金の波 銀の風―黒ねこサンゴロウ旅のつづき〈4〉

著者 :
制作 : 鈴木 まもる 
  • 偕成社
4.15
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本棚登録 : 130
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035282907

感想・レビュー・書評

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  • 黒ねこサンゴロウの度の、短編が3つ詰まった1冊。
    緑の小鳥・幽霊船・王様の島

    私が特に好きなのは、王様の島。
    本当の自由とはなんなのか。考えさせられましたね。
    王様は金色の豪華な牢屋に入っているようなもんだったんですね。
    いくら金持ちでも、有力者でも、王様でも。好きなことができなきゃ、自由とはいえない。
    私も、自由を見つけたい

  • 緑の小鳥連れて歩いてるサンゴロウさんて超癒し系じゃないですか…!!

    短編集。
    短いので軽いノリでさくさくよめる。
    穏やかなほんわかした話もあればいつものように読みごたえあるどんでん返しもある。

    サンゴロウさんとマリン号の絆のつよさがちょっと感じにくかったけど。

  •  サンゴロウのモノローグは、
     ぶっきらぼうで、言葉足らずだ。

     孤独な船乗り。
     でも、孤立しているわけでなく、
     冷たいわけでもなく。


     昔、昔、宇宙を旅する海賊に憧れたことがある。
     ふと、あの海賊を思い出した。

     黒ねこのサンゴロウが語る海の描写は、
     時として詩であるかのよう。



     今回のサンゴロウは短編集。
     孤独を愛しながらも、常ならぬ関わりを持ってしまった話を集めている。

     ほんのささいなエピソード。
     だからこそ、サンゴロウのキャラクターや文章の良さがしみてくる。


     

  • 短編集。
    あちこちの島で、旅のなかでサンゴロウがであったことごと。

    今回は周辺海域の地図が載っていた。

  • 本書は、黒ねこサンゴロウシリーズの番外編短編集である。

    「みどりの小鳥」、「幽霊船」、「王様の島」の3編が収められている。

    そして、今までなくて、全体としてもこの巻にしか載っていないのが不思議なのだが、
    うみねこ島を中心に、このお話の舞台となる島々の地図が載っている。

    サンゴロウとマリン号は、一心同体である。

      ここはマリン号の心臓にいちばんちかい。

      おれは、船の鼓動を感じ、船といっしょに呼吸する。

      おれには船のきもちがわかり、船もおれの気分をよみとる。

      話なんかしなくても、かんがえることは、ぴったりあうんだ。

    ところが、そんなサンゴロウとマリン号の関係を揺るがす存在が現れる。

    それが、「みどりの小鳥」である。

    サンゴロウは、嵐に巻き込まれたときに、キャビンの窓ガラスにぶつかってきたみどりの小鳥を助ける。

    サンゴロウは船が沈むときは自分も沈むことに対して全く迷いがない。

    だが・・・。

      しずむときは、しずむさ。しかたない。

      でも、この鳥は、たすけたかった。

      おかしな話だ。

      たまたままぎれこんできただけの、みたこともない鳥なのにな。

    サンゴロウと鳥の関係は、サンゴロウと船の関係とは違う、
    何か不思議な雰囲気をかもし出している。

      きみょうな旅がはじまった。

      マリン号は、品物をはこぶことはあるが、
      めったにお客はのせない。

      ちっぽけな小鳥一羽でも、お客はお客だ。

      おれのほかに、船にだれかいるといないとでは、
      ずいぶん気分がちがうもんだ。

    鳥は話さない。

    サンゴロウはひとりごとのように鳥に話しかける。

    元気になった鳥の仲間を求めてサンゴロウは方々の島を訪ね歩くが、
    この鳥がどんな種類なのか、仲間がどこにいるのか誰も知らない。

    キャビンを開けっ放しにしているから、鳥はいつでも飛び立てるはずなのだが、
    サンゴロウのそばを離れようとはしない。

    南海島に住む、鳥に詳しいイソキチからは、人に慣れた野鳥は自然に戻れなくなると言われる。

    サンゴロウが陸に上がると、鳥は肩に止まっている。

    名前は付けていない。

    飼っているのではなく、預かっているだけだと思っているから。

    サンゴロウは、いつしか船をゆっくりにしか走らせないようになっている。

    安全な航路しか通らない。

      鳥がなれたように、おれも、鳥といっしょにいることになれはじめているんだ。

      でも、鳥は、ここにいるべきじゃない。

      もっと自由にとばなきゃならない。

      船でくらすなんて、不自然すぎる。

    鳥は、本シリーズ全体の象徴的な存在でもある。

    『キララの海へ』と『ケンとミリ』に登場する
    ミリも空を飛びたいと願う女の子だった。

    そこには自由への思いがこめられている。

    船とは違った意味で同じくらいのメッセージをもっているのだ。

    ずっと鳥と一緒にいて、走り方が変わったサンゴロウの影響で、
    マリン号も「きげんがわるく」なってきた。

      どこかに、目にみえないすきまができていた。

      おれとマリン号のあいだに。

      水の中でしゃべってるみたいに、ことばがうまくつたわらない。

      右だ、とおれがいう。

      マリン号にはきこえない。

      いや、きこえないふりをして、左にいこうとする。

      ちがう! とおれはどなる。

      その声も、すきまからこぼれていってしまう。

    サンゴロウがどういう決断をしたかは、
    実際にサンゴロウに語っていただくとしよう。

    あなたにとっての船は? 鳥は?

    「みどりの小鳥」は、そんなことを問いかけてくる。

    「幽霊船」は、本シリーズの『黒い海賊船』や『青いジョーカー』のような
    海賊的な冒険物語の雰囲気を持つ話だ。

    真珠島の白ねこ・シーナも登場する。

    「王様の島」は、少し不思議な物語だ。

    マリン号が警報が鳴り、船が操縦不能になった近くの島で出会った老人。

    サンゴロウの船にまつわるヒトリゴトもいい味を出しているが、
    この老人の語る話もまた深い。

    その味は、サンゴロウのこの言葉に象徴される。

      もつべきものを、すべてちゃんともっていた。

      そして、けっしてたいくつなんかしてなかった。

      だいじなのは、つまり、それだ。

    さて、本作のタイトルの、「金の波 銀の風」は何を象徴するのだろうか。

    本シリーズに登場するうみねこ族の緊急時の通信手段に、
    <声の波>と<貝の耳>がある。

    うみねこ族のすべてが使えるわけではなく、向き不向きがあり、
    発信する<声の波>と受信する<貝の耳>でセットだ。

    ミリは、ニンゲンの女の子でありながら、これが使える。

    この声の波を発信するときの描写が、『キララの海へ』にある。

      心をおちつけ、集中させ、ほそいほそい波のくさりをあんでいく。

      そのくさりに、ことばをのせる。とどけ、とどけ、とどけ、と。

    また、ミリが空を飛びたいと語るときに、サンゴロウが感じていたのは
    金色の潮だった。

      金色の潮がみちてくる。

      波の音しかきこえない。

      砂の上についた足あとが、ふしぎなもようをえがいて、ひかっている。

    金の波と銀の風が象徴するのは、海と空、波と風、船と鳥、そして・・・。

    発信と受信。

    自分が核として大切にするものは何だろう。

    何を伝えたいのか、何を受け取りたいのか。

    金の波と銀の風は、私にそれを伝えに来たようだ。

  • 短編3話。
    短い分冒険もちょっと軽い感じだった。

  • サンゴロウが七つの海でであった三つの物語。

  • 小鳥の話が好きだったような気がする。

  • 「旅のつづき」のシリーズは,第3巻や第5巻のようにずっしりした話が多いですが,第4巻はちょっと別。普段着のサンゴロウのよさが一番感じられる本かもしれません。

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著者プロフィール

1957年、福岡県生まれ。作家。おもな作品に『ちいさなおはなしやさんのおはなし』(小峰書店)、「クッキーのおうさま」シリーズ(あかね書房)、「おてつだいねこ」シリーズ(金の星社)など。画家の鈴木まもるさんとの共作絵本に、『せんろはつづく』『おすしのせかいりょこう』『すすめ! きゅうじょたい』(金の星社)、『ちいさいいすのはなし』『りんごのおじさん』(ハッピーオウル社)、『ならんでるならんでる』『でんしゃがきた』(偕成社)などがある。『月売りの話』で「日本童話会賞」、『星とトランペット』で「野間児童文芸推奨作品賞」、「黒ねこサンゴロウ」シリーズで「路傍の石幼少年文学賞」を受賞。

「2016年 『すすめ! うみの きゅうじょたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹下文子の作品

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