雪だるまの雪子ちゃん

  • 偕成社
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本棚登録 : 441
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036430604

作品紹介・あらすじ

あいらしく、りりしい野生の雪だるまの女の子雪子ちゃんの毎日には生きることのよろこびがあふれています。著者が長年あたためてきた初めての長編童話にオールカラーの銅版画を添えた宝物のような1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 児童文学のカテゴリに入るのでしょうけれど、大人が読んでもじゅうぶん感受性を揺さぶられるものがあると思います。

    山のふもとの小さな村のはずれに、ひとりで住んでいる雪子ちゃん。雪子ちゃんはふつうの雪だるまとはちがって、正真正銘、野生の雪だるまです。
    この発想にもう、やられてしまいます。
    しかも雪子ちゃんには家族がいるのですが、実在はしていなくて、雪子ちゃんの「記憶のなか」にだけ存在しているという…。雪子ちゃんはその「記憶のなか」のお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんと時々お話をして、いろいろなことを相談している。
    「こわがるのはいいことだよ。(…)だって、注意ぶかいほうが不注意よりずっといいだろ?でもね、雪子、雪だるまにとって、こわいからといって凍りつくのは致命的なことだ」「いいかい、おじょうさん。こわいと思ったら、力いっぱいにらみなさい。にらんで、それがどの程度危険なものなのか、推し量るんだ」
    そう言うお父さんの言葉どおり、雪子ちゃんはどんな未知の存在にもひるまず臨んでいきます。
    「わたしは雪だるまの雪子よ。あなたはだれ?」かならずこうして自ら名のり、相手をたずねる雪子ちゃんの、なんと勇ましいこと!

    百合子さん、たるさんという素敵なお友だちと過ごす時間を楽しみ、学校に行っては子どもたちとも仲良くなり、雪子ちゃんはどんどん世界を広げていきます。

    雪子ちゃんの好物はバター。たべやすいように、四角く切りわけて、いつもつめたく冷やしてあって、気持ちをつよくしたい時にはいつでもバターを一つ口に入れる。
    趣味は読書。とは言っても字は読めないのだけど、「重すぎもせず、軽すぎもしない」「ちょうどいい重さのものである」本が好きらしく、「紙と、古いもののにおい」や、「ひんやりとしめった、気持ちのよい感触」を楽しみながら小さな手でページをぱらり、ぱらり、とめくっていく。

    読み終わる頃にはすっかり雪子ちゃんが私の「記憶のなか」に居座っていて、愛おしい、たいせつなお友だちになっていました。

  • 童話だけど、残酷さや教訓めいたものは一切無くて
    世界に驚きや新鮮さが溢れていた子供の頃の感覚を
    思い出させてくれるような、
    野生の雪だるまの雪子ちゃんのお話。
    冷たいバターを舐めるのが雪子ちゃんの好物なんだけど
    それが妙においしそうに感じるから不思議。

    挿し絵が微妙にかわいくないところがかわいい。
    装丁やタイトルも含めて全体的に非常にかわいらしくて
    優しい本でした。

  • 野生の雪だるま、雪子ちゃんが主役の読みやすい童話風なファンタジー小説。ていうか、野生の雪だるまって自分で書いててなんだけれど、面白いな。

    雪子ちゃんは野生の雪だるま。バターが好物。暖かくなると休眠に入るの。字はあんまりわからないけれど本が好き。ネズミと友達になりたくてベットにクッキーを蒔く。自由気ままでオシャマな雪子ちゃんと一緒に、本の世界をウロウロのんびり楽しみましょう。

    ていうか、野生の雪だるまって…!!

  • 娘が読書感想文用に選んだ1冊。
    江國 香織さん、透明感がありすぎて、です。ます。ました。の文章の小説が苦手な私は避けてきた作家さん。
    でもこれを期に、もっと江國ワールドを知りたいと思いました。
    です。ます。の小説は、私を眠くさせるのだけど、
    この雪子ちゃんの世界は、いつまでもその世界を忘れられない、
    そんな何かがありました。
    野生の雪だるまなんです。彼女。知りたくなります。

  • 未曾有の大雪の日に空から降ってきた野生の雪だるまの雪子ちゃんの物語。まずこの、野生の雪だるまという設定が新しくて気に入りました。小さな雪子ちゃんの視線から見る冬の景色や動物達や人々の生活の様子は不思議なものやビックリするものや素敵なものでいっぱい。たぶん子供の頃はこんな感覚で冬の世界を見ていたかも…と童心に帰る思いで読みました。百合子さんやたるさん、りゅうやちなみとの交流も楽しくて心温まりました。厳しくも美しい北国の冬の自然とかそこに暮らす人々の人情がしみじみと静かに伝わってきます。ページをめくるごとにいろいろな形の雪の結晶が描かれているところが素敵だし、江國香織さんの文章がいちいち雪の結晶みたいに詩的な美しさに溢れているので心が浄化される思いでした。挿絵の雪子ちゃんはちゃんと野生みがあって不思議かわいいです。(笑)
    大切な人と分かちあいたい宝物のようなファンタジーでした。

  • 『雪子ちゃんは正真正銘、野生の雪だるまだからです。そして、そのことを大変誇りに思っています。』

    雪子ちゃんには、隣人の百合子さんがいます。
    小学校の生徒や先生もお友達です。
    いつか溶ける日まで、精一杯、楽しく自由に生きています。
    素敵な絵本です。心温かく読了です。

  • 粉雪ふわふわ温かい粉雪のようなお話。雪子ちゃんが自立した野生の雪だるまで、良い塩梅だった。作品から醸し出される雰囲気がたっぷりとしていて、開いているだけで満たされる本。山本容子さんの絵も明るくて優雅。浸っていて読みが進まなかった、そんな作品です。

  • 生きている雪だるまの雪子ちゃんの物語だが、現実から離れ過ぎず、1センチ浮いているくらい。
    周囲の人間達は皆温かいが、雪子ちゃんに過剰に干渉しない。
    その距離感がちょうどいい。
    雪子ちゃんがちょっと小憎たらしいのも、山本容子さんの挿画が可愛過ぎないのも、ちょうどいい。

  • 野生の雪だるまの雪子ちゃん。

    画家のおばあちゃん、百合子さんの家の隣の物置に住み、気が向いたら学校へ行ったり、百合子さんと遊んだり。

    まだ小さい雪子ちゃんの世界はとても美しい。

    そして周りの人間達もとても優しい。
    ゆったりと優しい気持ちになれる物語だった。

  • 丸くて白い雪子ちゃん、かわいい‼️

    それから、学校で友達になったちなみちゃんのお母さんが、マンドリンを弾けるってとこが気に入りました〜^o^

    山本容子さんの銅版画も綺麗でした。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。
1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。
代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。

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