オックスフォード物語: マリアの夏の日

  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036315604

作品紹介・あらすじ

きゅうくつな女子校を逃げだしたマリアはオックスフォードの大おじのもとに身をよせる。まっていたのは、となりの家のスミス三兄弟とのっぽでおかしな家庭教師、そして古い屋敷にのこされた少年のなぞ。十九世紀末の大学街を子どもたちがかけまわるとっておきの英国児童文学!小学校高学年から。

感想・レビュー・書評

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  • これは本当に児童書? と疑いたくなるハイレベルな内容(ルビがあるんだから児童書だよね)。主人公マリアはがちがちの学校になじめず意を決して脱走、オックスフォードの学寮長をしている大おじのところにころがりこむことに。
    時は19世紀後半、舞台が舞台なだけに、至る所にラテン語が渦巻き、古典が引用され、なによりオックスフォードそのものがわかっていないと(図書館利用のときの“誓い”は林望のエッセイにもあったっけ)。で、まだローティーンの彼女がふと興味をもった古い屋敷の肖像画の少年のプロフィールを調べ上げていくストーリー。
    児童文学でよくテーマになる夏の日の大冒険にはこんな知的なものもあるなんて、イギリスはあなどれないなあ。

  • 雰囲気とてもよいです。
    驚くべき大冒険と言うほどではないかも。でも読んでて気分は悪くない。

  • 女子校を逃げ出した少女マリアと隣の家の三兄弟と繰り広げられる一夏の冒険物語。

    きっと季節は今頃、盛夏のころの話なのだろう。主人公の少女マリアは利発なのに気が弱く、少しとろいところがあって女子校にうまくなじめていない。そんなある日宿題でドイツの地図帳をうまくかけなかったが故に来週罰が与えられると聞いて学校を逃げ出してしまう。

    何となく分かる気がするのは自分が少女だった頃を思い浮かべるためだろうか。あの頃は先生が絶対で、宿題ができていないことは自分の自尊心を酷く傷つけるものだった。今となってはひとつや二つ抜けていても死にゃしないだろ、と開き直れるのに、あの頃はすべてが怖かった。

    それでもマリアは引っ込み思案の割には酷く大胆に行動する。いきなり学校を抜け出して大叔父のところにたどり着くことも幸運、またラテン語やギリシャ語を教えるようになりたいと主張する。
    そこで隣のやんちゃな三兄弟と家庭教師との一夏が始まる。

    その中で出てくるのがエルサレム屋敷とそこに残されていた絵画だ。
    家風代わりな家庭教師のコプルストン先生につれられて見学に言った先でマリアが見入られた肖像画。また、無念なメッセージ。その謎を追ってもう一度屋敷に忍び込んで、またはボードリー図書館とやらに忍び込んでスティーブン・フィッツザカリーの生涯を紐解こうとする。
    そして夏休みの休暇中に大叔父と一緒にいった田舎でそのすべての謎が明らかにされる。

    小さなマリアの行動力にハラハラしながら、また夏の暑い描写と外の景色に共感しながら楽しめた一冊だった。

  • 要領よくないマリアに親近感を抱きながら読みすすめると、彼女はだんだんたくましく成長していって…。
    ドキドキするシーンもあるのに、なぜか、ゆったり感じられる空気感。
    けど、古めかしくは決してなくて。
    見事なまでにまっすぐ、マイペースなキャラたち。
    大おじさんのファンになりました。

  • とても面白かった!オックスフォード大学の架空の学寮に10才の女の子が住む。プルマン氏も昔読んだに違いない。「結婚相手を決める前にクロケーの試合をすること。クロケーくらい人の性格をあらわにしてくれるものは他にない。」コニー・ウィリスも子どもの頃読んだんじゃない?ボードリアン図書館や学者たちの研究生活の様子など興味深いです。

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