12月の夏休み ケンタとミノリの冒険日記

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036431007

感想・レビュー・書評

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  • 光村教科書紹介本 5年生

    日本人小学生のケンタとミノリは、ニュージーランドでお父さんのタモツさんと一緒に住んでいる。お母さんは日本でとても忙しい会社員をしている。
    お父さんのタモツさんは写真家だが、被写体になる物を見つけると見境なくどこまでもどこまでも追いかけて行ってしまう。ニュージーランドだって取材旅行で気に入ってそのまま住み着き、二人の子供を転校させたのだ。ニュージーランドは日本と赤道を挟んで反対側、大きさも似ている。でも季節は真逆。温かい12月は夏休みだ。

    三人が住んでいるのは、森の中の小さな小さなおうち(多分地理でいうNelson)。新年にはお父さんと「宇宙に一番近い場所」に向かうんだ。
    それなのに、お父さんはオウサマアホウドリを追っかけて行っちゃった。ケンタとミノリはお父さんの忘れ物を持って追いかけることになった。
    ニュージーランドの生態系は独島だ。恐竜のいた森、マオリの洞窟、海岸に転がってる卵みたいな形した土の塊。動物だって色々いる。翼を広げると3メートルもある大アホウドリ、人間が持ち込んだ肉食獣ポッサム、とんこつラーメンの匂いのする大きなアシカ、色んな種類のペンギン。
    二人で旅する小学生を遠くから見守る大人たちは、それぞれの強い思いでニュージーランドの自然に対している。
    長い旅でやっと出会ったお父さんと子供たちは「宇宙に一番近い場所」に向かう。そこは亜南極、南の最果ての島(キャンベル島)だ。人間の手が入っていない、そしてほかの島との交流もないこの島は恐竜時代から続いている。地球とは思えない奇妙な植物や鳥たちがいるんだ。

    ===
    子供たちの大冒険、地球だけど地球ではないような島、自分を持っていて子供を見守る大人たち。子供たちも楽しんで読めると思います。
    挿絵ではなくて写真が収録されているのでこれもわかりやすく、身近に感じます。オウサマアホウドリ、キャンベル島の不思議な植物、子供たちが干潮の時に砂浜を渡る様子など。

    …しかし大人としてはちょっと複雑。子供が自分の力で自然を進むという話はたくさんあるのですが、これはちょっと「大人の考える理想的な大人と子供」という感じがしてしまうのと、せせこましい日本でせせこましい生活をしている自分とは違うなあというのが浮き立ってしまう…
    登場人物に感情移入して一緒に冒険したり見守ったりという読み方ができれば面白い本だと思います。


    小学生なりにしっかり前に進む子供、自然と生きる大人って理想なんでしょうけれど、私には理想過ぎて。
    ただ羨ましいだけかもしれません。

  • ある兄弟の冒険物語(多分実話)

    お父さんが小さい古いデジカメひとつ忘れたからって子供たちに届けて欲しいという。
    子供たちは気軽に引き受けるがその道のりは険しく…。

    面白かったです。
    これは写真があるから実話なのかなって思ったけど後ろみたら物語って書いてあるから違うのかな。
    まあいいや(笑)

  • 10歳のケンタと7歳のミノリの兄妹は、写真家の父親とニュージーランドの森の中で暮らしている。父の忘れたカメラを届けるためケンタとミノリはバスに乗ったのだが、目的地に父の姿はなく。父を追ってニュージーランドを南下する兄妹の冒険。

    ニュージーランドってどんな国? それを知りたければこの本を読むのがいい。そう思わせるニュージーランドを舞台にした物語。
    アホウドリを追いかけてどんどん進んでいく父親を追う兄妹のふたり。途中で父親の友人である人たちと出会い、ニュージーランドの自然や歴史を知っていく。
    先住民の血を引く人、鳥の保護をする人、化石を調べている人、ロシアから単身赴任している航海士。それぞれの人たちの仕事を目の当たりにして、ふたりは様々なことを知り、そのことを考える。

    遥か昔から一度も大陸と繋がらなかった島ニュージーランド。だからこそほ乳類は少なく鳥の楽園であった。そこに先住民が移り住み、白人たちが移民して来るとともに様々な動物もやって来た。そのことで島はどのように変わっていったのか。
    特殊な生態系を持つニュージーランドという土地のことを、ケンタとミノリとともに読者も知ることとなる。

    頼る大人のいない場所にふたりきりになってしまうなど、アクシデントも舞い込みながらふたりの冒険は「宇宙に近い場所」へと辿り着く。
    読み終えた時には、日本とさかさまの国ニュージーランドの魅力に取り込まれるだろう。

  • 父親の仕事の都合で、ニュージーランドに引っ越してきたケンタとミノリ。
    写真家の父親は、撮影に夢中になると家に帰ってこなくなることもある。
    今回も、3人で旅行の計画をしている日までに帰ってくる予定が、
    どうやら遅れそうだ。

    そんな父親から、デジカメを忘れたので二人に撮影場所まで持ってきて欲しい、
    と連絡がはいった。
    二人は旅行用の荷物を持って、父親の撮影場所まで出かけることになった。

    目的地に着いたとき、迎えに来てくれた大人はいたけれども、父親はさらに
    先に出かけてしまっていて、ケンタとミノリはまた追いかけることになった。

    二人だけでニュージーランドの自然と向き合いながら、父親を追いかける
    冒険の旅。

    読者はニュージーランドに詳しくなれます。

  • 10歳の兄と7歳の妹二人のニュージーランド冒険旅行記のようなもの。

    頼もしいお兄ちゃんと、困らせることもあるけど意外としっかりものの妹。

    全くありえない話ではなく、真似できそうな気もしてしまう点で、冒険してみたい子にお勧め。

  • 良かったのは、小説つまり架空の話のはずなのに、突然現実感のある写真が載っていて、空想と現実が繋がる感じがよかった。自分の子供にも大自然の中で冒険させたいと思った。

  • 考えさせられるような内容は、「自然」を守るために、外来生物を殺すのを厭わない女性のエピソードくらいで、重い話は特にないけれど、このくらいの年齢の子が読むにはよくできた内容なのかも。

  • 子ども向けなので仕方ないけど、ちょっと物足りない。甥っ子、姪っ子にあげて様子を見てみようかな。ちょうど二人とも同じくらいの年だし。

  • ケンタ10歳、ミノリ7歳、パパ写真家。(ママは日本で忙しいキャリアウーマン)
    3人はニュージーランドに住んでいる。夏休みがはじまった12月。写真家のパパはオオサマアホウドリをカメラにおさめるために出かけて行ったのだが、小さなカメラを忘れたからと、ケンタとミノリに持ってくるようにお使いを頼んだ。
    ニュージーランドのはしっこ、北の森からはじまった、パパを追いかける旅。追いつくどころか、なんとパパは勝手にどんどん南さいはての島まで先に行ってしまうのだ。

    気弱なところもあるけれど、サバイバルもできるお兄ちゃんのケンタ、生意気で強気で絵を描くのが大好きなミノリ。ニュージーランドの自然の中で生長してゆきます。

    物語の中に写真がでてきているし、これって本当の話?と思うほど。
    もうせっかくだから、もっと詳しくニュージーランドの事も載せて(最後にちょっと解説付き)旅行記みたいでもよかったのでは?
    面白かった。

  • 日本とはさかさまの国、ニュージーランド。
    ケンタとミノリは、父さんの忘れ物を届けにいくのですが、行く先々に父さんはいなくて…。
    兄妹2人でのニュージーランド冒険。
    挿絵のかわりに写真が入っていたり、フォントもそんな感じだったり、まるでノンフィクションのような雰囲気。
    妹のミノリの、外国語を自動翻訳機にかけたような絵が個人的にツボでした。

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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