花豆の煮えるまで 小夜の物語 (偕成社ワンダーランド 10)

  • 偕成社 (1993年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784035401001

みんなの感想まとめ

幻想的なファンタジーの世界が広がり、自然と精霊が交わるひなびた温泉の物語が描かれています。安房直子の作品は、ファンタジーに馴染みがない読者でも心を惹きつけ、見たことのない世界への扉を開いてくれます。登...

感想・レビュー・書評

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  • 見事なファンタジーの世界。ファンタジーは日頃あまり受けつけないけれど、ここまで上質だと上手く騙されて見たことのない世界に触れさせてもらいたいと思える。

    やまんばや、紅葉の精なんかが出てきて、スピリチュアルな感じ。自然と触れ合い、自ずと感覚を研ぎ澄まして生活していた時代が昔はあったんだなぁと想像する。実際に存在するもの、感覚的に存在を感じるもの、全てに生命力を感じ、お互いに高め合う様子を思い浮かべるだけで、ワクワクさせられる。

    乙女チック、オタク的なものを感じなくはないが、芸術の域に達したものはそれらと一線を画すものだと強く感じた。
    安房直子さんは間違いなく天才だなぁ。

  • 人と人ならざる生き物や精霊が当たり前に身近にいて時に交わりながら暮らしているひなびた”宝温泉”。その地は”三森峠を越えてわらび山こえて北浦”とあるが、いかにも実在しそうでしていない。北関東の山々が目に浮かび、花豆というタイトルに惹かれて手に取ったが思いがけず大好きな世界に浸れた。

    山姥の孫にあたる主人公が母のように空をかけ鹿の結婚式に百合の花の香りを届ける「風になって」、病のおじいさんに温泉の湯の花を届け続けた主人公が、天狗の普請の音を聞くようになり、やがてあの世に旅立った日に、ひのきの屋敷のひのき風呂でおじいさんが上機嫌に歌う声とありがとよーと何度も礼を言うのをきいた「湯の花」がよかった。

  • 安房直子、今まで短編しか読んだことがなく、嫌いではなかったが、これを読んで「好き!」に変わった。
    短編でも感じることだが、安房直子のファンタジーには幻想的で暗い部分があり、その暗さは人間の本質を見つめる目からきているのだが、この作品からはさらに「寂寥」を感じた。
    母に去られた娘の気持ちをつまびらかに描き込んだりはしないが、いかに主人公が内面に孤独を抱えているかが、読み手に伝わってくる。
    父にも祖母にも愛されているが、それで埋められるさびしさではない。
    山姥の娘という設定は他の作家も使っており、誰が最初に考えだしたのかは知らない。
    しかし、富安陽子の登場人物のように、超人的な能力を自在に操って冒険をしたりはしない。この主人公には自分の能力に対する「畏れ」があるから。
    父の再婚を受け入れる娘の微妙な心理を描く最後の朴の木の話が特に素晴らしい。

  • つりばしを手をひろげてはしってわたるとかぜになれるってふしぎだなとおもった。

  • 4年教科書掲載本

    「やまんば」というとおばあさんのイメージだったのがくつがえされた。

    やまんばと人間の間に生まれた女の子、小夜のお話。

    温泉が好きなので、「紅葉の頃」が一番気に入ったけど、他もやさしい文体ですんなり物語の世界に入り込めた。

    忙しかったり嫌なことがあっても、これを読んだらみんな、やさしくあたたかい気持ちになれるんじゃないかな。

  • 私好みのファンタジーでした。

    日常の中の ちょっと不思議なお話で、いまでは記憶のない昔に、そんな事があったかなと思えるような、そんな気がするお話でした。

  • 絵が見たかったので。おはなしの力と絵の力と。

  • 設定がとても面白かった! それだけでも嬉しいのに、優しい文体がクセになります。

  • 小夜のお母さんはやまんばの娘。お父さんと結婚しますがある日風になって帰らず、それきり。山で旅館を営むお父さん、おばあちゃんと暮らす小夜に起きる出来事を描いた連作童話。様々な体験の中で小夜は自分の中に母親の血を感じるのですが、果たして母親ややまんばに会えるのでしょうか。残酷で切ない、しかし同時にあたたかな幸せに包まれる結末。安房さんは子供だからといってはぐらかさないところがすごい。

  • ハーフだからいつも境目でふわふわしておるのだな。
    でも最終的にふつうの子になっちゃうのか。

  • なじ■

    「山の子」小夜の、優しく、綺麗で、悲しい物語。

    情景描写の豊かさにうっとりし、
    小夜の心根の可愛らしさに気持ちが現れるようでした。
    ラストがどうしようもなく切なかった…

  • [ 内容 ]
    山のふもとの旅館の娘小夜は山んばの娘。
    毎日のように深い山の中を歩き、山の精とあそぶ。

    [ 目次 ]
    花豆の煮えるまで
    風になって
    湯の花
    紅葉の頃
    小夜と鬼の子
    大きな朴の木

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • とにかく好き。寂しいし哀しいのだがなんかやさしい。

  • やまんばの娘から生まれた、小夜の物語。

    やまんばの血を引くこともあり、自然の声を聞くことのできた小夜は、自然と近しい関係、もといやまんばの世界に近いところで生きていた。しかし、新しいお母さんになるかもしれない人間の女性の登場により、少しずつやまんばの世界から距離をとっていく…のかな。

  • 日本のファンタジーもいいな~と思わせてくれる一冊。

    山姥と人間の子の小夜のお話。
    山の自然のリアルと山姥やてんぐ、紅葉の精、鬼の子などのファンタジーの組み合わせがしっくりきている。
    ありえないような世界が描かれているにもかかわら、なつかしい。

    P36「風になる、風になる、わたしゃ、山の風になる」

    P79「ね、ないしょの話してあげる。こんど川に流れてきた紅葉をひろって裏返してごらん。そこに、手紙が書いてあるから」
    「だれが、手紙を書いたの」
    「山のうさぎ。うさぎは、手紙を書くのが好きだから」

    P102「十(とお)より上の人間とはつきあわないぞ」


    ★偕成社ワンダーランド★
    http://www.kaiseisha.co.jp/index.php?keyword=%E5%81%95%E6%88%90%E7%A4%BE%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89&page=shop.browse&option=com_virtuemart&Itemid=9&limit=8&limitstart=0

  • これは珍しく、小学校の頃学級文庫にあって読んだもの。表紙カヴァーがない状態だったので、記憶にあるのとは違う印象なのだけど、たぶんこの本。
    静かで落ち着いた語り口、ゆったりとした時の流れを感じる。少々古めかしく感じる部分があるのは否定できなく思うけれど、だからといって世代の違う子どもたちが楽しめないということではない。丁寧に紡がれるおはなしは、いつの世でも惹き込む力をもっている。
    細々とでも、こういうおはなしが残ってゆくと良いなと、思う。

  • 優しく可愛いふしぎな話。
    舞台はずっと昔かと思ったら意外と現代でびっくりしました。でもそこが良い。
                             
                      

    最後の話、小夜の手からふわっとふしぎなものが離れていくような感覚でした。
    寂しいんだけれど、決して悪いことではない感じ。でも寂しいんです。

  • 秋が深まるとこの本を手に取りたくなる。ふっくりと甘く煮た花豆を出す温泉宿を探しに、紅葉した山々をめぐりたくなる。

  •  偕成社の「ワンダーランド」シリーズは、守り人はじめ良作が多い!!これもそのひとつ。我が家ではお正月に黒豆の代わりに花豆を煮るのだけど、そのたびにこのお話を思い出す。

  • 険しい冬(吹きすさぶ雪!)の夜に読みたくなります。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安房直子の作品

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