雪だるまの雪子ちゃん

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 497
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036430604

作品紹介・あらすじ

あいらしく、りりしい野生の雪だるまの女の子雪子ちゃんの毎日には生きることのよろこびがあふれています。著者が長年あたためてきた初めての長編童話にオールカラーの銅版画を添えた宝物のような1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 冬になると読みたくなる本。今やってるゲームが丁度、雪だるま…で久々に物置から出してきました。

  • 児童文学のカテゴリに入るのでしょうけれど、大人が読んでもじゅうぶん感受性を揺さぶられるものがあると思います。

    山のふもとの小さな村のはずれに、ひとりで住んでいる雪子ちゃん。雪子ちゃんはふつうの雪だるまとはちがって、正真正銘、野生の雪だるまです。
    この発想にもう、やられてしまいます。
    しかも雪子ちゃんには家族がいるのですが、実在はしていなくて、雪子ちゃんの「記憶のなか」にだけ存在しているという…。雪子ちゃんはその「記憶のなか」のお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんと時々お話をして、いろいろなことを相談している。
    「こわがるのはいいことだよ。(…)だって、注意ぶかいほうが不注意よりずっといいだろ?でもね、雪子、雪だるまにとって、こわいからといって凍りつくのは致命的なことだ」「いいかい、おじょうさん。こわいと思ったら、力いっぱいにらみなさい。にらんで、それがどの程度危険なものなのか、推し量るんだ」
    そう言うお父さんの言葉どおり、雪子ちゃんはどんな未知の存在にもひるまず臨んでいきます。
    「わたしは雪だるまの雪子よ。あなたはだれ?」かならずこうして自ら名のり、相手をたずねる雪子ちゃんの、なんと勇ましいこと!

    百合子さん、たるさんという素敵なお友だちと過ごす時間を楽しみ、学校に行っては子どもたちとも仲良くなり、雪子ちゃんはどんどん世界を広げていきます。

    雪子ちゃんの好物はバター。たべやすいように、四角く切りわけて、いつもつめたく冷やしてあって、気持ちをつよくしたい時にはいつでもバターを一つ口に入れる。
    趣味は読書。とは言っても字は読めないのだけど、「重すぎもせず、軽すぎもしない」「ちょうどいい重さのものである」本が好きらしく、「紙と、古いもののにおい」や、「ひんやりとしめった、気持ちのよい感触」を楽しみながら小さな手でページをぱらり、ぱらり、とめくっていく。

    読み終わる頃にはすっかり雪子ちゃんが私の「記憶のなか」に居座っていて、愛おしい、たいせつなお友だちになっていました。

  • 童話だけど、残酷さや教訓めいたものは一切無くて
    世界に驚きや新鮮さが溢れていた子供の頃の感覚を
    思い出させてくれるような、
    野生の雪だるまの雪子ちゃんのお話。
    冷たいバターを舐めるのが雪子ちゃんの好物なんだけど
    それが妙においしそうに感じるから不思議。

    挿し絵が微妙にかわいくないところがかわいい。
    装丁やタイトルも含めて全体的に非常にかわいらしくて
    優しい本でした。

  • 野生の雪だるま、雪子ちゃんが主役の読みやすい童話風なファンタジー小説。ていうか、野生の雪だるまって自分で書いててなんだけれど、面白いな。

    雪子ちゃんは野生の雪だるま。バターが好物。暖かくなると休眠に入るの。字はあんまりわからないけれど本が好き。ネズミと友達になりたくてベットにクッキーを蒔く。自由気ままでオシャマな雪子ちゃんと一緒に、本の世界をウロウロのんびり楽しみましょう。

    ていうか、野生の雪だるまって…!!

  • 娘が読書感想文用に選んだ1冊。
    江國 香織さん、透明感がありすぎて、です。ます。ました。の文章の小説が苦手な私は避けてきた作家さん。
    でもこれを期に、もっと江國ワールドを知りたいと思いました。
    です。ます。の小説は、私を眠くさせるのだけど、
    この雪子ちゃんの世界は、いつまでもその世界を忘れられない、
    そんな何かがありました。
    野生の雪だるまなんです。彼女。知りたくなります。

  • "野生動物"の雪だるま・雪子ちゃんが過ごす、ある冬の物語。子どものように無邪気で愛らしく、でも野生動物らしい凛々しさもある雪子ちゃんが毎日楽しく生きている姿に癒されます。ただ…雪子ちゃんの顔が…変にリアルで怖い(笑)まるで絵本のように癒してくれ、ずっと手元に置いて何度も読み返したくなるような作品でした。

  • 山本容子さんに惹かれて購入
    カバー表紙と
    カバー外した表紙の違い
    カラー挿絵など
    こだわりが詰まってる一冊
    夏に読んだけど
    やっぱり冬の冷たい空気を吸いながら
    読んだ方が良かったかな
    妙興寺のブックオフにて購入

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 読んでいると雪の日を思い出します。
    雪の日の空気の冷たさや寒さも感じられ
    さらに、じんわり温かな気持ちになれる一冊

    読んでいるとバターを口のなかで転がしたくなります。

  • 可愛らしい小説だった。優しい気持ちで、安心して読み進めた。何よりも装丁や挿絵が山本容子さんの作品だったのが、選んだ一番の理由。本まるごとが素敵な作品だった。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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