十三湖のばば 改訂 (少年少女現代創作民話全集 5)

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  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035130505

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  • 青森県の津軽地方に「十三湖」という汽水湖がある。
    岩木川の加工が砂州で狭まって閉塞した湖であり、浅く泥だらけの湿地帯が広がっている。バラエティー番組で、青森出身のタレント「王林」がシジミ漁を体験していたのを視聴して、十三湖に興味を持ち、この本に辿り着いた。

    江戸時代の新田開発により、この地域でも稲作が行われるようになったが、腰まで泥に浸かる「腰切り田」であり、とても過酷な環境である。この寒村で、小作人として生きてきた80過ぎの老婆が、腰切田の作業と極貧生活を津軽弁で語っている。この酷い環境が原因で、夫と11人の子供の大半が次々と亡くなっていく様子が淡々と語られる。

    学校にも行けない、満足した衣服・寝床・食事にありつけない、作業中は人として安全配慮もなされない、あまりにも酷い環境である。東北の厳しい自然も、貧困に追い討ちをかける。

    我々は毎日、満足した食事にありつき、ついつい食べ過ぎて肥満になり、意図的に運動を生活に取り入れている 状態である。昔の人から見れば信じがたい行動パターンである。本作のような生活環境がつい数十年前まで、日本にあったことを忘れてはならない。

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著者プロフィール

児童文学作家。青森・千葉両県での教員生活を経て、小・中学校長、松戸市教育研究所長、等歴任。日本児童文芸家協会名誉会員、日本子どもの本研究会前会長。
【主な著書】『津軽の山歌物語』(日本児童文芸家協会賞、国土社)、『十三湖のばば』(らくだ出版)、『空をとぶ一輪車』(大日本図書)、『本を読む子を育てる』(国土社)

「2011年 『新版・授業が生きるブックトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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