて楽しい。
    (『遠野に生き続けた昔』佐々木徳夫、講談社、1976年 岩手県「なら梨取り」より)

    〇【どんぐりひろい】
    山で一晩泊めてもらったその家は、山姥の家だった!山姥は人間をとって食おうとするおそろしい存在であるとともに、女たちの援助者でもある。正直者、親切なもの、働き者は助かる。マネをして山に入った二人目の子どもは鬼に刻まれて食べられてしまう(食べられてしまったとあっさり終わってもいいかも)
    (『土佐昔話集』桂井和雄、岩崎美術社、1977年 
    高知県『まま子の樫の実拾い』より)

    ◎【ぴんぱらりんひめ】
    機織りをする娘の話。ぴんぱらりんと髪から音が鳴る美しい話。
    (『まわりまわりのめんどすこー続・岩泉の昔話』高橋貞子、1978年 岩手県「ピンパラリン姫」より)

    ◎【竜宮の銭ひり犬】
    銭をひる犬、尻の穴から銭が出てくる!
    優しい娘には銭をひるが、いじわるな娘にはくそをひる。話は『浦島太郎&はなさかじいさん』
    (『阿波祖谷山昔話集』武田明、三省堂、1943年 徳島『銭屁り犬』より)

    【おおみそかの火】
    昔からよく伝わる話。おおみそかは火をたやさない。
    火だねを切らしたら女中や若い嫁が見知らぬものから火をもらいに行く。という話が多い。
    (『みちのくの海山の昔』佐々木徳夫、講談社、1975年、宮崎県「大年の火」より)

    ◎【お月お星】年少~6年生
    継子をいじめて殺そうとする継母。実子のお星は、姉の月を助けようとする。主人公は妹のお星。後半は父や、優しい殿様も出てくる美しい話。
    (『南部昔話抄(二)』平野直『昔話研究第四号』衆力、三元社、岩手県『お月お星』より)

    【へびむこいり】1年生~
    前半はへびの元に嫁に行き、逃げて帰る話。
    後半はへびに追われたかえるが娘を助けてかえるの皮を娘にやる。後半は大冒険をして娘はハッピーエンドになる。意外で、楽しい。
    (『すねこ、たんぱこ第一集』平野直、未来社、1958年 岩手県『姥皮』より)

    【花をぬすんだ神さま】
    悪知恵でちゃっかりハッピーになっちゃった神様の話。
    (『小僧っ子と鬼婆』萩生田憲夫、上山市郷土史研究会、1965年 山形県「蔵王と月山の姉妹」より)

    【たにしのむすめ】
    たにしは相手につぶされて元の娘の姿に戻ることができた。これはグリムの『かえるの王様』もそう。なぜつぶされたり踏まれたりしたら人間に戻るのかは謎だけど世界中にある。

    【おかねのはなし】
    大力の女の話あれこれ。

    【ホーラのマーヤ】
    猿蟹合戦とほぼいっしょ、仲間があつまって猿をこらしめる。マーヤは桃を盗まれただけだし猿殺さなくてもいいような気がするが・・(猿蟹合戦は母ガニの敵討ちだから納得だけど)。

    ◎【オンカミ・アチャボとかしこいむすめ】1年生~6年生
    アイヌ民族の伝えてきた昔話。テンポがよく、主人公はいろんなものに化けたりできる力があるのも不思議で面白い。オンカミアチャボが何かわからないまま襲ってくる!! 笑

    【赤いちょうと黄色いちょうと白いちょう】年長~
    のんびりとしたハッピーなお話。新潟でも伝えられていて、新潟では月が三羽のちょうのために雲を吹き払い、虹をかけてやる。

  • お月お星とぴんぱらりんひめが好き
    女の子に読ませたくなる。

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著者プロフィール

徳島県に生まれ高知県で育つ。高校在学中に坊っちゃん文学賞を受賞。筑波大学で民俗学を学ぶ。創作、昔話を再話し語る。昔話集に『女の子の昔話 日本につたわるとっておきのおはなし』『ちゃあちゃんのむかしばなし』(産経児童出版文化賞JR賞)、絵本に「女の子の昔話えほん」シリーズ、『つるかめつるかめ』など。小説に『きみはいい子』(坪田譲治文学賞)『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』『神の島のこどもたち』などがある。

「2023年 『世界の女の子の昔話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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