おかあさんのつうしんぼ (偕成社文庫2078)

著者 :
制作 : 伊勢 英子 
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035507802

感想・レビュー・書評

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  • 働く親として,すごく心にしみた1冊です.

    この間,「小学校の先生が職場の入学式を休んで自分の子供の入学式に出た」ことがニュースになりました.非難や擁護など,いろんな意見が飛び交いましたが,30年も前に出ていたこの本の冒頭が,まさにそんな始まりだったのでびっくりして読み始めました.自分の母親も小学校の先生である子供の視点から丁寧に取り扱っていて,読みながらすごく納得しました.

  • 子供向けなのだろうけど、このお話に出てくる大人のあり方なんかは、親としていろいろ考えさせられる。
    学校を休んで子供の入学式へ行った有波先生。
    その先生のクラスの夕子のお母さんも教師。
    でも、夕子のお母さんの千葉先生は、学校を休んで入学式に来てはくれませんでした。
    有波先生は、一人で何もかも頑張ろうとする事は不遜であると考えるようになったと、夕子の家庭訪問に行った時、夕子のお母さん(千葉先生)に言います。
    夕子のお父さんは、夕子が1歳の頃に亡くなっていました。
    それからずっと、夕子のお母さんは一人で夕子を育ててきたのです。
    もしかしたら、片親である事を責められないように、頑張りすぎているのかも知れないと思いました。
    「お母さんは甘えていられないのよ」という言葉を聞くと、夕子は嫌な気持ちになっていました。
    夕子のお母さんは、周りに甘えない代わりに、夕子に対して甘えのようなものがあったのかも知れません。

    夕子のお母さん(千葉先生)のクラスには不登校の男の子が、
    有波先生のクラス(夕子のクラス)には給食を一度も食べた事のない女の子がいます。
    有波先生はクラスの子供たちに、給食を食べれない田丸さんがどうしたら食べられるようになるのか一緒に考えたいと言います。
    千葉先生は、不登校の橋本くんの家を一人で毎日訪問します。

    2人のお母さん先生は、それぞれ考え方やり方が違います。
    でもそれは、どっちが正しくてどっちが間違ってる、という事は本の中では言われません。
    学校を休んで入学式に行った有波先生は、「初めての日だって言うのに、気楽に休まれては困るわね」などとクラスメイトのお母さんに陰で言われたりします。夕子のお母さんも「甘えてるわね」と言います。
    でも、夕子は入学式に来てくれる方がいいと思います。それぞれの立場、考え方、きっといろいろあって、一つを選べば一つを失うのかも知れません。

    私は母親の立場で読んでいましたが、子供がこれを読んで動感じるのだろう、と思いました。
    子供にとっては、仕事で忙しいお母さんより、そばにいてくれるお母さんの方がいいのでしょうね。
    だから、夕子はもっと母親を糾弾するのだろうか、と思いましたが、そんな事はありませんでした。
    親を完璧な存在、親の考えは絶対、という時期から成長して、親にもいろいろな面があるのだと知る時期が夕子に来たのでしょう。
    そして夕子のお母さんも、一人だけで頑張ろうとするだけではなく、周りの意見も聞こうという態度に変化しました。

    個人的には、夕子のクラスの田丸さんが気になりました。
    学校ではお話をすることが全く出来ず、給食も食べられない女の子です。
    夕子だけは、幼いころから近所で一緒に遊んでいたというのもあって、学校の外でなら元気にお喋りし、よく食べる田丸さんを知っていますし、よくお話もします。
    田丸さんと一番親しいというのもあって、先生はいつも夕子に「田丸さんの事よろしくね」と頼みますが、夕子には負担になっていました。
    そういう事ってきっとあるんだろうな、と思います。
    困っている子の事は助けてもらいたいけれど、それを強要する事になると負担になってしまいますよね。
    どんなやり方なら、困っている子を助け、なおかつ、助けている子の負担を減らせるのかというのは、考えなければならない問題だと思います。

  • 図書館で見かけて、とても懐かしく思い借りて読んだ。
    小学校の先生をしているお母さんを持つ夕子のお話。
    ウサギの結婚式や、農園の話など、小学生のときに読んだことをなんとなく覚えていて不思議な気持ちになった。

  • つい先ごろ、学校の先生が、勤務先の学校の入学式を休み、
    自分の子供の入学式へ出席していた、
    と言うニュース(と言うほどのものでもないが)を目にし、
    「あれ、こんなエピソードのあった本あったなあ…」と思い出し、
    久しぶりに図書館で読んできた。

    この作者宮川ひろさんは元教師で
    その経験を生かした著書多数。

    私も幼い日々せっせと読んでいた。
    図書館で借りたり、
    あと家にもけっこうあったなあ。
    母上がきっと買ってくれていたんだな。

    主人公の夕子は三年生になった始業式、
    クラス替えの発表で担任の先生が有波先生ときいて喜ぶが、
    その姿が見えないのを不思議に思う。

    教室で代わりに現れた先生から、
    「有波先生は今日、自分の子供の小学校の入学式に行っている」と
    聞かされる。

    「いいお母さんになって、いい先生になって戻ってくる」と
    説明をうけるクラスのみんな。

    有波先生自身も迷い、始業式に出ようとするが
    他の先生の応援もあって、自分の子供の入学式の出席を選ぶ。

    クラスメイトはそれを聞いて喜ぶが、
    夕子の心は晴れない。

    なぜなら、夕子の母親も教師で、
    自分の入学式は来てくれなかったから。

    自分の子供の入学式に来なかった自分のお母さんは
    「いい先生」ではないのだろうか?

    翌日、教室にあらわれた有波先生から
    あることが話される…

    この、主人公夕子ちゃんが、
    幼いながらも、様々なエピソードに悩み、
    傷ついたり、理解したり…と言う
    非常に現実味のあるストーリーで
    大人になった今でも十分楽しめた。

    また、今度は今や大人の私、
    昔読んだときには厳しい人、と言う印象が大きかった
    夕子ちゃんのお母さんにも
    シングルマザーで頑張ってる、
    弱音をはけるのは夕子ちゃんの前だけ、
    と言う一人の女性という視点から読むことが出来、気付きも多かった。

    まだ三年生の夕子ちゃんだけれど、
    お母さんのことを心配し、
    「お母さんはこういうところがある」と
    静かに観察して、応援しているのが面白かった。

    クラスメイトに給食が食べられない子がいたり、
    お母さんの担任するクラスに学校に来ない子がいたり、
    自分が小学校のころへタイムスリップしたような
    貴重な読書時間であった。

    児童書のコーナーのソファで
    こらえても、どうしてもあふれ出る涙を
    タオルハンカチで拭き拭き読んでいたので、
    変だったかもしれません。

    冒頭のエピソードに関して言えば、
    こんなことは日本全国をかけ巡るような話ではない、
    と言うのが大前提、

    最近は小さなことをああだ、こうだと
    あげつらうようなこと、多いですねえ。
    まるで犯罪でもおかしたような雰囲気で
    大騒ぎってなんでしょう。

    正しいか正しくないかを
    決めなくてもいいこともあると思うけどなあ。

    まあ、でもおかげでこの
    懐かしい本を読み直せた、と言うことはある。

  • 子育てをしながらの、仕事をする女性の大変さ、その子供、両方への応援歌。

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