子ぎつねヘレンがのこしたもの (偕成社文庫 2095)

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  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035509509

感想・レビュー・書評

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  • なんとなくタイトルだけは知っていたが、しっかり読んだことがなかった。すごい可愛い。写真がめちゃ可愛い。子ぎつねの可愛さの破壊力が、半端なかった。

    野性動物の獣医さんの苦労(お金にならないけど、見捨てられない)が、ユーモアたっぷりに書かれていてよかった。

    主役である子ぎつねヘレン以外の、スズメや大人キツネなどの脇役たちも愛らしかった。

    耳も聞こえず、目も見えず、嗅覚もないヘレン。彼女とコミュニケーションをとろうとする夫婦に、コミュニケーションというのはこちらの思い込みでこれが欲しいんでしょ?と押しつけるものではないんだな、考えて考えて、相手の立場になりきってやっと伝わるものなんだな、と感じた。

    死に場所を定めたようにやってくる野性動物たち。それを受けとめる私たち。死は、遅かれ早かれどんな個体にでも訪れる。ではなぜ、目の前で殺してはいけないのか。生き延びるわずかな間に苦しむだけならば、生きさせられることは決して幸せではないのではないか。

    死にゆく動物たちの、ほんのわずかな生を見届けた彼らからの問いかけは重く、心にのしかかります。子どもから読める命の教科書です。

  • 読み終わって感じたことは、この続きが気になる〜と思った。こういう終わり方だと、想像できるかすごいいいなと思いました。
    面白いと思ったシーンは、面白いっていうかすごいと思ったことだけど、ヘレンが目が見えなくて耳も聞こえないと思うのに、自分でおりの形がわかったのがすごいと思った。
    好きなセリフは、「この子ぎつねも、ヘレン・ケラーより重い障害をもった生き物になる可能性があります。私たちは、どうかそれに負けないような一生を送ってほしいと思ったのでした。」というセリフです。このセリフは、75〜76ページにのっていました。
    この本は、動物好きの人には、特におすすめします。なぜかというと、本当に感動するお話だからです。私も動物好きなのですが、かわいいところもあるし、泣いちゃいそうになるところもあるので、本当におすすめします。

  • 「キタキツネの子ヘレンは、道路わきにうずくまっているところを保護されて、獣医の竹田津先生のところへつれてこられました。ヘレンはどうやら目が見えず、耳も聞こえないようです。ミルクをあたえても、見向きもしません。でも、先生夫妻の懸命な介護で、ヘレンはやがて…。小学中級以上向き。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    竹田津/実
    1937年大分県に生まれる。岐阜大学農学部獣医学科卒業。野生動物にあこがれて、北海道斜里郡小清水町農業共済組合・家畜診断所に獣医として赴任。’91年に退職。’66年からキタキツネの生態調査を始め、’72年より、傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリに取り組む。写真家・エッセイストとしても活躍」

  • 交通事故で脳に損傷を受けた子ぎつねヘレンの1か月の記録です。

    目、耳、鼻も不自由な子ぎつねに対する獣医、そしてその妻の深い愛情が表れていますし、そういうヘレン・ケラーのような状態がどんなものかわかるような気がします。

    ちなみに、映画を観た後でよみましたが、映画では主人公の少年は出てきませんでした。

  •  北海道に住む獣医の竹田津夫妻が、保護したこぎつねを育てる話。
     
    こぎつねは、聴覚、視覚、嗅覚(味覚も?)に障害があり、保護される前に事故で脳に損傷を負ったのではないかと思われる。自然界であれば、淘汰されてしまうであろう命を、最初は安楽死という方法も考えたが、竹田津夫妻は必死につないでいく。
     
     ヘレンケラーにちなんで、ヘレンと名付けられたこきづねは、驚くべき方法で竹田津夫妻を判別し、安心して身を委ねるようになる場面が生命の不思議さを感じさせる。
     
     最後は、悲しい結果となるが、作者の最後の一文、
    「わたしは、死ぬためにやってきたとしか思えないヘレンが、いったいなにを伝えたかったのだろうかと考えていました。」に、胸を締め付けられる思いがしました。しかしながら、ヘレンは、短い時間のなかで、竹田津夫妻、母代わりのキタキツネ、メンコには、多大なる喜びと充実感を与えたのであろうと感じた。

    命を預かる仕事をされている方々には頭が下がる思いである。

    ほほえましく思ったのは、夫の獣医は、動物に嫌われることが多く、妻の看護師役は、動物に好かれるのだそうだ。手術や注射、命を救うためとはいえ、痛いことや辛いことばかりする人、術後献身的に心身を支えてくれる人の違いははっきりと判別し、獣医の夫には懐かなく、妻には甘える動物が多いそうだ。命を救っているのに、なんとも損な役回りだ。

  • 動物の生死は感動的ね…

  • 獣医の竹田津先生の元に保護された子ぎつねがやって来る。野生動物が事故などでかなりの障害を持ってしまい、そういった動物は多くの場合は安楽死させるようだ。人間も、動物も長く苦しまない為に。しかし、重い障害がありながらも幸せそうに長生きした子も知っている先生の葛藤と、生きるとは、命とは?を考えさせられる。
    多くの小学生は、とても純粋で、どんなに世話が大変でも生かしてあげたい。生きていれば幸せになるはずと疑いなく思うようです。
    動物も子どももただひたすらに生きるという感じかな。大人はもっと余計な事に貪欲になってしまい、生きる姿勢を学びたくなります。

  • 20131006
    M図書館

  • 今までに読んだ本の中で一番心にのこりました。私は、この本を読む前、表紙を見てヘレンはオスだと思っていたけれど、メスのキツネだったのがびっくりしました。

  • 子ぎつねヘレンは、目が見えず、耳も聞こえず、保護されて竹田津先生のところへ行きました。ヘレンの生活、様子が見どころです。

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著者プロフィール

獣医師,動物写真家


「1992年 『☆新版☆ 北海道の鳥』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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