夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)

著者 :
制作 : 二木 真希子 
  • 偕成社
3.91
  • (205)
  • (216)
  • (252)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 1303
レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035402305

作品紹介・あらすじ

人の世界とは別の世界で花をつけ実をむすぶその"花"は、人の夢を必要としていた。一方、この世をはかなんでいる者は、花の世界で、永遠に夢を見つづけることを望んだ。いとしい者を花の夢から助けようと、逆に花のために魂を奪われ、人鬼と化すタンダ。タンダを命をかけて助けようとするトロガイとチャグム、そしてバルサ。人を想う心は輪廻のように循環する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  期待が大きすぎたせいか、前2作に比べてつまらなかった。
     又、この冒険の後、バルサとタンダの2人が結ばれるのかな?って思っていたけど、それがまだまだ先になりそうなのが、残念でした。

  • 〈花〉のファンタジーランドとして楽しく読了。再読の今回は、強い共感というよりも理解の深まりの紐解きの楽しさだった。

    共感がやや難しい理由は、はやい時点で明確に意識できた。「夢」には、大きく2つのタイプがあって実現への力強い推進になる「夢」と実現不可能で現実からの逃避の妄想のような「夢」があるのではないかと思っていた。「夢の守り人」の「夢」は後者に大きく傾いている。弱い心の逃げ込み、逃避先として描かれている。抗い様のない、そして安らぎや休息の心をとても大事には思うのだけれど、その心に「夢」という言葉を使うことに違和感がある。「夢」は逃避やリラックス、夜の世界のまどろみだけではない、むしろ生きる活力、エネルギーの源であってほしいと。「夢」という素敵な言葉を負に寄った捉え方をして良いのだろうか。この作品で夢を妄想・逃避と変換するならば分かり易かった。が、これでは作品から香る人の心の弱さに思いを寄せる優しさが削がれてしまう。

    実現推進となるつまり前者のタイプの「夢」が、4箇所あった。タンダの「おれの夢のみおれのものなり」とつぶやく、花守りになってしまう時の最後の抗い。シュガが微笑みながら思う「いつ役にたつかわからないものを追い続け、考え続ける」という夢。ユグノの最後の夢「歌いたい」という強烈な思い 。そして、トロガイ師 の夢。タンダ曰く「〈花〉の夢からは帰ってきたけれど、呪術師になっちまったんだからな(夢から帰ってこなかった)」

    このトロガイ師の「夢」でハッとした。妄想の夢から覚め戻り、現実の力に、夢の実現にしていったのだなあと。私の思っていた2つのタイプの夢を行き来したことに気がついたのだ。「行き来する」に思いを至らせれば、ユグノの歌もより広く捉えることができる。励ましの歌、さざ波よりも繊細に大気を揺らす、響きが響きを織る歌、夢のいざないともなる歌。歌風の息吹をのせられる「夢」の様々なありようを軽やかに呼吸のように感じていたら良かったのだ。
    物語では、受粉の時期との結びつきから「夢」という言葉は、強烈な形での人の弱さの現れとなったのであろう。物語に表出しなかった色々な夢の形、歌はそれを励ましたり掻き立てたり、沈めたり、誘ったり、どうかすると追い込んでしまったりしていたのだろう。
    「夢のタイプは大きく2つの意味でわけられるが、その時々の心のありようで実現の活力になるものと逃げや安らぎの温かさとの2つの意味を行ったり来たり、あるいは真ん中でとどまったりする。」と言い換えようと思う。
    「夢の守り人」というタイトルは、「人々の夢を守る人」とまずは感じる、が、一読後は、「現実から逃避し夢に逃げ込んでしまう魂を〈夢〉から救い守る人」と解釈せざるを得なかった、腑に落ちないわだかまりをちょっと抱えながら。事件の解決の足取りをシンプルにみれば、そう感じても無理はない。トロガイ師やタンダの呪術師としての手助けは、やはり人々の迷い逃避からの引き戻しではあろう。
    が、物語を大きく俯瞰すれば、「心を現実に引き寄せて生きる力、夢を実現させようとする力、(欲望や憎しみも含めて)夢を抱き続ける心」を守っている人という言い方で包んで良いように感じられてきた。人は弱さを抱えている、が、共に人々と関わりながら夢を抱いて生きて行くこと、力強く生き得ることができるのだ。そう、人の織りなす普遍的な美しさが綴られた物語であった。

    シリーズ全体の中で、うーんよくわからないと思っていた作品をこのように読み返しができてとても嬉しい。素晴らしい作品は、いく層もの、読み手の数ほどの織物を見せてくれるのかもしれない。

  •  上橋菜穂子にしては珍しく、読後感にスッキリしない印象を受けました。

     今ひとつ「花」の生理が理解できなかった。
    ( トロガイ師も、「はるかなむかし、おまえの魂から<花>が生まれたのか、<花>からお前の魂が生まれたのか、それとも、もともとそういうひとつの生き物なのか、それはわからない。」と仰っていますので、まさに種明かしされない謎が残る。 )

     今回は木霊<リー>が姿のない精霊だったのも「スッキリしない」の一因。
     『闇の守り人』はラストで<闇の王><闇の守り人>の正体が明かされ、登場する精霊もオコジョに乗った小さい人(挿絵つき)。手触りのくっきりしたファタジーです。
     それに比べて、今回の『夢の守り人』は、<花>の正体が謎で木霊も不可視。どこまでも沈み込む夢のような曖昧さを感じます。深いんだけど・・・もうちょっと説明してくれても・・・と。


     「なぜ人は体に余るほど大きな魂を持ってしまったのか」と懊悩するタンダは良かったです。他の動物たちと違って、生きるためだけに生きられない人間の性。うつ病や自殺でごわっちゃーな現代社会には重大なテーマだなと。

     富士見ファンタジアでSF書いてる あざの耕平 も、「人間はなぜ生に膿むのか」という疑問を挙げて、「ひょっとして、生と魂ってのは、相性が悪いのかな?」という表現を作中でなさっていた。同じ疑問ですね。魂ってなんだろうね。

  • 冒頭から読み進め、「なるほど今回は呪術師トロガイの過去に焦点を当てた物語か」と思いきやさにあらず。
    眠りから覚めない人々、
    突然現れた旅芸人、
    トロガイの過去が折り重なり伏線を作り上げ、
    壮大な展開へと流れ込む。

    「現実が辛いものに良い夢を見せ、そこから目覚めさせないようにする」という行為は背筋に寒気が走るが、それでも夢に逃避してしまうということはあり得るだろう。
    物語自体の完成度もさることながら、いろいろ考えさせられる一冊。

  • 再読のはずなんだけど…。

  • ファンタジーを書ける人は想像力が豊かなんだろうなぁ。

  • 優しさが仇になる時もある。人じゃない者と恋に落ちたから、人の暮らしから離れてもそんなに淋しくないのかな?幸せな夢ってすごい魅力だよなー^_^;

  • 2刷6月。図書館本。 111

  • 3冊目。再読。
    タンダが気に入っているキャラクターなのですが、活躍したようなしていないような。
    チャグムが出てくるところが好きなので、次巻も楽しみです。

  • おもしろかった、が
    一作目二作目がおもしろ過ぎたせいか
    若干の肩透かし感が

    結局、タンダとはそのままだしー
    チャグムが出てきたのは嬉しかったけど

    バルサには、穏やかな日々のなかで生きてほしいな

全129件中 1 - 10件を表示

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)のその他の作品

夢の守り人 (新潮文庫) 文庫 夢の守り人 (新潮文庫) 上橋菜穂子

上橋菜穂子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森 絵都
荻原 規子
荻原 規子
上橋 菜穂子
荻原 規子
荻原 規子
上橋 菜穂子
有効な右矢印 無効な右矢印

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)を本棚に登録しているひと

ツイートする